これからも“オモてなしすぎでウマい店”の日常を映して
――12月14日に番組の公式ファンブックが発売されましたが、岩元さん自身、この本を読んで新たな発見などはありましたか?手に取った時の心境を教えてください。
岩元:まず取材させていただいたお店の情報が映像ではなく、こうして文字で残るのは貴重な経験なので、ページをめくるたびにうれしかったです。同時に、自分の担当じゃないお店の情報も改めて知れて良かったです。そんな風に「ああ、このお店もあったね」と会話の一つにしていただくのもいいですし、ガイドブックのような感覚で次に行くお店の参考にしていただいたり、色んな用途で使っていただけたらなと思います。
――お店ごとに店主さんの金言が載っているのもいいなと思いました。
岩元:どの店主さんも印象的なことをおっしゃっていて、そこにお一人おひとりの仕事哲学や矜恃が詰まっているなと思ったんです。やっぱり僕たちスタッフもそうなんですが、店主さん世代の方とお話しする機会ってプライベートではなかなかないじゃないですか。だけど、長年生きてきた皆さんのお話しってすごく面白いし、勉強になります。
――この番組の取材を続けてきて、ご自身の仕事観や人生観に変化はありましたか?
岩元:まだまだ自分も頑張らなきゃなと思いました(笑)。あとは単純に、そこまで打ち込める好きなことがあるっていいなと思います。店主さんたちの場合は、そのベースに思いやりがあるんですよね。皆さん共通して「お客さんに喜んでもらいたい」という思いを持っていらっしゃるのが印象的です。取材を続けて思うのは、そういう人たちの行きつく場所が飲食店なのかなと。人間の欲求の中でも食欲ってかなりプライオリティが高いので、そこを満たしてあげるということに喜びを感じる方が多いんじゃないでしょうか。
――私も一ファンとして、オモウマの店主さんたちには、いつも「こういう人たちがいるんだったら、世の中捨てたもんじゃないな」と思わされています。
岩元:MCのヒロミさんや小峠英二さんもよく、「こういう人が増えたら争いがなくなる」とおっしゃってます。それに、店主さんたちも「おなかがいっぱいだと争いが起きないでしょ」って、テレビ向けに狙った感じじゃなく普通にさらっとおっしゃるんです。そういう風に、自分の手が届く範囲だけでも相手に思いやりを持って接していれば、平和だったり何かにつながると信じて続けていらっしゃるのが本当にすごいなと思います。
――最後に、この3年間で気づいた番組づくりに大切なことを教えてください。
岩元:最初の方にも言いましたけど、やっぱり取材した人間が現場で感じたことをありのまま表現していくということに尽きるのかなと思います。店主さんやお客さんをいじったり、話を誇張したりするのは絶対に違って、いつもと変わらない素の状態をどこまで撮影できるかだと思います。4月から4年目を迎えますが、まだ出会えていない“オモてなしすぎでウマい店”の日常をこれからも映していきたいです。
■取材・文/苫とり子