コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、SNSに創作漫画を投稿しているだやんカップさんの『因習村ヤンデレと出戻りさん』を紹介しよう。
同作は因習村をテーマにしたホラー漫画で、7月20日に、だやんカップさんのX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人から注目を集めたようで6.3万もの「いいね」を獲得。そこでだやんカップさんに、『因習村ヤンデレと出戻りさん』を描いたきっかけやこだわった部分について伺った。
ただのヤンデレでは終わらない…
――同作は田舎から家出して約10年ぶりに帰郷した女性目線で描かれる奇妙な物語だ。
「久しぶり、だなぁ」「よう、帰ってきたなぁ」
夏、セミの鳴き声が響く中、幼馴染である「蓬(よもぎ)」が手を振って出迎える。久しぶりの再会に嬉しくなった蓬は「元気かぁ?」「俺ン家でなんか食ってけ」と言葉を次々と投げかけた。
2人は電車の駅からバスに乗り、蓬は「家出したことはぁ… ま、俺も一緒に謝ったるで」「心配してるだけだぁ」と再び彼女に言葉をかけ続ける。そうこうしているうちに目的の場所につき、「言ってなかったけな?」「目下前のが廃止になったで、ちょっと歩かなならんなったんよ」と説明する蓬。そして、2人は歩き始め、蓬は彼女の詮索を始める。
そして、彼女が家出した後、ずっと心配していたことを告げると、蓬は唐突に「余りもん同士、一緒にならねぇか?」「俺ぁずっと 待って、たんだ…」と想いを告げる。しかし、彼女は蓬の告白に応えるかと思いきや、突飛押しもなく「だから娘を殺したの?」と口を開く――。
ヤンデレというテーマではあるものの、終始不穏な雰囲気が漂う同作に、読者からは「一方的に蓬が喋っている意味を知った時にゾッとした」「後ろの岩が怖すぎる」「読み返すと、新たな気づきがあって面白い」など、様々な反響が寄せられている。
「因習村」を題材にしたのは不埒な思いから?
――『因習村ヤンデレと出戻りさん』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
そもそもホラーとヤンデレが好きで、「因習村」という題材はとにかくドロドロとしたものが多いので、「ヤンデレを産みやすい環境なのでは?」と思ったのが…いや、いてほしいなという不埒な思いから描きました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
色味ですかね…。とにかく夏っぽくなるように背景や人物にあたる影と光を描きました。あと、「のぞき岩(目玉がついた岩)」がちょこちょこ動いていたり、「めうえさま(今回のホラー要素)」が空にうっすらいたり…など細かくホラー描写を盛り込んであるので、楽しんでいただけたらなと思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
「余りもん同士一緒にならねぇか?」のくだりが、「どの口が言ってんだ」と描いていて思ったので好きですね。シーンでいうと後ろを向いている蓬ですかね、あんなに会いたかった出戻りさんから目をそむけて、「どんな顔をしているのだろう…?」と想像するのが楽しい一枚ですね。
――個人的に『因習村ヤンデレと出戻りさん』のような村の風習や言い伝えなどをベースにしたホラーはリアリティがあって怖いなと思うのですが、だやんカップさんは、何か村や島などの怖い話から影響を受けたのでしょうか?
「明確にこれだ!」というものはないのですが、子供の頃「洒落怖」などを良く読んでいて「ヤバい村」系の話が多くて印象に残っていますね。「ホラー」と言えば「因習村」みたいな…漫画や映画でもよくある題材なので、何かしらのミームがある気がしてそれらを踏襲している気がします。
あとホラーではないのですが、『TRICK』というドラマが好きでして、よく因習村が出てくるのですよね。背景の雰囲気や蓬のエセ田舎喋りはそこから影響を受けている気がします。
――今後の展望や目標をお教えください。
Skebとか始めたいですね(笑)
あと、これからも描いていきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
8月中に「うらむくはぱらいそ」というSFチックな短編フリーゲームを出す予定です。もし出たら、ぜひプレイしてみてください。これからもよろしくお願いいたします!