コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、イズミハルカさんがX(旧Twitter)上に投稿した漫画「君に降る言の葉は」だ。11月14日時点で2.3万以上のいいねがつく反響が集まり、話題となっている。今回は作者のイズミハルカさんに制作の背景を伺った。
主人公の小松 日向(こまつ ひなた)は、本好きな男子高校生。ある日、通学の満員電車のなかで本を読んでいると金髪のオールバックのヤンキーが日向が読んでいる本を覗いて一緒に読んできた。
その状況を不思議に思う日向だったが、自分が好きな小説に興味を持ってくれたことが嬉しくて、電車を降りる前にヤンキーにその本を貸した。
そして放課後、帰宅するために駅に向かった日向は、ベンチに座るヤンキーに出会う。聞くと日向に会うため、朝からずっとその場で待っていたというのだ。日向が貸した小説の作家・円城 桜(えんじょう さくら)をヤンキーこと五十嵐雪人(いがらし ゆきと)が知っていたため、嬉しくなって円城 桜への熱い想いを語る日向。すると、五十嵐からは予想外の言葉が返ってきたため、日向は思わず強い言葉を返してしまう。
その後、五十嵐が実は日向と同じクラスで入学以来1度も登校していなかった生徒だったことが発覚。さらに、五十嵐から驚きの事実を告げられる……!
実際に漫画を読んだ人達からは「何度もグッときた」「とても良かった…」「夢中で読みました」「しっとり温かくてピュア」「泣いてしまった」「綺麗で純粋なストーリー」と、いった声があがっている。
今回は、作者・イズミハルカさんに『君に降る言の葉は』の制作について話を伺った。
――「君に降る言の葉は」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
自分の漫画のモノローグなどの言葉選びを褒めていただくことがあり、いつか「言葉」をテーマにした作品を描いてみたいと思っていたため。
また、雪人の抱えている「このまま一人で内にこもっていても作家として先に進めない」みたいな問題意識は自分にとっても切実な問題だったので、彼が変わっていく過程を描くことで自分にとっても何か掴めるものがあるのではないかと思い、そこを軸にした物語にしました。
――「君に降る言の葉は」を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
タイトルに「降る」とあるように、桜や雪というモチーフがキーワードになっているのですが、それが二人の感情や物語の展開とどう絡んでくるか…こだわった点でもあり、注目していただけると嬉しいです。
――普段ストーリーやキャラクター設定を考える際にどのような所から着想を得ることが多いでしょうか?
何かに強く感動したり、逆につらいことがあった時など、物語として昇華して描き残したいという気持ちになり、その感情を核にして作ります。
短編なら「海がキラキラして綺麗だった」とか何気ないことでもいいし、長編であるほどより自分にとって切実な感情や問題意識を埋め込みます。
そこに、自分が描いてみたいなと思っていたキャラの関係性や舞台がハマった時に漫画になる感じです。
「君に降る言の葉は」の場合は、友人と話していた時「ヤンキーで読書家ってギャップめっちゃ萌えるね!」と盛り上がり、そこから雪人のキャラクターが生まれました。
あと、細かいキャラ設定は先にがちがちに決めるより、ネームを描きながらノリで生まれることが多いです。
――漫画を描く際に大切にしていること、意識していることがあればお教えください。
大切にしているのは演出です。あるセリフを言う時に、キャラクターがどんな状況に置かれていると、読者に最も感情が伝わるか?というのはしっかり考えます。
どんな場所・状況で(部屋の中なのか、教室なのか、公園なのか…とか)、どんな天候・時間帯に、どんな状態で(走りながら、寝転びながら、電話しながらとか)、どんなカメラアングルで(俯瞰かアオリか)などなど…
また、読ませるリズムも大切にしているのですが、セリフの言葉選び・画面構成によって意識的にコントロールしています。
コマ割り・フキダシや描き文字の位置・セリフの言い回しや句読点などで、緩急がありながらも流れるように読める画面を目指しています。
――イズミハルカさんの今後の展望や目標をお教えください。
一本一本地道に真摯に描いていくということしかできないのですが、変化を恐れずに いつも「これから自分はどんな物語を描くんだろう?」とワクワクしていたいなと思います。
――最後に作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
「君に降る言の葉は」はBLとしてのときめきを込めたのはもちろん、普段BLをあまり読んだことがない方も手に取りやすいような、人間ドラマにもなっているのではないかと思います。
二人の恋の行方と成長を見守っていただけると幸いです。
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