【試写室】「刑事7人」硬派な刑事たちがたどり着いた真相…そうきたか

2017/09/13 05:05 配信

ドラマ コラム

「刑事7人」で沙村康介を演じる高嶋政宏、水田環役の倉科カナ(C)テレビ朝日


本作以外にも、「遺留捜査」(テレビ朝日系)や「警視庁いきもの係」(フジ系)、「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SECOND SEASON」(テレビ東京系ほか)と、個性豊かな刑事ドラマが7月期は放送されてきたが、最も硬派な刑事ドラマなのは本作だろう。

というより、近年まれに見るハードボイルドな作風の刑事ドラマと言うべきか。

前週第9話では、青山(塚本高史)の“裏の情報源”で昔のワル仲間・久喜鉄平(米村亮太朗)と、彼の子どもを身ごもり幸せいっぱいの妻が惨殺されたり、かつて天樹らの仲間だった刑事・永沢圭太(鈴木浩介)を殺した死刑囚・丸藤遼平(音尾琢真)が脱獄。

沙村(高嶋政宏)がほのかに好意を寄せるジムのスタッフ・宮本あかり(ハマカワフミエ)を人質にとってタイマン勝負を仕掛けたり、って結局そんなあかりもグルだったり…。

かと思えば車いすに乗って花束を抱えた男がいきなり銃撃(馬久根を)してきたり…、汚い言葉を使うならエゲつねえ。

特に久喜の妻は、今どき時代劇でも露骨には描かないことが多い、首を取って相手に送るという残虐極まりない手段が用いられた。久喜の表情だけで、こちらにもその衝撃波が押し寄せてくるほど。演出の妙か、見た目的には感情移入できない系男子(※主観です)の久喜だが、同情を禁じ得なかった。

9話の内容はもちろん、9話から最終話冒頭の銃撃戦も含め、この作品自体シリーズを重ねるごとにハードボイルドさが増している気がする。特に今回に関しては、舞台となった臨海エリアという場所の無機質な雰囲気と、最大の敵であり、シリーズの縦軸としてずっと異質な存在感を放っていた馬久根という男の影響か。

言葉を選ばずに言うと、パッと見、馬久根は気のいいおじいちゃんでしょ。孫が夏休みに遊びに来たら、義娘に内緒でお小遣いあげちゃうタイプでしょ? 夜はジャイアンツの試合を見て、ふがいなさに文句を言っちゃうタイプでしょうよ。

それが、もちろん目に見える形で彼が何かをしているわけではないのに、ダンディー過ぎる声で「また馬久根か!」「馬久根め…」と、沙村や片桐(吉田鋼太郎)が吐き捨てれば、もうそっち系の怖い人にしか見えなくなる。むしろ山本學の目尻の下がった柔和な笑顔が、余計に恐ろしく感じてしまう。心憎い手法だ。

実際、筆者も最近身の回りで何か理不尽な出来事が起きると「また馬久根だよ」「だって馬久根が~!」と、何でも馬久根のせいにしちゃっている。あ、バカにしているわけではありません。何かおもむろに言いやすい名前なんだもの。

それに馬久根にしろ、御厨にしろ、天樹にしろ「刑事7人」のキャラクターのネーミングセンスも好きだったりする。

そして前から思っていたけど、天樹の捜査スキルというか、推理能力はずば抜けておるなあ。

さておき、ここまで最終話のストーリーについては具体的に何も触れてないってことがそろそろバレそうだが、なぜか。だって、核心に触れることをここで書いてしまったら、馬久根に消されちゃうから…。私が言えるのはこれだけだ。

真相は薮の中、ではなく夜9時から。