「仮面ライダーガッチャード」(毎週日曜朝9:00-9:30、テレビ朝日系)で鶴原錆丸役を務める富園力也。ダンスボーカルグループ・UNiFYのメンバーとしても活躍する彼は、小栗旬への憧れをきっかけに“日本一の映画俳優”を目指し17歳で上京、下積み時代を経て、若手俳優の登竜門とも言われる仮面ライダーシリーズへの出演を射止めた。そんな富園に、これまでの歩みとライダー出演への想い、そして俳優としての夢について語ってもらった。
──「仮面ライダーガッチャード」の反響はいかがですか?
僕は17歳のときに「日本一の映画俳優になりたい」という思いで上京してきて。「日本一の映画俳優になりたい」ということは、その後もずっと言っていたので、昔から応援してくれているファンの人に、夢に向かって走っているところを見せられてうれしかったし、ファンの皆さんもすごく喜んでくれました。それと、これまでは男性のファンがあまりいなかったんですが、最近はイベントなどに男性の方も来てくださるようになりましたし、男女問わずにSNSでの反応も増えました。「仮面ライダーガッチャード」をきっかけに僕のことを知って好きになってくれている方が増えていることを実感して、すごくうれしいですし、僕ももっと頑張ろうと思いました。
──現時点で、「仮面ライダーガッチャード」の撮影の中で、特に学びになったことや発見を挙げるなら?
最初に言われたのが、例えばバケツに水を注いでも、溜まっていく間の水は見えない。それが映像のお芝居なんだよということ。バケツから溢れ出したところがようやく視聴者の見えるところなんだよって。感情の大きいシーンはもちろんなのですが、僕がそれを特に感じたのがコメディのお芝居で。それまであまりコメディをしてこなかったこともあったので、今はその考え方を念頭に置いて、たくさん挑戦しているところです。
──アドリブなども?
はい。こちらからアイデアを出すと、それに対して監督さんも「そっちもいいけど、これもいいんじゃない?」と言ってくださるので、チャレンジできる場だと思って、いろいろ出しています。1年間ずっと同じ役を続けられるチャンスは本当に限られているので。この作品ではこの先もいろいろチャレンジしていきたいなと思っています。
──「日本一の映画俳優になりたい」という思いで上京してきたということですが、そう思うきっかけは何だったのでしょうか?
中学生のときに映画「クローズZERO」の小栗旬さんを見て「めっちゃカッコいい!」と思って、ずっと憧れていたんです。と言っても、そのときから俳優になろうと思っていたとか、夢を持っていたわけではなかったんですが、高校生になって進路を決めるときに「自分って何がしたいんだっけ?」と考えたときに、心の奥底に「俳優をやりたい」とか「影響を与える存在になりたい」という自分がいることに気づいて。それを思ったときに、「これは遅くなったらもう叶わないかもしれない」と思ってそのまま高校を辞めて上京しました。
──高校を辞めて?
はい、転校ではなく、中退です。
──普段から思い立ったらすぐ行動するタイプなんですか? それとも、そのときだけ?
いや…確かにスポーツとかもやりたいと思ったらすぐやる派ではありましたけど、ここまで大きい決断をパーンッとしたのは初めてなので、自分でも「よういったな」と思いますね。上京したところで東京に友達も知り合いもいないし、芸能界も何もわからないのに。オーディションもネットで調べていました。
──どこかの事務所に所属することもなく?
所属はできなくて、バイトをしながら演技研究所に入ってお芝居を学んでいました。オーディションを受けるだけでお金がかかることもあるんですけど、「こういうもんなのかな」と思って、でも受からなくて悩んで、しかもお金もない。カップ焼きそばを食べながら一人で泣いたこともありました。しかもそういうときに限って、カップ麺の湯切りに失敗してシンクにべちゃって麺が出ちゃうんですよね。「うわ〜、マジで!? お金ないのに」と思って、麺洗って食べました。
──そのとき、俳優の道を諦めて地元に帰ろうとは思わなかったんですか?
思わなかったですね。他にやりたいことがなかったというのもありますし。僕は母子家庭の長男なんですが、覚悟を持って「行ってくるわ」と家を出たので、男に二言はないぞと思って。だからライダーが決まったときは本当にうれしかったです。お母さんに報告するの、ワクワクしました。
──お母様は「仮面ライダーガッチャード」出演を聞いて何と?
「え、嘘やろ」って(笑)。「ほんまやで」って言っても信じていない感じで。正式に発表されたのを見て「ほんまに出演するんやね」って(笑)。「頑張ったな、ほんまにすごいと思うよ」と言われたときはうれしかったですね。
──お母様は放送も見ていらっしゃいますか?
見てくれますね。「毎週、力也の顔見れてうれしいわ」と言ってくれています。