結衣の「私が産んだのよ」というセリフは、吐きそうになるくらい、つらかった
――“産みの親”である結衣との心と心のぶつかり合いも大きな反響を呼んだシーンでしたが、演じてみていかがでしたか?
結衣との対決シーンでもつらい気持ちを抱えてました。結衣の「私が産んだのよ」というセリフで、麻子は一瞬にして散っていったような気がします。やっぱり産みの親にはかなわないと、麻子自身もどこかで思っていたことを突きつけられましたから。罪に目を背けて、ここまで広を一生懸命育ててきた、私は彼を愛しているんだと言っても、それは決して正論じゃない。あの場面は、吐きそうになるくらい、とてもつらいシーンでした。
――結衣役の沢尻エリカさんとは、今回が初共演でしたね
沢尻さんは、とても男前なさっぱりしている女優さん。変に気を遣い合うわけでもなく、お互いにリスペクトしながら演じられたような気がします。一緒に芝居をしていて居心地の良い方でした。
広の前ではあくまでも“強い母ちゃん”だった麻子
――最終回、麻子がマラソン大会に現れるという展開については、どう思われましたか?
台本を見て少し「えっ」って思いました(笑)。個人的には、第10話で広ときちんと別れたところでかっこよく去りたかったです(笑)。でも、あれが麻子らしいのかなと思ったりもしています。
登場の仕方に関しては。プロデューサーから、結衣との土手のシーンで、麻子が最後の気持ちを吐露するから、その前の広との場面はカラッとした感じで対面しましょうと言われました。広の前ではあくまでも強い母ちゃんのフリをしてほしいと。自分が思っていることよりも、周りの人たちのアイデアのほうが面白かったりするので、あのシーンに関してはプロデューサーの案に乗ろうと思いました。
――撮影前、作品のタイトルでもある「母になる」ということについて改めて考えることがありそうだとおっしゃってましたが、麻子を演じて何を感じましたか?
子供ってかわいいし「母になりたい」と思うけど、母親はこんな大変な問題と常に日々戦わなくちゃならないから「私には無理」という思いの繰り返し。感情がジェットコースターのように激しく揺れていました。でも、ドラマを見た私の母が「あなたを産んで、母親を体験させてもらって良かった」と言ってくれたんです。その言葉を聞いた時に、やっぱり母親になってみたいなとあらためて強く思いました。
こいけ・えいこ='80年11月20日生まれ、東京都出身。AB型。「ドラマ24『下北沢ダイハード』」(テレビ東京系)に出演中。女優以外にも、「クレイジージャーニー」(TBS系)でMCを務めるなど、幅広い分野で活躍している