文芸作家としても活動するNMB48の安部若菜の2冊目の小説『私の居場所はここじゃない』が12月6日(金)に発売することが決定した。安部の1作目の小説『アイドル失格』は全12話で実写ドラマされ、「コンプティーク」でコミカライズも進行中。第2作『私の居場所はここじゃない』発売までの期間、NMB48の主力メンバーとして活動する傍ら小説執筆にも精力的に挑戦する安部若菜の作家としての努力やアイドル活動との両立について綴るエッセイをお送りします。今回は小説のテーマにもなった「夢」について綴ります。
『私の居場所はここじゃない』、タイトルに込めた想い
初めまして、NMB48の安部若菜です。
普段は大阪の難波でアイドル活動をしているのですが、本好きが高じて小説を書いており、12月6日に小説『私の居場所はここじゃない』を発売させていただきます!
2022年の11月に処女作「アイドル失格」を出版してから2年、私にとって2作目の小説になります。この2年間で『アイドル失格』は漫画化、ドラマ化と有難い進展がありましたが、その裏で執筆を進めていました。
私は物心ついた頃から本が大好きで、今も人生の1番の幸せは「のんびりと本を読むこと」です。休みの日は大抵お家や喫茶店で本を読んでいるので、こうして仕事として"本"に携われることは本当に嬉しいですし、何より幸せなことだと感じています。
そんな2作目のタイトルは『私の居場所はここじゃない』
今作は高校生男女5人が、理想と見えてくる現実の間で悩みながらも、必死に夢を追う物語です。友人関係や嫉妬、なりたい自分となれる自分。高校生の青臭さや瑞々しさが、ぎゅっと詰まった1冊です!
〈あらすじ〉
舞台は大手事務所主催のエンターテイメントスクール。3月にある事務所所属をかけたオーディションに向け、高校生5人はレッスンに励んでいた。
友達と一緒に応募したオーディションで特別に声をかけられ、成り行きでアイドルを目指すことになり、当たり前だった「青春」や友人関係に息苦しさを感じ始める莉子。亡くなった母の期待を背負い、結果を残したいと焦る、ダンスボーカルグループ志望の冬真。「子どもを産まなければモデルになりたかった」という母の言葉で将来の夢を決め、SNSの活動を頑張るモデル志望の美華。「普通」「真面目そう」と言われ続けてきたことにコンプレックスを抱き、「特別」になりたいと強く願う俳優志望の純平。いじめが原因で自ら芸能活動を辞めたが、もう一度自分の居場所を求めて入学を決意した、元天才子役のつむぎ。嫉妬や葛藤を乗り越えて彼らが最終オーディションの舞台に立つとき、どのような"光"を放つのか――。
「自分の居場所はここじゃない」
そう思った経験のある方は少なくないのではないでしょうか。かくいう私もそんな1人です。きっと、それぞれの学生時代や青春時代に共通する部分や共感するポイントが見つかると思います。
そして『私の居場所はここじゃない』出版に際して、小説の執筆裏話を連載させて頂くことになりました!小説はもちろんアイドルの話も、この場を通して一人でも多くの方にこの本の存在を知ってもらえるよう綴っていきます。
2作目のテーマは「夢」。夢についてずっと考え続けてきた自負がある
改めて2作目を出版できること、連載させて頂けること、当たり前ではないですし本当に有難く思います。
ですが正直、前作を執筆している最中は「2作目なんて絶対無理」と思っていました。慣れない執筆活動とアイドル活動、大学生活も重なり、好きで始めたことなのに、ゴールの見えない執筆作業に小説を書き始めたことを後悔する日もありました。
それでも不思議なことに、しんどいことは後になったら忘れてしまうもので、出版して1ヶ月ほど経った頃には「次は何を書こうかな」と呑気に考えている自分がいました。(すぐに呑気じゃいられなくなるのですが…)
1作目では「アイドルが描くこんな話があったら面白そう!」と"アイドルとそのファンの恋愛"を描きましたが、アイドルの経験を詰め込んだ話を書いた次作のアイデアはすぐに行き詰まりました。
漠然と書きたいことはあるけど、話としてまとめられない。アイドルとしての私が書くべきなのか分からない。迷って周りに相談してみると、
「そんなに出てこないってことは書きたいことなんて無いんじゃないの?」「普通、書きたいことがあって書き始めるもんじゃないの?」
そんな当然の指摘を頂いたり……。その時期は、2作目の執筆に苦労した小説家たちのインタビューをネットで検索して読み漁って心を落ち着かせていました。
何度もノートに自分の中に散らばるワードを書きだし、ようやく道が見えてきた頃にはすっかり季節が巡り、1作目の『アイドル失格』では大まかなストーリーは1、2週間で出来たのに、今回はプロットを練り上げるまでに1年かかりました。
そうして見つかったのが、今回の大きなテーマでもある「夢」です。
私はアイドルになりたいという中学生の時に抱いた大きな夢を運良く叶えることができ、高校1年生の終わりにNMB48に加入しました。
ですが夢を叶えて入ったNMBではいつも"次の夢"を求められ、夢を叶えたのにまた夢を探さなくちゃいけない環境で6年間過ごし、「夢」についてはかなり考えてきた自負があります。そして何度も悩んだ結果、ある疑問に辿り着きました。
【夢って、必要なんでしょうか?】
あなたの夢は何ですか?あなたの居場所はどこですか?
夢に向かって努力する人間は偉くて、目標も無く日々を生きる人間はダメだという空気も世の中にはあります。
きっと、正解のない問いなんでしょう。夢は人の数だけあるのなら、夢への向き合い方も三者三様。本作ではそんな芸能界を目指す5人の高校生の「夢」への向き合い方が詰まっています。
あなたの夢は何ですか?あなたの居場所はどこですか?そんな答えのない問いに少しでも寄り添える小説になれば寄り添えたら幸いです。
12月6日発売の小説『私の居場所はここじゃない』に加え、それまでのこちらでの執筆裏話もぜひよろしくお願いいたします!
安部若菜執筆エッセイは毎月第1・3金曜20時公開。第2回は9月6日(金)を予定。
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■安部若菜 処女作『アイドル失格』
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