コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、仁嶋中道さんの「俺のポラリス」。
この作品は『自分を変えるため、人の代わりに旅行へ行く「代理旅行」のバイトをはじめる話。』として、2024年1月24日にX(旧Twitter)にて投稿されると、瞬く間に1万以上のいいねを集めて話題になった。このポストには「自分も旅に出たくなった」「ぽかぽかと暖かくなれる話」「キャラクターの内面の描き方が丁寧」といったコメントが殺到。この記事では作者の仁嶋中道さんに、作品のこだわりなどについてインタビューを行った。
大学2年生の北沢巡は、インドアで自主性に欠ける自分を変えたくて代理旅行のバイトを始めた。その名の通り、さまざまな事情で旅行に行けない人の代わりに希望の場所へ行く、言うなればオーダーメイドの旅レポを作る仕事である。
巡にとっての初依頼は高齢女性からのもの。自分の代わりに墓参りと清掃、今と昔を比べるために写真を撮ってきてほしいとのことだった。巡は会社の先輩である南遼平とともに代理旅行に行くことに。
旅行や人と話すことに苦手意識がある巡。自分とは正反対でおおらかだけど視野の広い遼平とつい比べてしまい、こんな自分に代理旅行が務まるのかと不安になることもあった。
しかし旅行先の人と触れ合う中で、依頼だけでなく、それ以上の自分にできる何かを探し始めた巡。依頼主がどうしたら喜んでくれるかを考え、行動に移していくようになり…
物語を通して、たくさんの出会いの中で自分の殻を破り成長していく巡の姿を垣間見ることができる。
最近流行りの”代理◯◯”。人の代わりに旅行に行くという、一風変わったサービスを描いた今作。社会情勢や高齢化によって旅行に行くことが簡単なことではなくなってきている今。だからこそ必要とされる、これからが期待される題材を描いた物語に「心が暖かくなった」の声続出。
ーー『俺のポラリス』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
以前から、ぬいぐるみ専門の旅行代理店(ウナギトラベルさん)の体験記事や、旅の代行を題材にした小説(原田マハ先生著・旅屋おかえり)を読んでいたので、旅行の代理業に興味がわいていました。また作品の案出しの時期が、ちょうどコロナの外出自粛要請と重なり、「外に出たいのに出られない」気持ちは代理旅行という題材に生かせるのではないかと思ったことがきっかけです。
ーー今作を描くうえで「こだわった点」や、「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
BLという枠組みのなかで、恋愛と共にしっかり誠実にお仕事をしていきます。「代わりに行ってもらう旅行って楽しいの?」という疑問が出ると思いますが、多種多様な依頼内容を通して、こんな事情やこういう使い方もあるんだ、という気づきとともに楽しんでいただけたらいいなと。「初恋の人探し」「推しのぬいぐるみ旅行」等、全5話のうち4つの依頼をこなすので、お気に入りの旅行依頼があればうれしいです。また恋愛面では、不器用ながら頑張るバイトの巡(めぐる)と、最初は手を引き、時には隣で支え、最後は背中を押してくれる、そんなあたたかい上司の遼平(りょうへい)。この同性二人が仕事をしながら、ゆっくりと自然に距離を縮めていく様子を見守ってほしいです。
ーー今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最終話の「視覚障がい者になった夫を前向きにさせる旅行」という依頼に対しての旅行レポートを、依頼者さんに確認してもらうシーンです。主人公・巡がバイトを通して得た経験と、元から彼自身が持っていたもの。そして、代理旅行だからこそできる集大成を描いたシーンなので、巡の成長と頑張りを見届けていただきたいです。
ーー普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
大小問わず、人には傷があると思っていて。その傷があるからこそ、沁みわたることに焦点をあてながら考えています。それと私は、人生のなかの一部分を切り取ったような物語が好きなので、BLだとその人生のターニングポイントが「相手との出会い」だったという点を入れてストーリーを模索しています。
ーー仁嶋中道さんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
いま熟考を重ねている最中でして…笑。ただこの作品についていえば、もう少し広いところまで届いてほしいなと思っています。
ーー最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
普段から作品を手にとっていただけること、感想をもらえること、すべて励みになっています。あたたかく見守ってくださってありがとうございます。作品で恩返しできるよう頑張ります。
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