――お二人ともに、展示を回ってアフレコの辛い記憶が蘇ったとおっしゃいました。相当過酷な収録だったんですね。
花江:僕自身がデビューしてまだそんなに経っていないころで、かなり緊張していたというのもありますね。雨宮さんもだよね?
雨宮:そうそう私も!
花江:そうだよね。もちろん収録も過酷ではありました。金木君って一話目から喜怒哀楽が激しくて、シーンごとに変化するので、これはどうやって演じればいいんだろうってすごく悩みました。
――なかでもとくにキツかったシーンはどこですか?
花江:先ほども少し言いましたけど、展示会にもある「金木 VS ヤモリ」ですね。アフレコでは最初から最後まで叫びまくっていました。
雨宮:しかもリテイクも容赦なかったですよね。側から見ていても「どうなっちゃんだろう?」って心配になるくらいでしたから。
花江:僕も金木君みたいに、髪の毛がちょっと白くなったかもしれません(笑)。ヤモリ役の西凜太朗さんとふたりで汗ダクになって叫びまくったんですけど、終わったら西さんが「なんか、肉が食いたいね」って(笑)。
雨宮:たしかにあれだけ叫べばねえ。
――雨宮さんが印象に残っているシーンはどこですか?
雨宮:私は第一話の収録の際、「もっと声を低くしてください」って言われ続けて、それがいちばん辛かったですね。董香ちゃんほど低い声のキャラクターを演じるのは初めてで、当時の自分としては限界の低さに挑戦したんですけど、その限界の声でカッコよくキメ台詞を言わないといけないのが大変でした。さっきの「ここにてめえのものなんかひとつもねぇんだよ!」っていうセリフもそうですけど、家でどれだけ練習しても想い通りに行かなくて。今ではいい思い出ですけど、当時は辛かったですね(笑)。
花江:そうそう、現場は和やかでしたし、収録自体は楽しかったんですけど、やっぱり苦労した思い出のほうが強く残っちゃいますよね。
雨宮:あとは、個人的にここまでガッツリとバトルシーンを演じた経験がなかったので、それも印象深いです。例えばお腹に攻撃をくらった時の叫び声は「グハッ」がいいのか「カハッ」がいいのかとか、家でめっちゃ細かく研究していました。この時の経験は、それから先のお芝居にもすごく活きていると思います。
――お二人とも、かなり鍛えられたんですね。
花江:そうですね。金木君を演じて以降もいろいろと大変な現場はありましたけど、その度に喰種の収録のことを思い出して乗り切ることができたので、心の支えでしたね。
雨宮:私も同じです。私はそれを「地獄のお守り」って呼んでいるんですけど。
花江:そうなんだ。それは初めて聞いた。でもそれで言うと、最近は泣き叫ぶ役が増えて、ちょっと「地獄のお守り」が効かなくなってきているかも(笑)。
――長きにわたって愛されている『東京喰種トーキョーグール』ですが、魅力の根幹はどこにあると思いますか?
花江:いちばんは石田スイ先生が描く独特の世界観だと思います。
雨宮:たしかに、デザインも含めて唯一無二ですよね。
花江:ちょっと怖いし、非日常を描いたストーリーですけど、グールと人間の関係性って僕らの世界にも当てはまる題材なんですよね。だからこそ、みなさんが感情移入してくださっているのかなと思います。
雨宮:作り込まれた設定やグッと来る人間ドラマが素晴らしいなと思います。そのうえで、赫子のカッコ良さだったりバトルの迫力もすごいので、これは絶対にやめられないですよね。そこが長く愛されている理由なのかなと思います。
――では最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。
雨宮:“体験没入型”展示会と言うだけあって、いろいろな仕掛けがあるので、楽しみにしてもらいたいです。できればご来場いただく前に再度アニメや漫画を見返していただけると、よりいっそう展示が楽しめると思います。
雨宮:雨宮さんの言った通りでございます(笑)。アニメーションを作るのにどれだけの人間が関わっているのかが分かる展示会になっていると思うので、ぜひ遊びにきてください。石田スイ先生の描き下ろしイラストも展示されているので、それも必見ですよ!
――ありがとうございました!
なお、“体験没入型”展示会「東京喰種EX.(イーエックス)」は東京では寺田倉庫G1ビルで12月1日(日)まで開催中、12月14日(土)から29日(日)までは大阪のVS.(ヴイエス)で開催される。
迫力ある映像と床面の振動で“触覚”を疑似的に再現する“ハプティクス技術”を掛け合わせ、名シーン「金木 VS ヤモリ」の戦いを全身で体感できるインタラクティブ展示をはじめ、「クインクス施術」の3Dイメージや「ヤモリの拷問部屋」や喫茶店「あんていく」の再現展示など、さまざまな演出と仕掛けが施されており、作品世界に没入することができる。
◆取材・文/岡本大介
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