撮影を終えて「『頼む、見れるものであってくれ!』と願っています(笑)」
──フジテレビの医療ドラマがお好きだとのことですが、その中でも「PICU」の魅力はどのようなものだと感じていますか?
心の描写がとても繊細で、その中に温かさも含まれていてやさしさもある。そういう世界を丁寧に丁寧に描く作品だなという印象でした。基本1話完結で、最後はほんのり温かい気持ちになれる。そういうドラマだなと思っていました。
実際に現場に入ってみても、皆さんやさしくて。とにかく“出す”よりも“受け止める”現場なんですよ。そこは僕自身もすごく学びになりました。
──そういう作品の中にご自身が入ったわけですが、演じる上で意識したことや気を付けたことはありますか?
とにかくこの世界観を壊したらだめだな、と。しかもスペシャルって大事ですからね。そこでのゲストという大役を任されて、責任感はすごくありました。とにかく変な芝居をしたら俺は終わりだとも思いました。
だって月9のスペシャルドラマで、しかも土曜日の午後9時からって、たくさんの人が見るし、業界の人も見るじゃないですか…。なので変な芝居をしたら終わりだというプレッシャーの中でやっていました。
──撮影を終えてみて、大丈夫そうですか?
いや……まだ完パケを見ていないんでわからないですね。完パケ見るのも怖いです。「頼む、見れるものであってくれ!」と願っています(笑)。でもちょっとした噂によると…良いらしいので、早く見たいですね。
──今回のドラマの中で、特にご自身の「ここに注目してほしい」というところを教えてください。
詳しくは言えないのですが、親御さんに謝るシーンです。それこそ「…」の描写だったと思うのですが、そこにたくさんの葛藤を含ませました。瀬戸として失敗を認めざるを得ない状況で、瀬戸が変わるポイントでもある。あんなにプライドが高い人が失敗を受け入れるのは、かなり重大なことだと思うんです。そこは瀬戸にとってキーポイントだと思います。
俳優をめざしたきっかけは、映画「ボヘミアン・ラプソディ」
──ここからは、もう少し小林さんのパーソナルな部分を掘り下げていければと思います。そもそも、俳優や芸能界を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは大学生のときです。就職活動が始まる頃に、みんながインターンに行き始めて。でも僕は行きたい企業がなくて嫌だなと思っていたんです。そんなとき、お父さんから映画「ボヘミアン・ラプソディ」に誘われて。お父さんがクイーンが好きで「一緒に行かん?」って。
そのとき僕はお芝居に興味があったわけではなかったんですけど、「一緒に行って喜ぶんだったらついていったるか、暇だし」と思って行ったら、その映画がすごく面白かったんです。そこで「この業界、面白そうだな」と思って、半年後には俳優の養成所を見つけて、岡山の大学を辞めて東京に行きました。
──それまでも、ドラマや映画を見るのはお好きだったんですか?
いえ、全然でした。中学校入ってからは部活で忙しかったですし、小学生の頃は「ROOKIES」などを見ていましたけど、ツウというわけでもなかったです。
──じゃあ本当に映画「ボヘミアン・ラプソディ」が運命を変えたんですね。
はい。そのあとに、アカデミー賞を獲った作品だとも知らずに映画「グリーンブック」も見て、「この業界で働こう」と。その中で、養成所から進むなら1番可能性が高いのは役者かなと思って俳優部を選びました。
──ということは、別に役者じゃなくてもよかった?
はい、全然良くて。なんなら、役者じゃないプランのほうがしっかり思い描いていたくらいでした。
──スタッフや撮影クルーなどですか?
そうですね。そっちの道のほうが安定はしているなと。現実味があるのはそっちだなと思っていましたけど、チャレンジするなら若いほうがいいと思って、とりあえず俳優部を最初に選んでみたという感じです。
──子どもの頃には予想もしていなかった人生なんですね。
むしろ成人式のときにも予想だにしていなかったですね、26歳で俳優をしているなんて。自分が1番びっくりしています(笑)。
TCエンタテインメント
発売日: 2024/04/12