小林虎之介スペシャルロングインタビュー 俳優を目指したきっかけ、ドラマ「PICU」「下剋上球児」の撮影エピソード、今後の展望とファンへの思い

小林虎之介撮影=梁瀬玉実

WEBザテレビジョン公式Xで、取材してほしいニューカマータレントをユーザーから募る新企画「推したい!フレッシュFACE」。今回は、4月13日(土)に放送される「PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024」(夜9:00-11:10、フジテレビ系)に出演する小林虎之介が登場。「PICU」についてはもちろん、俳優を目指したきっかけや、小林が注目を集めたドラマ「下剋上球児」(2023年、TBS系)ついてなど、じっくりと話を聞いた。

ユニフォームと白衣のギャップに「笑っちゃいましたね(笑)」


──最初に「PICU 小児集中治療室 スペシャル 2024」について聞かせてください。「下剋上球児」では泥だらけのユニフォームを着ていましたが、今回は白衣。白衣を着たご自身を見た感想は?

笑っちゃいましたね(笑)。しかもこの撮影は「下剋上球児」のクランクアップから3日後くらいで。本当にこの前までユニフォームを着て、グラウンドで撮影していたのに、3日後にはスーツ着て白衣を着ている。しかもウィッグまでつけて。あまりにも違い過ぎて笑っちゃいました(笑)。

なので、撮影の最初は役に入るのも少し苦戦しました。4カ月以上も撮影をしていた役から、すぐに次の役に切り替えるということが人生で初めてだったこともあって、すぐには役が抜けなくて。そこは監督にアドバイスをいただきました。

──出演が発表されたのは2月でしたが、周りからの反響はいかがでしたか?

喜んでくれたり「すごいじゃん」と言ってくれたり。「下剋上球児」のメンバーの中には「そんなデカい仕事が決まってるなんて、俺も負けてられないわ」と言ってくれた人もいました。「下剋上球児」のプロデューサーの新井(順子)さんもすごく喜んでくれました。

ただ「ここで調子に乗るなよ、全部私の耳に入ってくるからな」とも言われました(笑)。「調子に乗るな」ということは、(鈴木)亮平さんにも厳しく言われていましたね。「調子に乗ったらすぐ落ちるからな」「そんなに甘くねえぞ」と。

──今回演じた瀬戸廉という人物をどのようなキャラクターだと思って演じましたか?

瀬戸は東京の大病院の御曹司で両親も東大卒。絶対に医者にならないといけないプレッシャーの中での生活がずっと続いていたんだと思います。これまでしっかり勉強して、今回丘珠病院に研修医としてきて、プライドもそれなりにある。

だけど、知識だけじゃどうにもならないということ、知識だけじゃ戦っていけないということを、物語の中で経験していきます。できると思っていたのに打ち負かされるという感覚は、瀬戸にとっては丘珠病院に来て初めて経験したのかなと思いました。演じていてもすごく苦しいなと思う部分がたくさんありました。

──出演決定時のコメントでは「“…”の描写が多い」とおっしゃっていましたが、そういった場面はどのように演じていったのでしょうか?

何でこうなったのか、置かれている状況をちゃんと考えました。あとは、相手のお芝居を受けるだけでしたね。周りのキャストの方々がその時間をその場に運んできてくださるので。しかも、そういうシーンってだいたい瀬戸は自分に非があることがわかっているんですよね。でもプライドがとにかく高いから認めたくない。物語の中で、そういう瀬戸も少しずつ変わっていくので、その変化も感じてもらえたらうれしいです。

安田顕とは、まさに植野先生と瀬戸廉のような関係

小林虎之介撮影=梁瀬玉実


──2023年に出演した「下剋上球児」(TBS系)では、不良役を演じるために「ROOKIES」や「クローズZERO」を見たそうですが、今回瀬戸を演じるために何か参考にしたものや勉強したことはありますか?

もともとフジテレビの医療ドラマがすごく好きで。それこそ「PICU 小児集中治療室」も見ていたし、「Dr.コトー診療所」も何回も見ていたので、自ずとイメージはできていたのかなと思います。

「PICU 小児集中治療室」のドラマシリーズでは、吉沢亮さん演じる志子田武四郎が、今回の瀬戸のような立場だったので、特に3話くらいまでの「PICU」の吉沢さんのお芝居は参考にさせてもらいました。

──医療ドラマがお好きということですが、見ているだけではわからない、実際に演じてみて初めて知った大変さや難しさはどのようなところでしたか?

結構イメージ通りでした。僕は手術をするシーンはないですが、撮影前に実際に本当のPICU(小児集中治療室)に伺わせていただき、そこで職場体験のような感じでいろいろ教えてもらったんです。

そのときにちょうど救急車で重症の方が搬送されてきて。危機感のある雰囲気の中で、すごく急がなくてはいけない状況でも、絶対に丁寧さは抜かない皆さんの姿を見ました。急ぐけど、やることはしっかり丁寧にやるということは、そこで学びました。

──共演者の皆さんが空気を作ってくれたというお話がありましたが、現場で特に印象的だった言葉や姿があれば教えてください。

安田顕さんの言葉ですかね。安田さん、吉沢さん、甲本(雅裕)さんと僕の4人のシーンだったのですが、重たい雰囲気のシーンの撮影で。気持ち的には瀬戸もつらいシーンだったし、4人それぞれの表情も撮るので、カット数も多く、同じ芝居を何度もするのが難しくなってきたときがあったんです。

そのときに安田さんが「大丈夫、大丈夫」と言ってくださって。「全部受け止めるから」という雰囲気を出しながら目を見て「大丈夫、大丈夫」と言ってくれて、和らぎました。すごくたくさんの経験をされてきている方なので、そういう姿を見せてくれてやりやすかったですし、頼もしいなと改めて思いました。

──まさに植野先生と瀬戸のような関係性ですね。

そうですね、もう植野先生にしか見えなかったです。学ぶことが本当に多かった。ただ、俳優という仕事をしている以上、同じ土俵には立っているわけで。僕がドラマのクオリティを下げるわけにはいかないという気持ちもありました。

──撮影現場では、どなたか先輩に何かアドバイスを求めたり質問をしたりということは?

いや、それはないですね。俳優のプロとしてその現場に呼ばれていると思っているので、現場で周りに聞くということはしないです。わからないことがあったら現場に来る前に詰める。違ったら現場で監督が言ってくれるので、周りにどうしたらいいか聞くということはないです。僕はそれがプロだと思っているので。