俳優の川栄李奈が2月29日、都内で行われた舞台「千と千尋の神隠し」(3月11日より東京・帝国劇場ほかで上演)の製作会見に、千尋役の橋本環奈、上白石萌音、福地桃子、ハク役の醍醐虎汰朗、三浦宏規、増子敦貴(GENIC)、カオナシ役の小尻健太、中川賢、山野光、リン/千尋の母役の妃海風、華優希、実咲凜音、釜爺役の田口トモロヲ、宮崎吐夢、湯婆婆役の夏木マリ、羽野晶紀、春風ひとみらとともに出席した。
舞台『千と千尋の神隠し』は、10歳の少女・千尋が神々の世界に迷い込み豚の姿に変えられてしまった両親を救う為に懸命に働き、生きる力を呼び醒ます姿を描いた宮﨑駿による大ヒットアニメーション映画をもとに、2022年に東宝創立90周年記念公演として初めて舞台化。今回、初演から主人公の千尋役を演じ続ける橋本と上白石に加え、新たにオーディションで同役を射止めた川栄と福地を加えた4人の千尋によって、2024年3月の帝国劇場公演を皮切りとして日本での全国ツアー、さらには英国・ロンドンで初の海外公演として上演される。
今回から千尋役を演じることになった川栄は「初演のときに萌音ちゃんの千尋を帝国劇場で見させてもらって、幕が開いた瞬間に“本物の千尋がいる”って思って鳥肌が立ったことを今でも覚えていて、その作品に自分が参加できるとは思っていなかったので、今こうしてここに立てていることをうれしく思います」と喜びを口にし、「新しいキャストを温かく迎えてくださるこのカンパニーのみなさん感謝をしながら、開幕までもう少し稽古を頑張って、一生懸命、千尋を務めたいなと思います」と言葉に力を込めた。
同じく、今回から千尋役を演じる福地は「現在、絶賛稽古中ではあるんですが、まだ千尋として自分が参加していることが不思議なんですが、初演のときに劇場で見ることができなかったので、1番いい席(稽古場)で生の千尋を客観的に見て学ばせていただいて、匂いだったり音だったり、いろんなことに自分の体が感動している体験をさせていただいていることが楽しくて仕方ないです(笑)」と目を輝かせ、「舞台としてこの作品をお届けできることをとても楽しみにしております」とあいさつした。
また、千尋役の4人が揃ったのは同会見が初めてだったそうだが、稽古場ではそれぞれの千尋を見て刺激を受けているそうで、それぞれの千尋のよさを聞かれると、川栄が演じる千尋について橋本は「すごく素朴なんだけど、周りに突き動かされて進んでいく姿がめちゃくちゃ応援したくなるんです。忙しいながらも一生懸命覚えて(笑)、段取りも多くて難しいはずなんですけどサラッとやってのける姿を見て『かっこいい』って漏らしちゃうくらいです」と感心し、福地の千尋について橋本は「子どもって子どもながらにいっぱい考えているし、何もわかっていないようで敏感に察知していたりする繊細さみたいなものがダイレクトに伝わってきて、千尋の負の感情というか、いじけてる姿とかがすてきだなって思いますね」と絶賛。
一方、初演から千尋を演じる2人について川栄は「1からこんなに大変な舞台を作り上げてきたことに本当に尊敬していますし、環奈ちゃんはすごく明るく無邪気な千尋で、かつ芯の強い女の子を演じていて、それが華やかで見ていて心躍るような千尋で、萌音ちゃんは序盤から芯の強さが見えていて、萌音ちゃん本人も真面目なので、真面目に一生懸命生きる10歳の女の子を舞台上で表現していて、性格も月と太陽くらい違う2人が同じものを作っているというのを間近で見させてもらうのは貴重な経験だと思うので、本当に学ばせてもらっています」と語った。
さらに川栄は「環奈ちゃんと初めて稽古場でお会いしたときに、“スナック環奈”みたいな状態で、私とか桃ちゃんの悩みとか大変なことをひたすら聞いてくれて、年上というか先輩って思っています」と羨望の眼差しで橋本を見つめた。
※小尻健太の尻は、正しくは「尸」に「丸」
◆取材・文＝風間直人