<ゴールデンカムイ>植田Pが語るキャストの魅力「杉元のことを山崎賢人さんが一番理解している」最終回の中川大志“鯉登”にも感謝

「ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」最終回より杉元(山崎賢人)とアシリパ(山田杏奈)(C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

山田杏奈さんの印象的な瞳がアシリパの生きざまを語ってくれている


――改めて、キャストの皆さんについてお伺いさせてください。まずは主人公・杉元を演じる山崎さんの魅力を教えてください。

私の口から語らせていただくのは恐れ多い部分もあるんですが、山崎さんが本当にすごい俳優だなと思うのは、どんな役を演じてもそのキャラクターになりきっているというところです。「キングダム」や、「陰陽師0」など、どれももちろん拝見していますが、演じているキャラクターのどれもがそれぞれ個性がすごく強いのにどんな役を演じてもその役になりきっていらっしゃる。そのキャラクターとして求められていることにすごくストレートに答えてくださる気がするんです。強いキャラクターを演じ分けられる唯一無二のすごい俳優だなと感じます。

――「ゴールデンカムイ」の現場ではいかがでしたか?

最初の方は、実際に演じていく中で悩まれた部分もあるのかなと思うんですが、そこもすごく丁寧に監督と会話を重ねられていて。特にドラマ版になると、監督が4人います。もちろん全監督に“杉元はこういうキャラクターである”という共通見解はあるんですが、そこを通して演じ切るのは山崎さんなので。監督たちとセッションをしていく中でも、ご自身が思うここのシーンの杉元はこういうことですかね、こういうせりふの言い方がいいですかね、という細やかなやり取りをされていました。やはり、杉元の役は、山崎さんが一番分かっていらっしゃるのかなという感じがしますね。

――では、アシリパ役・山田杏奈さんについてもお聞かせください。

本当にアシリパをやってくださってありがとう、という気持ちが大きいです。ご本人もインタビューなどでお話されていますが、原作ではやはりもう少し若い、子供の設定として描かれているので、成人している自分が演じることに、大丈夫なのかなという不安はすごく抱えてらっしゃったと思います。それでも、制作チームの方々が押してくださるのであれば、その人たちを信じてやってみよう、と。覚悟を決めてくださったことに感謝しています。

――植田さんから見た山田さんの魅力は何でしょうか?

どんなお芝居をやられていてもすごく印象的だなと思うのは“目力”です。何かを見通しているような、意志的な目、というんでしょうか。それがとても特徴的で魅力だと感じています。アシリパは役としても自分の使命を持って生きているアイヌの少女なので、そのアシリパの生きざまをあの印象的な瞳で語ってくださっているなと思いますね。

――山田さんが、20代をアシリパと一緒に生きていく、と語っているのもお見掛けしました。

そうなんです、本当にありがたいです。制作している私たち自身、一番責任を背負ってやらせていただいているんですが、実際見ていただいたファンの方々に楽しんでいただけるかということが、演じられている皆さんも一番ドキドキすると思うんですね。その皆さんに、すごくいい形で手応えや喜ばれている感想などを感じていただけていることが、本当に良かったなと思っています。

鯉登少尉の登場で新しい風が吹き込んできた


――そして最終話、満を持して鯉登(音之進)少尉(中川大志)が登場しますね。

最終話での登場ではありますが、その中だけでも彼の魅力がぎっしりと凝縮されていますので、本当に楽しみにしていただけたらと思います。予告などにも印象的なカットも入っていますので、“多分この辺りはやるんだろうな”と、楽しみにしてもらえたらうれしいですね。

――鯉登少尉はキャスト発表前からその登場にファンの方の熱量を感じました。演じる中川さんの魅力をお聞かせください。

中川さんが、解禁の時のコメントで“僕は鯉登音之進という役を誰よりも愛しています”と言い切ってくださったのが本当に心強かったです。心意気もすてきですし、コメディーパートも担うキャラクターなんですが、振り切って演じてくださいましたね。中川さんご自身のお人柄も気持ちがいい方で。中川さんもですし、山崎さんはじめ皆さん全員本当にプロフェッショナルな方々で尊敬しています。

――皆さん真摯(しんし)に取り組まれていることが、作品からもにじみ出ているように思います。

ありがとうございます。中川さん演じる鯉登が登場するシーンの話で言うと、撮影も終盤の方で中川さんが入られる形だったんです。撮影の組全体としてもリズムが安定した進み方になっていたところだったんですが、そんな中、最後にものすごくパンチのあるキャラクターが突然現れて(笑)。
本当にいい意味で今までの空気感やテンポを壊してくれるような、新鮮な風を送り込んでくださった感じでした。白石(由竹)役の矢本(悠馬)さんも「鯉登の登場で気合がまた引き締まり直した」と言ってらっしゃって、「新たな風が吹き込んできた」と。演じている役者さん同士でも刺激になったという話を伺えましたね。

――ビジュアル面も特徴的ですね。

そうですね、まずインパクトがすごいので(笑)。山崎さんをはじめ、皆さん本当に楽しみながら鯉登を迎え入れていたということが印象的でした。

――完成披露会見でも皆さん本当に仲がいいんだなと感じました。

それはすごく思いますね。大作ですし、長い撮影ですので、出来上がった作品自体も楽しいものだけれど、撮影現場自体も楽しいということがちゃんと画面の外にも伝わるようなチームだったのかなと。とてもいい役者の皆さん、いいスタッフの中でできたことは本当に感謝しています。

――すてきな現場ですね。ちなみに、鯉登少尉のキャスティングの決め手はなんだったんでしょうか。

松橋プロデューサーが中川さんと別のコメディー作品でご一緒したこともあり、もう鯉登のコメディーな感じはぴったりでしょう!というところで、オファーさせていただきました。中川さん以外は想定していなかったです。