元HKT48で現在、女優として活躍中の兒玉遥。11月22日に公開したアシックスジャパン ショートドラマシリーズ「シゴトはもっと楽しめる」WEBショートドラマ「ワンチーム、ワンホーム」で、新人女性技術者・内藤を演じている。チームワークが大切な家づくりの現場で、うまくコミュニケーションが取れない内藤という役を通じて、兒玉はどんなことを感じたのだろうか――。自身の集団での立ち振る舞いや、俳優としてのおちゃめな野望などを聞いた。
個を尊重し合える集団が理想!
――内藤という役はいかがでしたか?
兒玉:主任技術者という役柄で、新人でありながらベテランの職人さんに指示を出すというのは、仕事だと分かってはいるのですが、なかなか難しいですよね。自分自身も年齢を気にして、意見を言えなかった経験があったので、そういう気持ちを思い出しながら、しっかりと内藤さんの心情を表現できるように頑張りました。
――共感しやすかったキャラクターですか?
兒玉:そうですね。いま私がいる環境は、性別や年齢に関係なく自由に話せる雰囲気があるのですが、会社や工事現場などでも、大なり小なり世代間の壁があるのかなというのは感じていたので、そこまで遠い役ではなかったと思います。
――多様な人たちが集まる職場。芸能の仕事も団体行動でモノづくりをすることが多いですが、そんななか兒玉さんが集団のなかで心掛けていることはありますか?
兒玉:チームワークとは違うかもしれませんが、私は周りを気にしすぎて自分の思っていることを言えない環境ってあまりいいとは思っていません。もちろん人の輪は大切ですが、あまり周りのことばかり気にして委縮してしまうと、その集団はいいとは思えないんです。個を尊重し合える集団が一番いいと思います。
――兒玉さん流、仕事の楽しみ方は?
兒玉:私は仕事の前の日とか、寝る前からすごく緊張してプレッシャーを感じてしまっていたんです。でもその一日って人生で一回しかないのだから、楽しまないともったいないなと思うようになったんです。それからは、緊張もしてしまうのですが「とにかく楽しむんだ!」という思いで現場に行くようになりました。
――具体的にはどんなことをしているのですか?
兒玉:まずはご一緒する方とお話しするようにしています。私自身、人と話すのがすごく得意というわけではないのですが、話してみると結構楽しいので、積極的にコミュニケーションはとるようにしています。
――上司役の中村獅童さんとも?
兒玉:獅童さんから積極的に話しかけてくださいました。すごく福岡が好きなんだって言ってくださったり、福岡って料理おいしいよねって話をしてくれたりしました。
――後輩にも積極的に?
兒玉:私がすごく若かったとき、お仕事でキャパオーバーしてしまい、結構休んでいた時期があったんです。なので現場では楽しんでもらえることが一番だと思っていて。私もその方が楽しいので、出来るだけ現場が和むように、結構ヘラヘラしています(笑)。あとは何か話しかけてくれたら、とりあえず大きな声で返事します!
高橋みなみからの金言「まずは3年続けてみなさい」
――劇中、内藤は勤務1日目で仕事を辞めてしまおうかな……と悩みます。
兒玉:最初って一番きついですよね。仕事って慣れるまでが結構つらいと思うので、何となくわかる気がします。一方で、そこで踏ん張れば見え方も変わってくると思うので、とりあえず3カ月ぐらいは続けた方が良いかなとも思います。
――兒玉さん自身、そういう経験は?
兒玉:小学校のころドッジボールのクラブに入ったことがあったのですが、あまりに下手過ぎて1日で辞めました。辞めたというよりは、求められていなかった(笑)。でも本当に向いていなかったら1日で辞めた方が良いと思います(笑)。
――アイドルのお仕事をしているときは辞めてしまおうと思ったことはありましたか?
兒玉:アイドルになったときは「先輩たちみたいになりたい」という目標があったので、そこまでは頑張ろうという思いでしたね。前にたかみな(高橋みなみ)さんに「何かつまずいたことがあっても、まず3年は続けてみなさい」と言われたことがあったんです。3年頑張って、そこからあと2年、全部で5年やってみて、やっと成果が出る仕事だと思うって。その言葉は常に私の頭の中に残っています。
やってみたい役は海賊のリーダー!
――アイドルを続けて、いまは俳優として活動されていますが、お芝居の魅力は?
兒玉:私は小さいころから絵を描いたり、楽器を弾いたり、何か自分の世界観を表現することが好きなんです。その延長線上で、お芝居で違う人の人生を通じて何かを表現するというのは、とても魅力に感じています。
――自分のパーソナルと違う人間になるというのは楽しいですか?
兒玉:そうですね。演じているときは自分のパーソナルってまったくいらないじゃないですか。兒玉遥をどうやって出したらいいんだろう――という方が難しいです。違う人になった方がやりやすいですね。でも、どうしてもアイドルの癖が出てしまって最初は大変でした。
――というのは?
兒玉:アイドルって自分を前面に押し出して、可愛い、きれい、キラキラみたいなイメージだったのですが、お芝居ではそれを消さないといけない役もあるじゃないですか。それを消すのが最初は難しかったです。カメラがあるとどうしても可愛く映ろうとか、どうやったらきれいに見えるだろう……って意識してしまうんですよね。
――それが変わったきっかけはあったのですか?
兒玉:お芝居のレッスンを受けたとき、先生から「あなたずっと口角が上がっているよ。そのくせ直した方がいい」って言われたんです。言われて初めて気づいたんです。いままで好感度を上げることが大切だと思っていたのですが、役者さんにはまったく必要のないことなんだなって(笑)。
――そう思えてからは吹っ切れた?
兒玉:そうですね。いまはとても楽しいし、そういったこれまでのイメージとギャップがあればあるほど、やりがいにも感じます。
――やってみたい役は?
兒玉:海賊!海賊のリーダー!
――最後にCMを観る方へメッセージを?
兒玉:このドラマは見て観てくださった方に、ちょっとしたエールを送れるような内容になっていますので、ぜひご覧ください!
(取材・文:磯部正和)