水と油の鬼教官と女性パイロットが仕事を通じて恋を育む
物語序盤では、シアオとナンティンが衝突を繰り返すが、ナンティンは決して意地悪な人間ではない。彼にはある悲しい過去があり、それゆえにシアオに厳しく接してしまっているだけなのだ。一方のシアオも、自由奔放に見えてパイロットという仕事に強い誇りを持っており、逆境でも夢を諦めない頑張り屋。ぶつかり合いながら、互いの本質を知っていき、リスペクトし合うようになっていく過程が心地いい。
恋はマイナスから始まった方が上手くいくともいわれるが、ナンティンとシアオもご多分にもれず、第一印象は最悪ながらだんだんと意識し合う関係となっていく。恋愛経験はあるが女性に対し不器用なナンティンが、積極的なシアオに戸惑う場面もあり、上下関係が逆転しているようなロマンスが観ていて微笑ましい。中国ドラマにおいてもお約束の三角関係によって、2人の恋模様はさらにドキドキ感を増していく。
そうしたラブロマンスの中、もう1つの注目ポイントになるのは男性優位の風潮としっかり対峙している点だ。会社の役員会議のシーンでは、役員は全て男性で、要職は男性ばかりが占める様子が見て取れる。とりわけ女性パイロットの存在に否定的な飛行部部長のキャラクターは強烈で、表情も言動も小憎らしく、本作におけるヒール役として随所でユンソンに立ちはだかる。こうした最悪の上司に対して、ズバッとものをいうユンソンに爽快感を覚える女性視聴者はきっと多いはずだ。
航空業界の裏側を描いたお仕事ドラマとしても、女性パイロットと鬼教官のラブストーリーとしても楽しめる本作は、中国ドラマの入門編としてぴったり。男性優位の業界に立ち向かうヒロインと、中国ドラマのトレンドが詰まっている点でもオススメの作品だ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)
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