矢本悠馬が大河ドラマ「おんな城主 直虎」(夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で、井伊家の家臣・中野直之を演じている。
直之は直由(筧利夫)の息子で、父に似て一本気な強硬派。初めのうちは、直虎(柴咲コウ)が城主となることを認めようとせず、反発を繰り返していたが、次第に彼女の井伊谷を思う気持ちに感銘を受け、殿と認める。また、武芸の達人でもある直之は井伊家にとってなくてはならない存在で、これまで何度も直虎の窮地を救ってきた。
そんな直之という、直虎の側近を演じる心境などを聞いた。
――今回の出演が決まった感想を教えてください。
純粋に「やったー!」です。歴史のある大河ドラマのレギュラーに使っていただいて感謝しかないですよ。
本当、最初はうれしさしかなかったんですが、出演者と顔合わせをした瞬間に、周りが有名な役者さんばかりで、「恐さ」と「言葉にできないプレッシャー」を感じました(笑)。
――緊張などは次第に解けていきましたか?
ぜんぜん解けないですね。出演者の皆さんとも仲は良くなりましたし、スタッフの皆さんとも仲良くなったんですけれど、ずっと緊張していますよ。「本番!」って言われると、毎回せりふが飛びそうになっています(笑)。
でも、現場全体が緊張しているんじゃないですかね。人生でなかなか味わうことのできない恵まれたストレスを感じています。
――直之という人物をどのように捉えていますか?
ゴリゴリの武士です。僕にとってそういう存在ってファンタジーと同じなんですよね。なので、まず“ゆとり”とは真逆な存在なんだろうなと考えました(笑)。
規律を守り、生まれた家や場所で教えられたことが全て。そして、それを信念として生きている生き物なんだと感じています。
――そんな武士を演じる上で難しい点などありましたか?
最初は、直虎や六左衛門(田中美央)の発言に対していきなり怒り出す、直之の感情をどう表現したらいいのか分からなかったんですよ。
次第に気付いたんですが、直之が怒っていることは、中野直之という人物が「心底信じていること」「絶対に自分が正しい」と思っていることなんです。そう思って演じていると演技がしやすくなりましたね。そして、「俺は武士だ」と言い聞かせています(笑)。
――柴咲コウさんの印象を聞かせてください。
殿に対して怒ってばかりの人物でしたから、どう思われているんだろうと不安でした。柴咲さんから「今の演技、本気でムカついた」とまで言われていましたからね。もちろん、イラつかせようと怒っていましたけど(笑)。
今では、殿と直之の仲もいい関係性ですからね。柴咲さんとも仲良くさせていただいています。
――井伊家全体の様子をどのように感じていますか?
心地いいですよ。井伊家の人たちと演技をしていても「次のこのせりふ、こう返してくるんだろうな」と読むこともできるくらいになりました。本当の家族のようですよ。