撮影中の子どもたちの様子を見て「僕は純粋さが失われてしまったなと(笑)」
――東昇にとって3人の子どもたちと過ごす時間は、どんなものだったのか、想像が膨らみます。騙しあいの頭脳戦を繰り広げる関係性を演じるため、羽村仁成さん、星乃あんなさん、前出燿志さんの3人とは現場では少し距離をとっていたそうですね。
この作品は子どもたちが輝けば、成功するなと思っていて。子どもたちのことを考えた結果、見守る姿勢でいて、あえてに話をしないようにしていました。役の関係値のような緊張感で対峙できますから。昔は、現場に知り合いの方がたくさんいて、待ち時間ずっと楽しく喋っていると、監督から「芝居が楽屋の延長になってるよ」とよく注意を受けたりしましたけどね(笑)。
――羽村さんとのコンビ感も絶妙でした。
羽村くんは、本読みをした時から、独特な空気を身にまとっていて。メイク中などオフの時とカメラの前に立っている時のオンの姿があまり変わらない。構えずにナチュラルに現場にいるんです。僕が若い時は、もう緊張して仕方がなかったのになぁ…。今の若い世代の方々の度胸はすごいです。
僕の役と羽村くんの役が表裏一体のような要素があるので、現場では観察していたら、体がいつも動いていて。ダンスが好きで、踊りたくて仕方ないのかな?そんな一面がありつつ、出番で呼ばれると、一気に役者の目つきに変わるので、とてもすてきな役者さんでした。
――子どもたちとのシーンで印象的だったエピソードはありますか。
僕は血のりが体に付くと、なかなか落ちないので好きじゃないんです。1人でずっと爪の間に入った血を取るのって、嫌な時間(笑)。でも、子どもたちは、血のりが飛ぶシーンを楽しみにしていたんです。
車の助手席に座っている前出くんに血のりがかかるシーンでは、緊張しながらも、「どれくらい血のりがかかるんだろう」という期待感が伝わってきて、かわいかった。その新鮮な反応を見て、僕は純粋さが、失われてしまったなと思いました(笑)。
――若い世代のキャストとのやり取りから、いい刺激を受けたんですね。
もちろんです。僕が羽村くんくらいの時は、お芝居にちゃんと向き合えていなくて、監督によく怒られていました。今の子たちの台本を読む力や理解力が上がっているなと思いますし、ポテンシャルがすごい。
一緒にお芝居をしていて、こういうテンションでセリフを言ってくるんだろうなと想定していたら、その予想を裏切ってくることが多くて。ことごとく、いい裏切りがあったので、毎日彼らと対峙するのが、すごく楽しみでした。
バップ
発売日: 2024/03/27