コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、コミックゼノンにて『めしぬま。』『夜分に吸血失礼します。』、ヤングアニマルZEROにて『ラプソディ・イン・レッド』を連載しているあみだむくさんが描く『愛犬の老いに直面する話。』をピックアップ。
2024年2月15日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、8.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、あみだむくさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
学生の頃からずっと側にいて、生活の中心でもある愛犬が15歳になった
主人公には、大切な愛犬がいる。学生の頃から飼っているし、大人になった今も在宅の仕事で1日中一緒にいるため、側にいるのが当たり前の存在だ。
自分にとって生活の中心でもある愛犬は15歳になり、老いを感じる場面が多くなってきた。寝ていることも多く、起きているときも“のそのそ”とゆっくり歩く。食事の量は減ってきて、散歩に出掛けてもじっと立ち止まることが増えた。
散歩で歩くのをやめた愛犬をそっと抱き上げる。体が温かい。しかし、愛犬の心地良い温もりを実感すると同時に“だけど、そのうち…”という気持ちが過ぎる。大きな病気を患っているわけではないし、“その時”はまだまだ先の話。だから、考えるのはやめようと思ってはいるけれど、こみ上げる感情には逆らえず涙が溢れた。
いつかは訪れる愛犬との別れに、恐怖や不安が消えることはない。しかし、愛犬と目を合わせると、「かけがえなのない残りの時間を悲しみだけで埋めるのや嫌だ」とも強く思う。だから主人公は、これからの愛犬との日々を意味のあるものにしようと決めるのだった。終わりの日が訪れても、必ず人生の糧になると信じて…。
本作の投稿には、愛犬がいる多くの読者から共感の声が集まった。愛犬の写真を添えている読者も多く、「思い出して泣いてしまいました」「残りの時間、楽しい時間ばかりにしないと」などのコメントが寄せられている。
作者・あみだむくさん「愛犬がモデルになっています」
――X(旧Twitter)にポストされていた愛犬のお写真を拝見して、漫画に出てくる犬とそっくりでとても可愛かったです。『愛犬の老いに直面する話。』の犬は、あみだむくさんの愛犬がモデルになっているのでしょうか？本作を描こうと思ったきっかけや理由などをお教えください。
愛犬がモデルになっています。14歳半ばごろから急激に老いて行く愛犬を見て、いつか終わる日を意識したことで不安を感じたのでそれを少しでも日々の変化を前向きなものにしたかったのと、今の気持ちや犬との他愛ない出来事を覚えておくために漫画にしました。
――本作を描く上で、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。
犬のかわいらしさを自分が感じている雰囲気そのままで表現したいと思い、既存の愛犬の写真の輪郭をぼんやりとなぞって描いています。犬をリアル絵にしない分、特定の犬と言うよりは概念的な感じにできたのではないかなと思います。
――あみだむくさんの愛犬の好きな仕草や、一緒に過ごした中でも特にお気に入りのエピソードなどがありましたらお教えいただいてもよろしいでしょうか？
マイペースな犬で誰が呼んでもほぼ来ないけど、誰にでも寄っていく犬でした。撫でている手を止めると催促でバシバシと叩かれましたが可愛かったです。
――投稿には多くの“いいね”とともに、読者の愛犬についてのお話がたくさんコメントされていました。今回の反響をどのように感じていますか？
私もですが、老犬と向き合っている方はまわりにたくさんいて、その複雑な気持ちをどこかで共有したいと思っているのかなと感じました。私のポストが一つの交流の場になったようで良かったなと思いました。
――他作品も拝見させていただき、あみだむくさんの漫画は人物の感情が溢れた瞬間の表情がどれも大変印象的でした。作画において力を入れている、こだわっているなどのポイントをお教えいただいてもよろしいでしょうか？
その時その時の感覚で描いてしまうのですが、感情を描くのは好きなのでその瞬間が一番盛り上がるような演出を見つけられたらいいなとは毎回思っています。
――最後に、今後の展望・目標をお教えください。
何でもやってみると面白みが見えてくると思うので、色々なことを体験し、視野を広げてこれからも色々なジャンルで漫画を描いていきたいです。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
