石原さとみと中村倫也が、5月18日に都内で開催された映画「ミッシング」の公開記念舞台あいさつに登場。共演の青木崇高、脚本・演出を務めた吉田恵輔監督と公開を迎えた感想や、“優しい気持ち”になったエピソードなどについて語った。
同作は、“人間描写の鬼”といわれる吉田監督のオリジナル脚本で「自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品」と語る、限りなく哀しく、愛しく、優しい“魂の行方”を描く物語。石原は失踪した娘を捜す主人公・沙織里を、中村は沙織里の家族の取材を続けるテレビ局の記者・砂田を演じている。
5月17日に公開を迎え、あらためて今の心境を聞かれた石原は「(舞台あいさつに)出る前まで『あんまり実感が湧かないな』って話していたんですけど、ん~。うれしいですね」と感慨深い表情を浮かべると、すかさず中村は「『(出る前に)今日はハンカチ大丈夫ですか?』って聞いたんですよ。『今すっごい冷静だから。任せて!』って言ってました!(笑)」と先日のイベントで石原が感極まって泣いてしまったこともあり、ちゃめっ気たっぷりに報告。
それを受けて、石原は「大丈夫です(笑)。(公開して)もう、ここからは皆さん次第です」と映画が公開すればあとは観客に受け取ってもらうだけと伝えつつ、「言葉にするのは難しいと思うんですよね。ですけど、余韻に浸りながら見た方とか、誰かとお話していくといろいろ思い出しながら合点がいくところだったり、共感できるところだったり、ざわざわした気持ちに少しだけ光が感じられるかなと思います。ぜひ語っていただけたらうれしいです」と、映画を見た後の観客に向けて呼び掛けた。
そんな中、今作を見た人からの感想に“つらいけどラストは優しい気持ちになれる”という声も多いということで、MCから「最近優しい気持ちになれた、幸せな気持ちになれたことは?」という“映画のイベントっぽい”質問が。
その質問に、石原は「先日自分の子どもの身長・高さに合う、ピッタリサイズの机が欲しかったんです。でも、どこにも子どもサイズのベストな物が売ってなくて。その話を義理の両親にしたところ、子どもの誕生日に向けて角が丸くなっていて、高さもピッタリな名前入りのテーブルを手作りで作ってくれまして。もともとDIYが趣味だとは知っていたんですけど、木から削って、切って作ってくれたんです。そこにあふれるほどの優しさを感じて本当に驚いたんです。すごくうれしくて、子どもは毎日そこで食べたり飲んだりしています」と義理の両親からの愛情、優しさを感じるエピソードを披露。
それを受けて、中村が「俺にも言ってくれたら作れたのになって…」と、冗談とも本当ともつかぬテンションで語り、周りの登壇者も疑いの目を向けると「結構家具作るんで。もし電動の工具を欲しい時は貸します。よくホームセンターでもツーバイフォーの板とか軽トラレンタルして、エレベーターに斜めに入れてこう…」と詳しく語りだし、どうやら本当のようであることが分かり、石原は「本当に!?本当にやってる!?すごいですね」と目を丸くしてビックリ。
普段DIYでどんな物を作っているのか聞かれると、中村は「僕は文庫、新書、DVD、Blu-ray、あと何かデカい新装版みたいな漫画とか、サイズが全部違う物もピッタリハマる棚を作ったりするんです。だから今度親御さんと張り合いに行きます。ウザいだろうね~そんな共演者(笑)」とおどけ、「適当なことで尺は使いません」と、うそではないことを強調していた。
そんな中村が優しい気持ちになったエピソードについては「僕はこの方、石原さとみ先輩」と話し、「真面目な作品の取材なんですけど、どうしてもがチョケ(ふざけ)たくなる性分でして。一緒に対談とか取材していて、最初は恐る恐るチョケたんですよ。怒られるんじゃないかな?って。石原さん怖いじゃないですか。そしたら毎回毎回ちゃんとツッコんでくれるんです。めちゃくちゃ優しいじゃんって。さっきも、最近スマホのあれで、自動販売機で水買えるようになったんだって自慢したら、『これ出さなくてもできるんだよ、知ってた?』って教えてくれて。優しいなって」と具体的な優しいエピソードを明かすと、興味深く聞いていた吉田監督は思わず「何かちょっとスケールが小さいな」とツッコんでいた。
そして中村は「僕、携帯の進化についていけない現代人として、同い年のお姉さんにこれからもいろいろ困ったら連絡しようと思います」と宣言し、石原は「いつでも(笑)」と笑顔で返していた。
映画「ミッシング」は全国公開中。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)
※吉田恵輔監督の「吉」は、“つちよし”が正式表記