野呂佳代は「縁の下」で絶大な信頼感と存在感を放つ【てれびのスキマ】

2024/04/01 07:00 配信

芸能一般 コラム

野呂佳代※2023年ザテレビジョン撮影

バラエティ、ドラマに引っ張りだこの名バイプレイヤーに

放送中の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合ほか)の第1話で、藤原道長(三郎)が、従者である百舌彦を連れ立って京の町を訪れる。散楽一座の大道芸を夢中になって見ている道長の横で、百舌彦は隣にやってきた町娘と手が当たり目を合わせると、手を握って微笑み合う。第2話でも、柄本佑扮(ふん)する成長した道長と百舌彦が一座を見ていると、彼女がまたやってくる。

目で百舌彦を探すと、百舌彦も気付き2人そろってどこかへ消えていく。どちらも1分に満たない短いシーン。しかもセリフは一切ない。けれど、その意味深な表現で視聴者に強烈な印象を残した。その町娘・ぬいを演じているのが、野呂佳代。バラエティタレントのイメージが強いが、いまやドラマに引っ張りだこの名バイプレイヤーだ。

年齢詐称しアイドルデビュー


野呂は幼稚園の年長のときに「101回目のプロポーズ」(1991年フジテレビ系)を見て、雨が降りかかる窓に向かい、しっとりとした顔をつくって浅野温子のモノマネをしていた。その頃から、お芝居が好きで、いつか役者になりたいという思いがあったという(「テレ東プラス」2022年4月6日)。

役者を目指し事務所に所属し、「ことぶきウォーズ」(2004年TBS系)で俳優デビューするが、その後は受けるオーディションすらない状態で苦しんでいた。そんな時、見つけたのがAKB48のオーディションだった。しかし、このとき既に22歳。新人アイドルとしては高齢だ。だから、野呂は年齢も詐称し写真も加工して応募。実際の面接で「誰だよ」という空気が流れるも「この子がスタイル良くなって綺麗になっていく過程があったら面白いよね」という秋元康の意向で合格した(「あちこちオードリー」2022年1月12日)。

その秋元からは目をかけられるも、やがて選抜から外され「劇場の番人」のような存在になった。前田敦子大島優子がいる太田プロに所属し「『すごい出世街道に行ったわ!』と思ったんですけど、私だけ班が違った」(「QJWeb」2021年10月1日)と振り返るように、SDN48移籍後は苦しんだ。そんなアイドル時代も役者への思いは常に頭の中にあった。