秘話3:屋内のシーンでも「中から外の“庭”を撮る」という発見
撮影の進め方も、日米どちらかのやり方にこだわるのではなく、両方のいいところを採用していく方法をとった、とマークス氏は言う。真田が作成したリストをもとに、時代劇の経験豊富な日本人クルーを各所に配置。各部門のアメリカ、カナダ、日本のスタッフが「なぜこれが間違っているのか」という疑問を一つ一つ納得するまで話し合いながら信頼関係を作っていった。
その過程で各国スタッフの異文化理解がより深まり、それが作品にいい影響を及ぼすこともあった。
物語の舞台は日本であるため、セットの建物も日本家屋。前述の記事によると、撮影時、米側スタッフが背景の壁が殺風景で悩んでいたところ、日本人スタッフが「日本の家屋は室内から庭を望むように作られている」とアドバイス。そこで見た景色に米側スタッフはみな驚いたという。「外から中を撮るんじゃなくて、中から外の庭を撮る。カメラを置く位置を変えただけで、全然違う風景が広がっていました」(コンドウ氏)
秘話4:“名もなき侍”役まで日本人、ケータリングに日本食
本作では、メインキャラクターはもちろん侍A、B…といった“名もなき侍”もふくめ、日本人役を日本人俳優が務めている。撮影前には徹底したブートキャンプ(訓練合宿)も実施。 日本人キャストはみな、所作監修スタッフによる指導の下、着物の着方や歩き方、座り方、障子の開け方などを徹底確認したほか、殺陣も猛特訓を重ねて本番に臨んだ。日本人俳優のためにケータリングした日本食は現地スタッフにも好評で、1日に90~200人分が用意されたという。
刀を使った殺陣や馬術、弓術はもちろん、これまであまり描かれてこなかった女性陣の戦い方も、専門家の監修の下、忠実に再現された。なぎなたで戦うシーンのある鞠子役のアンナ・サワイは、扱い方を特訓。「女性は戦闘中も足を開くことが許されないから、なぎなたで距離を保ちつつ戦う」と女性ならではの戦い方について学んだことも明かした。
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