<ゴールデンカムイ>植田Pが語るキャストの魅力「杉元のことを山崎賢人さんが一番理解している」最終回の中川大志“鯉登”にも感謝

きらめく笑顔の辺見(萩原聖人)(C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

原作の魅力をそのまま詰め込んだ台本から読み取った圧巻の表現力


――第2話で話題になった辺見役の萩原聖人さんが原作を読まずに演じられたと拝見し驚きました。その中でも、辺見を愛して、杉元のことも大好きになったと。

萩原さんはゲストキャラクターでしたので、出番のところで数日間来ていただいて撮影をした形で、ずっと現場にいらしたわけではなかったんです。でも、萩原さんが「突然入ってお芝居して、という役だけれど、山崎さんや山田(杏奈)さんがすごく温かく迎え入れてくれて。スタッフ含めたこの座組がとてもいい空気感だったので、辺見役としても、台本から読み取れるキャラクターとしても、辺見が杉元に惹かれた気持ちがすごく理解ができる」と仰ってくださいました。

——原作を読まれていない中での辺見とは思えないほどに、“辺見”そのものに感じました。

そうなんです。みんなでも言っていたんですけど、“本当に読んでないのかな”って(笑)。それくらいに素晴らしくて。萩原さんと監督の最初の顔合わせの際に、“原作を読んで臨ませてもらった方がいいですか?”とご相談いただいて。監督から「脚本作りの時点で、原作リスペクトでやっているので、自分たちとしては原作の魅力を詰め込んだものとして俳優部の皆さんにもお渡ししています。なので脚本から読み取れる形で演じていただけるのであれば読まずとも」という風なお話もあったんです。そういった経緯もあり、萩原さんも台本からヒントが得られるのであれば、という形で演じ切ってくださいました。

“自分たちがその原作の一番のファンであるべし”と思っています


――原作ファンの方、映画ファンの方、さまざまなファンの方の期待値を乗り越えてくるような作品だなと思うのですが、制作チームの皆さんの中に、この大作を映像化するに当たってのポリシーや、譲れない部分などはありましたか?

WOWOWも漫画原作のドラマの数が多いわけではないんです。自分自身で言うと、仲間りょうさんの「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」を実写化させていただいたんですが、その時に漫画原作を実写化するには、大事なポイントがいくつかあるなと実感しました。

まず、その原作の本質をちゃんとつかむこと。自分自身が原作で魅力的に感じるポイントを含め、ファンの方に喜ばれている一番コアな部分は何なんだろうと、そこを間違えない、ということですね。なので、“自分たちがその原作の一番のファンであるべし”と思って制作に当たるようにしています。

また実写化する際、二次元を三次元で表現する上で、どうしてもその漫画の絵の表現通りにならないことも出てきてしまうんです。改変せざるを得ない部分をどう描くかという点も、その作品の一番大事な部分をきちっと理解し押さえていれば、乗り越えられるのかなとすごく思いましたね。そこは脚本の黒岩(勉)さんのお力もとても大きかったと感じております。あとは、やはり一度漫画の中でビジュアル化されているものなので、出来る限り原作のイメージに寄せていくことは鉄則なのかなと。

――ビジュアルに寄り過ぎてしまうと、少し現実離れし過ぎてしまうなど微妙なさじ加減が重要になってくるかと思うのですが、その辺りはどのように進めていかれましたか?

この作品自体がそもそも「キングダム」シリーズを手掛けられている松橋(真三)プロデューサーはじめ、チームの皆さんがいらっしゃるので、実写化の成功例を体験されてきている方々の知見に頼るところが大きかったです。衣装の使用感だったり、メークの部分だったりもきちんと作品の中で“生きた人間”にするところは各部署のスタッフが本当にこだわって作り上げていきましたね。

——特に印象的な方はいらっしゃいますか?

皆さん本当に一人一人作り込んでいるんですが、顔周りの特徴が強いという点でいうと、やはり鶴見(篤四郎/玉木宏)ですかね。額当てもそうですし、ケロイドの感じの材質も特徴的ですよね。“こんな造形のキャラクター見たことない”っていう人物が多い中で、特に特徴的な一人だと思うんですが、生身の人間としてちゃんと命を吹き込むという…その過程でメーク部、特殊メーク部たちの職人技を見せていただきました。

――俳優部含めて各部署に職人が集結しているんですね。

本当にそうですね、結集しています。ありがたいことです。

丁寧に作品への思いを語る植田プロデューサー※ザテレビジョン撮影