半年にわたる放送も、いよいよ残すところ2週間となった連続テレビ小説「ひよっこ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。
評判・視聴率共に好調のままゴールテープを切るであろう本作の、「気になる部分」を制作統括・菓子浩氏に直撃。
ヒロイン・みね子(有村架純)の父である実(沢村一樹)を記憶喪失という設定にした経緯や、編集作業で気付いたという有村の“ある変化”を聞いた。
──ようやく見つかった父・実が記憶を失くしていたという展開は、大きな反響を呼びました。視聴者の反応をご覧になって、いかがでしたか?
日常を淡々と描いていた中で起きた、この作品で一番ドラマチックな展開ですからね。驚いたという声が多かったように思います。
当初から、“ご都合主義に見えないようにしたい”というのを、脚本の岡田(惠和)さんとは慎重に話し合いながら進めてきました。
登場人物が記憶喪失になる物語は、これまでにもたくさんありますが、何か事件を起こして物語を進めるという手法をとっていない「ひよっこ」にとっては、かなり異色な仕掛けで、視聴者の方の目にどう映るかなという心配はありました。それだけに、好意的な反応が多くて安心しましたね。
最大の功績は、有村さん、沢村さん、菅野(美穂)さん、木村(佳乃)さんの演技だと思います。4人の掛け合いに感嘆する声が多かったですよね。
──「実が記憶喪失になっていた」という展開は、どのようにして生まれたのですか?
「茨城から集団就職で上京する」というのがまず決まっていて、岡田さんとは「その動機をどうしようか?」と考えていたんです。単に「貧しくて働かなければいけない」というストーリーにはしたくなくて、「父親の失踪」という案が出てきました。
でも、岡田さんは、このドラマで“根っから悪い人”は書きたくないのだと思います。じゃあ、「失踪しても“悪くない”人は?」といろいろと考えていった時に、最終的に「記憶喪失」にたどり着いたという感じでしょうか。
──先日クランクアップしましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
現場の雰囲気は、クランクインの時から一貫してすごくいいんです。こういうのって、質問されて取りあえず「いいですよ」って答えるものだと思うんですが(笑)、今回は本当にいいんですよね。それがスタッフの支えになっていました。
──以前、木村佳乃さんが「有村さんがみね子と一緒に成長している」と仰っていましたが、それは菓子さんも感じますか?
みね子と実が奥茨城に帰るシーンでは、物語序盤の映像を回想シーンとして入れています。そうやってつないで見ると、本当に有村さんの顔が変わっているんです! ご覧になった方も、そう思われた方は多いと思います。
有村さんはもともと実力のある俳優さんですが、みね子という1人の女性として、ちゃんと成長しているんです。ずっと一緒にいると気付きませんが、あらためて編集してみると、本当にそれを実感しましたね。
※【「ひよっこ」制作統括に聞く(2)『世津子が再登場したのはなぜ?』】に続く
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