王だけが知る、兄弟の想い人 イ・ミノ“ヤンミョングン”が浮かべる悲しい表情のワケ<太陽を抱く月>

2024/08/31 12:00 配信

ドラマ レビュー

ヤンミョングンの願いとイ・フォンの行動


ミナ王女が玉蹴り大会の観戦を終えて部屋へ戻る際、父王であるソンジョ(アン・ネサン)と出会う。「学友と楽しんでいるか?」というソンジョの問いに、ミナ王女は「この者が好きです」とホ・ヨヌの手を取る。ソンジョは2人に良き学友であってくれと笑顔を見せた。

ソンジョは続けて「温室樹を口にしてはならんぞ」と伝え、ホ・ヨヌとユン・ボギョンに意味はわかるかと問う。答えられないユン・ボギョンは謝罪しながら、父の教えと自分が学んでいるものをソンジョに伝える。一方ホ・ヨヌは、「王宮内での出来事は漏らすなということです」と故事にまつわる話であることを説明。ソンジョは満足そうにうなずき、「物知りだな、そのとおりだ」と言ってその場を去る。

その後、ヤンミョングンが父であるソンジョをあいさつのために尋ねた。しかしソンジョは「何をしに来た」と冷たく問う。ヤンミョングンは「私からささやかな願い事がございます」と話し、「慕う者がおります」と伝えた。冷遇されてはいても、ヤンミョングンは王様の血縁。「万が一、私の婚礼について計画がおありなら、どうか私の気持ちも考慮してください」と必死に訴えるのだった。

哀しい表情で「これが厚かましくも王様に申し上げる最初で最後の願いです」と続けるヤンミョングンに、「どこの家の女だ?」とソンジョが答える。受け入れられるとは思っていなかったのか、信じられないといった表情を浮かべるヤンミョングン。「弘文館大提学の娘、ホ・ヨヌです」と告げると、ソンジョは「わかった。考えておく」と答えた。

ヤンミョングンは心の底からそれを喜び、ソンジョの部屋を後にする。1人になったソンジョは、「愚か者め」と静かにつぶやく。「王宮に来る際は慎重にと言っただけだ。来るなとは言っていない」終始哀しげな表情を浮かべていたヤンミョングンに持つ、たしかな愛情を吐露するのだった。

だがそのすぐあと、イ・フォンが密会を企てたことを叱りつけるために呼び出したところで事件が起きる。ソンジョがイ・フォンの軽率な行動をとがめたところ、彼がホ・ヨヌのことを慕っていると口にしたのだ。兄弟がそれぞれ同じ相手に好意を持っていると知ったソンジョだが、先に約束したのは兄の方。そしてイ・フォンは兄より重い、王としての使命がある。

「お前は国本(クッポン)なのだぞ。軽率な行動により、その者が政争の犠牲になるのだ」そうきつく言いつけられたイ・フォン。大事にしていたホ・ヨヌからの贈り物である鉢も、ヒョンソンに捨てるよう命じる。王としての責務を思い、未練を断ち切ろうとしているようだ。

王を始めとする多くの人間が参加した清めの儀式。面をかぶった者が何人も陽気に踊る祭りの夜に、ホ・ヨヌは自身へ語り掛ける声を聞く。「離れてください。あなたには荷が重い運命です。縁を築くのはここまで、今逃げるのです」。声の主であるチャン・ノギョンはホ・ヨヌに必死に何度も伝えるものの、ホ・ヨヌは面を被った人物に手を引かれて連れ出されてしまう。

面を被っていた人物はイ・フォンであり、人気のないところで面を取る。「私がわかるか?」とホ・ヨヌに問うと、頷くホ・ヨヌ。「この国の…」と言い淀む彼女に、イ・フォンは「世子だ。名前はイ・フォン」と初めて自身の口で名を告げる。夜空に花火が浮かび、花びらが舞う夜…2人を追って来ていたヤンミョングンは、向かい合う2人の姿を遠くから苦しそうな表情で見つめていた。

結びつきが強まり、そして綻びが見え始める第3話


第3話では、少しずつ状況が加速していくようすが見られる。王宮内の事情と政争が描かれ、イ・フォンとホ・ヨヌ、ヤンミョングンとホ・ヨヌという胸が苦しくなるような三角関係が明らかになった形だ。

また視聴者にだけわかるソンジョの苦しさも、物語を彩るスパイスになっている。父としての愛情をたしかに持ちながら、王として兄弟に差をつけなければいけない苦しさはひとしおだろう。そしてその判断は、2人の関係を今後どう左右するのか…。

チャン・ノギョンの不穏な予言も手伝い、暗雲が立ち込め始めた「太陽を抱く月」。Huluにて全20話が配信中だ。