【ホラー漫画】被験体の女性とゾンビに待つ残酷な結末…読み返すと違う視点で楽しめるストーリーに「2周読むと奥深い…」

2024/03/29 09:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

ゾンビのいる部屋に閉じ込められた女性はどうなってしまうのか…画像提供/ふかづめさん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“深津”“ごんずい”“針無シ”など複数の名前で活動しているふかづめさんが描く『喋る化物と爆弾』をピックアップ。

2024年2月26日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、7.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、ふかづめさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。

ゾンビと女性の残酷すぎる結末は、もう一度読み返したくなるストーリー

『喋る化物と爆弾』より画像提供/ふかづめさん

目が覚めると、女性は狭い部屋に閉じ込められていた。状況を把握できず混乱しているところに、部屋の中へゆっくりとゾンビが入ってくる。ここはとある実験が行われている研究所で、この女性は被験体として選ばれたのだ。

“バケモノ”を前に死を覚悟する女性だったが、その予想とは裏腹にゾンビが話しかけてくる。そして、女性が記憶喪失で自分の名前も身元も思い出せない様子から、ゾンビが今の状況を説明してくれた。ゾンビウイルスが蔓延して人類がほぼ滅亡したこと、外にはゾンビが大量に徘徊していること、この研究所はゾンビを殺すための方法を探している場所であること…。そしてゾンビは“自分は施設の元研究員で、実験のためにウイルスを注入されてゾンビ化させられた”と話した。

一通りの状況を把握した女性は、さっきまで恐れていた存在のゾンビに「一緒に施設から脱出しよう」と提案する。ゾンビは「自分を仲間にしようなんて頭がおかしい」と思ったが、女性から差し出されたまっすぐな手に心が動き、研究所の目的について核心を話し始めた――。

本作を読んだ読者からは「最後の説明でやっと理解した」「人物紹介の中にもストーリーが組まれてるの好き」などの声が寄せられ、作り込まれた物語に引き込まれる人が続出した。女性とゾンビの衝撃の結末は、ぜひその目で確かめてほしい。

作者・ふかづめさん「(最後の人物紹介は)二度楽しんで頂くための味変用ふりかけみたいなもの」

『喋る化物と爆弾』より画像提供/ふかづめさん

――『喋る化物と爆弾』は、「喋るゾンビを描きたい」という思いから創作されたそうですが、特にお気に入りのシーンや描いていて楽しかったポイントなどをお教えいただけますでしょうか。

やっぱりゾンビの顔は描いていて楽しかったです。あまりこういった直接的にグロテスクな顔の人間(?)を漫画内で喋らせたり動かしたりする機会がないので、限られたパーツで怖いとか気持ち悪いとかだけでなく、感情の変化やかっこよさを感じてもらえたら嬉しいなと思いながら描きました。

――作中の女性(鈴橋琴佳)は、人間爆弾として自我を残されつつも入力通り動くように作られていました。ゾンビさんと一緒に脱出しようとした行動は琴佳の自我によるものなのでしょうか、それとも研究のためにコントロールされた行動なのでしょうか?

最後の研究員の言っていた通り、自我は割と残したままです。冒頭でゾンビに対して明らかに恐怖や拒絶反応を示していた時点ではコントロールをされていない状態で、「パチッ」という演出がある部分で本来ならあるはずのそういった分岐点的感情を、プラスに働く方向に強制的に路線変更する、みたいな最低限のコントロールをされているイメージです。そのためあの思考は、選択肢として元々アリと判断はできるけど普通に考えるとやっぱり懸念事項が多すぎるのであんなにスッパリと決断はできていなかったと思います。もう少し時間をかけて信頼関係を築いていたら、彼女は自我100%でもゾンビさんに一緒に脱出しようと自分から提案し、手を差し伸べていたと思います。

――最後の人物紹介を拝見して、それぞれの設定が大変作り込まれていると感じました。他作品も含め、読切などの場合にもその話では触れないような深い部分まで設定を考えてから創作されることが多いのでしょうか?

基本的には設定はあまり深く考えずに描いているのですが、今回のような最後の人物紹介文章については基本的に、特に短編において読了後にもう一回読み返すと「そうだったのか!」となる二度楽しんで頂くための味変用ふりかけみたいなものとして書いております。そのため本編に出てこないことが前提になっているので、お話を書き進めながら作っていることが多いです。でも実は終わってから後付けすることも多いです。(実は一番楽しい作業です)

――以前、別作品でインタビューをさせていただいた際、「ホラー映画はちょっと苦手」と仰っていました。ふかづめさんは、人間・人外問わずホラー系の作品を多数創作されていますが、ご自身で描いている際に「怖いな」「苦手だな」などと感じる瞬間はあるのでしょうか?

ホラーやグロテスク作品を見る事は、やっぱり苦手です。日常でも怖いと感じるものは沢山あります。ですが自分の手でそういった作品を作るのはとても楽しいです。自分の中に存在する恐怖は、逆に作品として別の形に練り直し好きな物の形にして外に放出することで、少しだけ克服できるような気がするのです。だから私はホラーっぽい作品を作るのが昔から好きなのかもしれません。