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【テレビの開拓者たち / 岡田惠和】「いつか『ひよっこ』の続きを書いてみたいです」

2017/09/26 11:30

9月25日より、いよいよ最終週に突入した「連続テレビ小説『ひよっこ』」(NHK総合ほか)。「ちゅらさん」(2001年)、「おひさま」(2011年ともにNHK総合ほか)に続く3作目の“朝ドラ”として本作の脚本を書き上げたのが、岡田惠和氏だ。

この3本の朝ドラのほかにも、「彼女たちの時代」(1999年フジ系)、「最後から二番目の恋」(2012年フジ系)といった作品で、ごく普通の人々の喜怒哀楽を丹精に描く一方、「イグアナの娘」(1996年テレビ朝日系)や「泣くな、はらちゃん」(2013年日本テレビ系)、「ど根性ガエル」(2015年日本テレビ系)など、ファンタジー色の強い作品も数多く発表してきた岡田氏。果たして彼は、どのような思いを込めて、それぞれの作品を作り出しているのか。「ひよっこ」の思い出と併せて語ってもらった。

視聴率はいつも気にしてます。それだけに『ひよっこ』の序盤はちょっとヘコみました(笑)


おかだ・よしかず=1959年2月11日生まれ、東京都出身
おかだ・よしかず=1959年2月11日生まれ、東京都出身


──まずは、「ひよっこ」の最終週を書き終えた今の心境をお聞かせください。

「僕としては、全26週というより、全156話の作品を1話1話書いてきた感覚なんです。だから、まさに毎回が戦いで、前2作よりもはるかに大変でしたね。過去に朝ドラを2本やっているからといって、そんなことは決してアドバンテージにはならないんだなと痛感しました(笑)。でもその分、かなり密度の濃いものになったという気はしていて。現時点での自己ベストは出せたかなと思っています」

──今作を書かれる上で「大変」だったのは、どのような点ですか?

「一番苦労したのは笑いのシーンですね。当時(1960年代)と今とを比べると、笑いの感覚がまったく違っていて。何が違うかというと、当時は“ツッコミ”という文化がなかったんですよ。おそらく、これはビートたけしさんの登場以前と以降で分かれると思うんですけど、少なくとも1960年代の東京には、何か面白いことを言ったりやったりした人に対してツッコミを入れる人はいなかった。古い日本映画なんかを見ると、『こんなベタなセリフで笑わせてるつもりなの?』みたいなシーンがけっこうありますけど(笑)、でもその当時はみんな、そのシーンを面白いと感じていたわけですよね。だから、そのへんのベタな感覚みたいなものは相当意識したし、今の笑いのセンスは持ち込まないようにも気をつけました。その塩梅が難しかったですね」

──では、書いていて楽しかったエピソードは?

「実は、朝ドラを書く一番の醍醐味は、“何もない回”を書くときなんですよ。つまり、特に事件も起こらず、物語が動かない回。そういうエピソードが書けるのは、半年間の長丁場で、しかも1話15分の朝ドラだからこそ許される、ある種の贅沢だと思っています。例えば、漫画家の2人がいなくなった、という回がありましたけど、あの回は本当に書くのが楽しくって。…そんなことを言うと、『脚本家がラクをしてる』と思う方もいるかもしれませんけど、でも実は、何もない回の方が、脚本家の技術が必要なんですよ。書く側にとっては、すごくハードルが高い作業なんです。もちろんその分、やりがいも大きいわけですけど。特に今回に関しては、役者さんたちがみんな芸達者だったので助けられましたね」

──「ひよっこ」は、ツイッターでも非常に大きな反響を呼びました。こうしたネット上での反応というのは、以前に岡田さんが朝ドラを書かれていたときにはなかった現象だと思うのですが。

「確かにそうですね。今回まず思ったのは、朝ドラって、こんなにも視聴率が取りざたされるものだったのか、という(笑)。序盤が少し苦戦していたこともあって、毎日のように『今日も20%の大台に届かず』とか何とかつぶやいてる人がたくさんいて、ちょっと不思議な感じがしましたね。内容に対する感想のツイートは、オンタイムで見るのが面白かったです。その場面が放送されている瞬間に、みんながどんな反応をしているのかを見る、というのは初めての経験でしたから」

――ちなみに岡田さんは、ご自分の作品の視聴率は気になりますか?

「はい、いつも気にしてますよ。気にしても仕方がないんですけどね、どうやったら視聴率が獲れるかなんて誰にも分からないし。でもだからこそ、僕は毎回、『これで数字を獲りたい』と思って脚本を書いています。それだけに、『ひよっこ』の序盤はちょっとヘコんだんですけど(笑)」

――でも現在は、20%台の視聴率を連発していますよね。

「ええ、おかげさまで。今回みたいに、スタートしたときからだんだん数字が上がっていく方が、作品が浸透していっていることが実感できて、作り手として喜びは大きいですね」

下に続きます
「連続テレビ小説『ひよっこ』」
毎週月~土曜朝8:00‐8:15ほか NHK総合ほか

「ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~」
10月20日(金)スタート
毎週金曜夜8:00‐8:54 テレビ東京系

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  • おかだ・よしかず=1959年2月11日生まれ、東京都出身
  • 「ヒロインのみね子は、演じるのが有村架純さんだから成立したキャラクターだと思います」(岡田惠和氏)
  • 岡田惠和氏の最新作は、谷口純一郎との共同脚本による「ユニバーサル広告社―」(テレビ東京系)。「ひよっこ」でヒロインの父・実を演じた沢村一樹が主演を務める

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ひよっこ

出演者:有村架純 光石研 竹内涼真 佐藤仁美 生田智子 シシド・カフカ 佐々木蔵之介 三宅裕司 白石加代子 宮本信子 島崎遥香 白石美帆 木村佳乃  ほか

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ユニバーサル広告社〜あなたの人生、売り込みます!〜

出演者:沢村一樹 和久井映見 片瀬那奈 要潤 やついいちろう 入江甚儀 でんでん 三宅裕司 

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