コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、めめっぽさんが描く『奴隷施設から男の子が買われていく話』をピックアップ。
2023年12月21日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、3.3万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、めめっぽさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
心が蝕まれた元奴隷がご主人様の“優しさ”に触れて変わっていく物語
ある国では、奴隷として働かされる子供たちがいた。子供たちは人として扱われない境遇の中で心を失い、精神がおかしくなっていく。とある子供も奴隷の生活に心を蝕まれていたが、ある日、貴族の息子である“ルカ”に買われていくことが決まった。
奴隷の男の子はルカの召使いとして迎えられ、綺麗な服を与えられ食事もたくさん食べさせてもらっている。しかし、男の子は奴隷生活での扱いに慣れ過ぎたあまり、ここでの待遇に戸惑うばかりだった。
街へ買い物に出掛けた際にルカから手袋をプレゼントされると、俯き「たくさん働きます」「なんでもします」と繰り返した。ルカからは、プレゼントにそんな意味はなく“君と仲良くしたい”という気持ちを伝えられた。そして、買い物の途中、迷子の女の子のために親を探してあげると「ありがとう」と言われた。男の子はまた戸惑った。これまで、お礼を言われたり優しくされたりという経験がなかったのだ。
自分の存在に価値なんかないと思っていた男の子だったのだが、ある出来事でルカに「いてくれて嬉しかった」と言われる。そして、ルカに笑顔を向けられた男の子は、“ここにいてもいいのかな”“僕でも何かできるのかな”と、自分の価値を少しずつ見つけていくのであった。
作者・めめっぽさん「私が大好きな作品じゃないと他人の大好きにはなれない」
――『奴隷施設から男の子が買われていく話』を描こうと思ったきっかけや理由などをお教えください。
物語のテーマからキャラを決めることもあるのですが、今回はキャラ先行で頭の中にキャラを浮かべた時にちゃんと会話が予想できて、私が「このキャラ達を描きたい」と直感的に思えたことが大きかったです。
それから、辛い思いをした子が幸せになるところをじっくり描きたかったからです。
――本作を描く上で、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。
ゴールに向けた道筋を描くというより、日常の中での好きな瞬間に着目するドキュメンタリーのような描き方に近いのですが、日常を時系列で無意味に追うと本当につまらないので「描いたシーンは本当に胸がときめいて感情の動きがあるか」ということを自問自答し続けていました。
――X(旧Twitter)投稿には、多くの“いいね”やコメントが寄せられていました。今回の反響をどのように感じていらっしゃいますか。
描いている最中ベストは尽くしましたが自信がなかったので、見ていただけたことへの安堵と、ちゃんと良いものにできているかの不安が半分でした。
けれど受け入れてくださる方がいるのが嬉しくて、今後描いていくための元気もたくさん頂きました。
――読者からは「(作中の最初に登場した奴隷の)女の子にも幸せになってほしい」というコメントが複数ありました。今後、この女の子のことを描くご予定はあるのでしょうか?
女の子を「描くか描かないか」という形でのお答えは今できないのですが、「作者として責任をもって女の子を見届けられる形」にしたいと思います。
女の子は私にとっても大切だったのですが、反響を見て予想よりも皆さんの女の子へのお言葉が多かったので、より大切になっていっています。
お言葉が届いております。ありがとうございます。
――今後の展望・目標をお教えください。
私は漫画で取り扱う題材がディープなので、私の好きが世間の好きと一致するかどうかずっと悩んでいました。
ただ最近は、そもそも私が大好きな作品じゃないと他人の大好きにはなれないと思うようになりました。
実際そういう漫画を描いている時が一番楽しんでいただけることが多いな、と感じています。(あくまで私がこういうタイプの作家という話なので、人によって違うと思います。)
今はただ、誰よりも私が最高に面白いと思える作品にすることが一番の目標です。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
「読者のことを信じてくれている気がする」というご感想を頂くことがあって、それが何を意味しているか完全につかみ取れている自信は無いのですが、「私の愛しているものを一緒に愛してくださる方の存在を信じている」という意味でしたら嬉しいです。
とても大切なことだと思っているので、これからも信じます。
いつも本当にありがとうございます。