――お別れが寂しくて泣き出す店主さんもいるほど、この番組は本当に店主さんとスタッフの絆が深いですよね。その理由は何だと思われますか?
岩元:約40〜50人のスタッフが全国各地でお店探しに奔走しているんですが、彼らが共通して持っているのは、やっぱり店主さんたちと同じで、相手に対する配慮や思いやりなのかなと思います。店主さんとお客さんの日常生活にカメラを持って入っていく僕たちの存在って異物じゃないですか。だからこそ、その日常をできる限り壊さないようにしなくちゃいけないし、僕たちから「こうしてください」と何かを指示することは絶対にないです。基本的には待ちの姿勢で、ありのままを映す。それに尽きるのかなと思います。
――スタッフの数を聞いて驚きました。それだけの人数が各地に散らばっていると、状況を把握するのが大変そうです。
岩元:一応ルールとして、「どこにいつからいつまでいる」といった報告はしてもらっているんですが、基本的には個々人に任せています。年末年始も休暇をとって実家に帰省しているスタッフもいれば、取材でお店にいるスタッフもいる。なので、全員が同じ空気を吸うことはほぼなくて、唯一みんなで集まったのは総合演出を務める加藤優一さんの結婚式VTRを撮影した時だけです。僕自身もその時に「こんなスタッフがいたんだ!」って驚きました(笑)。
――それなのにスタッフさん同士の仲が良いのが番組を観ていてすごいなと思います。
岩元:取材にはディレクターとADがセットで取材に行くことも多いんですが、そこで苦楽を共にするので自然と仲が深まるのかもしれません。僕もちょうど2年前の大みそかから元旦にかけて、山中AD(当時)と一緒に群馬にあるうどんの自販機コーナーを取材したんですが、寒いから結構大変だったんですよね。だけど今はそれも笑い話で、山中ADもディレクターになったんですが、たまに「取材どう?大丈夫?」って声をかけると、「雨風もしのげるし、寒くもないですし、あの時と比べたら全然平気ですよ」ってさらっと言うので頼もしいなと思っています(笑)。
――撮影期間が長いのはもちろん、スタッフの皆さんは常にカメラを回しっぱなしなのでいつもその忍耐強さに驚かされます。
岩元:ロケ取材の時は歩きやすい靴が必須です。ホテルでも足の裏に湿布を貼って寝る子もいます。だけど、よく考えたら僕たちはただ立ってカメラを回しているだけだけど、その間も店主さんたちは動き回ってるじゃないですか。それなのに「疲れたでしょ」とか言ってコーヒーやお菓子を出してくれたりするんです。その姿を見ていたら、僕たちもしんどいなんて言ってられないですよね。本当に皆さんお元気だなと思いますし、人生の先輩として見習うべきところがたくさんあります。
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