この秋、千原ジュニアが、新境地ライブ「1P(いちぴー)」を開催。バラエティー番組はもちろん、情報番組のコメンテーターなども務め、ますますテレビで活躍の場を広げるジュニアが、今、改めてコントの舞台に挑むその訳は…?
「芸人としての危機感もあるのかなと思います。コントをやってないっていう危機感が」
――今回の「1P」はどんなライブなのでしょうか?
「僕が作ったコントを見ていただく、というライブですね。まだいろいろ決まっていない部分もあるんですけど、そこだけははっきりしてます」
――昨年のライブ「6人のテレビ局員と1人の千原ジュニア」(2016年3月、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催/DVD発売中)では、ジュニアさんがテレビ制作者たちに“料理される”という形のステージに挑戦されました。その分、今年は全てを自分でやりたいという思いも…?
「それはありますね。というか本来は、あれをやる前にこっちをやっておかないといけなかったんですけど。やっぱり自分が作ったものをお見せして、ちゃんと結果を残してる人間が、ああいうふうに他の人の脳みそを借りて何かをやる、ということができるはずなんで。あのライブはちょっと、みなさんに失礼なことしたかなと勝手に思うてる部分もあるんですよね」
――ジュニアさんはデビュー以来、一貫してコントライブに力を注がれていますが、ここ数年はちょっと間が空いた印象があります。あえてお休みされていたんですか?
「いや、ほんまに何となく、という感じなんですよ。いろんなタイプの芸人さんがいると思うんですけど、僕は『毎年この時期にライブをやる』みたいなタイプじゃなくて、やりたくなったときにやるっていう感覚なんです。やっぱり舞台って“衝動”やと思うんで」
――今、その衝動が湧いてきた、ということですか?
「まぁ、そういうことなんでしょうね。あと、芸人としての危機感みたいなもんもあるのかなと思いますけどね。コントをやってないっていう危機感が」
――ジュニアさんは、常にコントのネタを考えているというよりも、ライブをやると決まってから、そこで初めてコントのネタを作り始める、というタイプですか?
「そうです、そうです。そやから、コントを作るのはかなり久しぶりなんで、めちゃくちゃ苦しいんですよ、今。変な夢もよう見ますしね。『ネタ全然できてない!』って焦ったり、『めっちゃスベってる!』って冷や汗かいてるところで目が覚めて、『あっ、夢か』みたいな。コントライブをやる前は、毎回悪夢にうなされるんですよね。何か『ああ、この感じ、この感じ』って、いつもの感覚がよみがえってきてるところです。いや~、怖いですね。怖いですけど、悪夢を見るくらいの思いでモノを作らないと、みなさんにも失礼やと思うから…」
「いずれまた、せいじとコントをやりたいっていう時期も来るんでしょうね」
――万人に受けなければいけないテレビの世界と、自分の笑いを追求できるライブ。テレビで活躍されているジュニアさんだからこそ、その揺り返しで意識がライブに向かう、というところもあるんでしょうか?
「うーん、そういう月並みな考え方に乗っかるのはイヤやけど(笑)、どっかでそういう意識はあるんかな…。僕が今この時期に一人でコントをやりたいと思うっていうのは、芸人の細胞がそうさせてるような気がするんですよ。僕の場合、ネタ番組でやるためにコントを作らなあかんとか、毎年コントライブやるって決めてるから作らなあかんとか、そういう縛りは全然ないんで。だから逆に言えば、ほんまは別にやらんでもええんですよ、こんな怖いこと(笑)。でも、それ以上にやりたい気持ちが勝ってしまうんでしょうね」
――『1P』というタイトルから推察すると、今回は“一人コント”になるんでしょうか?
「誰かと一緒に、ということもあるかもしれないですけど、一応、一人コントですね。実は、『1P』の“P”っていうのは…ザテレビジョンさんにこんなこと言っていいかどうか分からないんですけど…3PのPと同じ意味で(笑)。要するに、僕のオナニーをのぞいてもらおう、と。僕がどんなコントをやったって、誰かに何を言われる筋合いもあらへん、みたいなところもあるし(笑)。だから、いわゆるコントじゃないコントみたいなものもあるかもしれないですね。そういう意味でも、今ほんまに怖いんですよ。誰に遠慮する必要があるんやとか、笑いにルールなんかないと言いながら、でも、これをやって大丈夫かっていう自問自答も常にありますから。あとはやっぱり、自分がライブをやる前提として、“今まで自分が作ってきたものに勝てるもの”というのがあるんで、そこに勝てるかっていうのが一番怖いですね」
――千原兄弟としてではなく、一人コントという形を取られたのはなぜでしょう。
「今、(千原)せいじと2人で、がっつりコントライブっていうのが、何となく感覚的にしっくり来なくって。せいじも最近忙しいんで。(テレビ朝日系「世界の村で発見!こんなところに日本人」のロケで)アフリカにいるせいじとスカイプで稽古するわけにも行かんしね(笑)。だから今は一人で、っていう感じですけど、まぁ、いずれまたコンビでやりたいっていう時期も来るんでしょうね」
――ライブの形はもうだいぶ見えてきているのでしょうか? ネタ作りなど、どのくらいの完成度ですか。
「今は、種を植えて、ようやく芽が出て来た、というところで。たいていは種を植えても半分くらいは芽が出てこないんで、だいぶ進んだ方やと思うんですけどね。で、だいたいやるネタは決まって、それをこれからちゃんと形にしていこうというところですね。だけど毎回、トータルで見直してみてから、あとから『もう1本必要かな』ってことになるんですよ。それでまたゼロから1本作ることになるんで、しんどいんですよね」
「ネット配信の番組も、もっとやってみたい。言うたら、おもちゃが1個増えた感じですよ」
―― 一方で、千原兄弟としては、トークライブ「チハラトーク」を現在も月1回のペースで開催されています。セレクト版がAmazonプライム・ビデオで配信中ですが、「チハラトーク」の見どころを改めて教えてください。
「これは、前日に悪夢にうなされることもなく(笑)、実家でせいじと一緒にコタツに入ってしゃべってる感じなんで、みなさんも千原家の実家をのぞき見する感覚で、気楽に楽しんでいただければ、という感じですかね。それにしても変な兄弟ですよね、毎月毎月、アホみたいにしゃべって(笑)。でもまぁ、仕事がゼロになっても、『チハラトーク』だけはやり続けるんでしょうね」
――同じAmazonプライム・ビデオでは、ジュニアさん企画のオリジナル番組「千原◯ニアの◯◯-1GP」も配信されています。これはやはり、地上波のテレビではできないことをやろうということで始まった番組なのでしょうか?
「もともと、僕がやりたいことをそのままやらせてくれるっていうことで始まった番組なんですけど、地上波ではできないこととか何とか、そういうことへの意識は全くなかったです。でも言われてみると、確かに地上波の番組とは違いますよね。とにかく、関わってる人たちの中にNOを言う人間がいない。YESしかない(笑)。会議やってても前向きな言葉しか出てこないし、すごく明るい現場で。今回初めて組むスタッフなんで、最初はちょっとうまくいかない部分もあったんですけど、最近やっと固まってきた感じですかね。言うたら、おもちゃが1個増えた感じですよ。こういうネット配信の番組も、機会があったらもっとやってみたいなと。今ちょっと考えてるのは、日本って無人島が2000~3000くらいあるらしいんで、それを使って何かできないかなと…まぁ、地上波でもできるのかもしれへんけど(笑)」
日時:9月21日(木) 18:30開場/19:00開演
9月22日(金) 18:30開場/19:00開演
会場:東京・草月ホール
料金:前売5000円/当日5500円
問合せ:チケットよしもと 0570-550-100(10:00~19:00)
■「千原◯ニアの◯◯-1GP」
■「千原兄弟『チハラトーク』セレクト」
Amazonプライム・ビデオで見放題独占配信中