――では次に、お2人がそれぞれ演じられる犬屋敷と獅子神の印象を教えてください。
小日向:犬屋敷さんは家族の中でも疎外されているというか、父親としての威厳が全然無くて、見た目も含め本当にさみしいおじさんですね。年の割には老けていて見た目は完璧におじいちゃんですし。ところが、一度死んでしまい機械化されてすごいパワーを持ち、善意の塊のような彼はその力で人助けができるようになります。今まで非力で何もできなかった人が、悪い若者たちに対しても強く言えるようになり、困っている人を助けるという方向に自分が動くことによって、生きている実感が生まれていきます。できなかったことを実現させる喜びを感じていくっていうのは、非常に面白いなと思いましたね。
本当にしょうもなかった犬屋敷さんが、もし自分もそうなれたら「こうしたい、ああしたい」と思う行動を実際に起こしていく様子が見事に描かれているので、読んでいて気持ちいいですよね。この犬屋敷さんは本当に真面目な人で、これだけのパワーを持ったらちょっとは色気を出してもいいんじゃないかとも思うけど(笑)、そういうところが一切無いもんね。
村上:謙虚すぎて怖いぐらいですね。
――犬屋敷と獅子神は2人とも変わった考え方の持ち主ですよね。
小日向:たまたま獅子神の方が善と悪で言えば悪になってしまっているけど、この2人は表裏一体なんだと思う。2人とも孤独なんだよね。
村上:ある意味、すごく似た者同士ではあると思います。獅子神は一見悪役だしダークヒーロー感があって、自分のやりたい事ばかりを自己中心的にやってゲーム感覚で生きてしまう人物で。一見、快楽主義者やサイコパスに見えるし、確かにそういった部分もあるかもしれないです。でも、彼はただ純粋に、家族や親友の安堂など自分の好きな人に対し、彼らを守りたいとか幸せにしたいという一心で動いているんです。ただ、自分の生きる実感が人を殺すことでしか得られなくて、自分の能力に逆に使われてしまっているというかわいそうな滑稽さはありますね。
――特に獅子神は演じる上で難しいかと思いますが、役作りはどうされていますか?
村上:確かに最初に本を読んだ時に、「ちょっとこのせりふ分からないな」とか「それで生きてる感じがするのか」とか、一見理解できない部分もありました。でも、彼は父親と釣りに行けることに純粋に喜んだりする素直さを持っていて、むしろ純粋すぎる人物なんです。だから、僕も役を作り込むというより、素直で実直に演じればいいのかなと思っています。
最初にこの作品を読んだ時は、同じ“人を殺す力”を描いている「DEATH NOTE」(2003年~2006年、「週刊少年ジャンプ」で連載)を連想しましたが、あちらは頭が良くないと力を使えないじゃないですか。でも、こちらはそうでなくても使えてしまうので、力に対して人間の本質が試される作品だなと思いました。
――作品の世界観についての印象はいかがですか?
村上:最初は、手を銃の形にして「パァン」とやるだけで弾が撃てるなんておかしいとは思いました(笑)。でも、現代を舞台にしたSFである意味リアルですし、ちょっとひねった感じが面白いです。
小日向:人間の黒い気持ちを力として簡単に行使できてしまうというのは恐ろしいけど、気持ちはなんとなく分かるような気もするね。人の悪口をパソコンで言っているやつを撃ったりとかね。
村上:そこは「どないやねん!」と思いました(笑)。空も飛ぶしアクションもあるし、男なら分かる爽快感が詰まった作品だと思います。
10月12日(木)スタート
夜0:55-1:25ほか
フジほかで放送
【HP】http://www.inuyashiki-project.com/
【Twitter】@inu_noitamina
TVアニメ「いぬやしき」第1弾アニメーションPV
TVアニメ「いぬやしき」キャストコメントムービー