<転生したらスライムだった件 第3期>中山敦史監督に聞く第3期の振り返り&最終話の見どころ「最後はいつもの『転スラ』で締めます!」

ミョルマイルの芝居が第3期を一層明るく

「転生したらスライムだった件 第3期」より(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会


ーー第3期でとくに印象的なシーンを振り返っていただけますか。

中山 いくつもありますが、序盤で言うとヒナタとルミナスの関係性が明らかになる一連のシーンです。第2期の冒頭から登場しているヒナタですが、彼女がルミナスと戦い、負けたことでルミナスの配下に加わっていたというエピソードはこれまで描かれてこなかったヒナタの過去なので、そこはなるべく印象深く描ければいいなと思っていました。ヒナタに関しては、今回いろいろな一面が明らかになるキャラクターなので、とくに丁寧に描こうと意識しましたね。

ーーヒナタで言うと、リムルとのバトルも凄かったですね。

中山 このふたりは第2期で一度戦っているので、それを超えるバトルにしなくてはならないというところが苦労しました。リムルも魔王になって強くなっているし、ヒナタも奥義を繰り出すなど、お互いに100%の状態でのぶつかり合いですから、それが伝わるように、いろいろなアイデアを出し合いましたね。リムルの「未来攻撃予測」はどんな映像にしたらいいんだろうと、かなり悩みました。これはヒナタ戦に限りませんが、バトルに関してはより激しく、よりスケールアップしていかないといけないわけですよね。シリーズものの宿命ですが、そこに毎回難しさを感じます。同時に、僕としては今回やり切れたかなと思っています。

「転生したらスライムだった件 第3期」より(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会


ーー中盤以降で印象深いシーンは?

中山 個人的にはミョルマイルの活躍ですね。第3期まで進んで、まさか彼がこんなにもイキイキと描かれるとは思っていなかったので(笑)。通常の作品であれば、ミョルマイルのような戦闘要員ではない裏方キャラがここまで描かれることは少ないと思いますが、そのあたりはやっぱり『転スラ』だなと感心させられます。

ーー第1期の登場時からそうですが、リムルとの掛け合いも相変わらず独特な雰囲気ですよね。

中山 悪代官と越後屋みたいなノリですよね(笑)。いかにも悪友っていう雰囲気がいいですし、ミョルマイルはリムルが国王であり魔王であることも普通に受け止めていて、実は器の大きな人間なのではないかと思いますし、好きなキャラです。

ーー第68話(第3期20話目)で、現金不足問題が起こった際のミョルマイルの「使えませーん」の2連発が好きです。

中山 分かります(笑)。あのシーンは、演じている青山穣さん本人なのかミョルマイルなのか、僕たちにも判断がつかなくて(笑)。青山さんご本人もすごく楽しい方で、ずっとノリノリで演じてくださいましたし、ミョルマイルというキャラクターは青山さんにしか分からないところがあります。結果的に楽しいキャラクターに仕上げてくださって、そのおかげで第3期全体のトーンが一段階明るくなったと感じているので、青山さんには本当に感謝しています。

ーー終盤の「開国祭」周りで印象に残っているシーンはありますか?

中山 作画的に大変だったのは、やはりシュナとシオンの二重奏シーン(第68話)です。ここは先に演奏シーンの尺を決めて、それに合うように音楽担当の藤間仁さんに楽曲を作っていただいたんです。それをプロの演奏家さんが演奏して、その際の実写映像を参考に作画しています。これもテレビシリーズでやったら怒られるような手法なんですけど、開国祭の豪華さやスケール感を表現するには外せないと思い、なんとかやらせてもらいました(笑)。

最終話はいつもの『転スラ』へ!


「転生したらスライムだった件 第3期」より(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会


ーー残すところ最終話のみとなりました。最終話の見どころをお聞かせください。

中山 第71話(第3期23話目)で「開国祭」の全イベントが終了していますから、最終話は「祭の後」のような状態ですね。少しのもの悲しさがありながらも、いつも通りの『転スラ』に戻っていくお話です。

ーーリアルタイム視聴ができなかった人には、ぜひTVerでの視聴もオススメしたいのですが、中山監督はTVerを利用されることはありますか。

中山 便利なので、僕はいつも使っていますよ。知り合いやスタッフからオススメのドラマや番組を教えてもらった際、まず最初に確認するのはTVerさんです。『転スラ』の最終回を見逃したという方も、ぜひTVerさんほか、いろんな配信でも観ていただけたら嬉しいです!

ーーありがとうございます。では最後に、シリーズファンに向けてメッセージをお願いします。

中山 ここまで視聴していただき、ありがとうございました。皆さんからの反響や応援は、僕たちにも届いていますし、スタッフ一同、すごく励みになっています。これからもチーム一丸となって、これまで以上に力を注いでいくつもりですので、引き続き『転スラ』の応援をよろしくお願いします。

「転生したらスライムだった件 第3期」キービジュアル(C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

■取材/アンチェイン 文/岡本大介