「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」(毎週土曜夜11:30-0:00、テレビ朝日系)の最終回が、3月16日に放送された。篠田麻里子の体当たりでコメディーチックな演技が特に話題をさらったが、その幕引きには多くの涙が。俳優陣の演技力が大いに生きたラストに、SNSでも「あの導入からこの最後…感情が忙しいって!」「笑うはずのドラマで泣かされた。予想できない展開の連続過ぎ」といった声が相次いでいた。(以下、作品のネタバレを含みます)
「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」とは
同作は大竹玲二による人気漫画「離婚しない男」(講談社ヤングマガジンKC)を原作に、3月31日(日)をもって放送作家業・脚本業からの引退を発表している鈴木おさむが脚本を担当。妻の不倫に気付ぬ振りをしながら不倫の証拠を日々収集し、父親が親権を獲得するという困難な壁に立ち向かう男の姿を描くリコン・ブラックコメディーだ。
主演の伊藤淳史が演じるのは、妻の不倫を目撃し離婚を決意する大手新聞社の社会部エース記者・岡谷渉。そして渉の妻・綾香(篠田)と不倫を繰り返す芸能事務所のチーフマネジャー・司馬マサトを小池徹平が、渉とバディを組んで綾香の不倫の証拠集めにまい進する探偵・三砂裕を佐藤大樹が、親権事案において日本有数の解決実績を誇る敏腕弁護士・財田トキ子を水野美紀が演じる。
タイトルが知っていた涙の幕引き
これまでのさまざまな証拠が積み重なり、当初の目的である親権獲得に向けた離婚裁判は渉に有利なまま進んでいた。だがある日、帰ってきた綾香が第一声で「心寧、私ね…パパと心寧を裏切るようなことをしたの」と告白。そして、心寧と渉に向かって「ごめんなさい」と頭を深く下げる。
彼女は直前、財田弁護士に会って忠告を受けていた。財田も浮気によって息子と別れを経験した身。今ならまだできることがある綾香に、「しがみついたっていい。格好悪くたっていいんです」「私はそれができなかった…あなたは、まだ間に合う」と心からの言葉を渡したのだ。
心寧はちょうど寝入ってしまっており、綾香の懺悔は聞けぬまま。すると綾香は渉へ向き直り、「私が馬鹿でした」と改めて自分のやってきたことを謝罪する。
心寧を芸能界入りさせようとしたのも、“自分をハメた仲間への嫉妬”という身勝手な見栄と欲とプライドから。「そんな馬鹿な私が大事なものを失って当たり前です。だけど…怖いんです」と涙を流しつつ、「自分の罪を受け止めるのを怖がってる私の背中を、思い切り押してください」と渉へ署名入りの離婚届を手渡した。
そこで目覚めた心寧に、渉は大事なことを聞く。「お父さんとお母さん、離れ離れになるかもしれない。心寧は…お父さんとお母さん、どっちといたい?」。残酷な質問に、心寧はグッと緊張した表情を浮かべて「心寧は、ママと、パパと、両方といたい。両方とずーっといたい。心寧、良い子にするから…」と言葉を紡いだ。
心寧にとって当たり前で、夫婦にとって当たり前の答え。綾香は改めて自分が犯した罪の重さに声を上げて泣き崩れ、渉も自分が綾香を見ず、話をすることもなかった過去を悔いた。涙を流して固く抱き合う親子3人は、愛娘の言葉で本当に大切なことを思い出したのだ。夫婦のどちらもが互いを思いやれなかった…その果てに起きたすれ違いは、修正して歩き出せる。
「さよならなの?」と震える声で尋ねる心寧。渉は「さよならじゃない…スタートだ」と告げ、綾香に渡された離婚届を破る。綾香は驚きの表情を浮かべると、心寧と抱き合ってまた声を上げて泣いた。改めて指輪を交わし、親子は新たなスタートを切るのだった。
タイトル通り、「離婚しない」ことを選んだ渉。その選択に「タイトル回収…というのもちょっと違うよな。簡単に寄りを戻したんじゃなく、全員にすごく強い決意を感じるラストだった」「これは予想できない終わり方!まさかこんなに泣くとは思わないよ~」「ただのお色気コメディと思ってたのに、めちゃくちゃ泣かせにくるやん…」「登場人物全員、演技力が凄まじい」「こんなに泣ける人が集まるドラマ珍しいんじゃないか」といった声がSNSに飛び交った。