コン・ユが主演を務める韓流ドラマ「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」(Huluにて配信中)。2016年に全16話が放送された同作は、不滅の命を生きる“トッケビ”とその命を終わらせる力を持つ唯一の存在である“トッケビの花嫁”が織りなすファンタジー・ラブロマンス作品だ。本記事では、同番組の第1話から第3話までに起きた、物語の始まりを振り返っていく。(以下、ネタバレがあります)。
非業の運命を経て、トッケビとなったキム・シン
かつての戦場が映し出される。高麗の時代、鮮血を浴びて敵を斬り進む姿から“武神”とも称されていたキム・シン(コン・ユ)。民たちから愛され、“王”より上の立場である“神”と慕われているキム・シンを、当時の高麗王ワン・ヨ(キム・ミンジェ)とそれに連なる者たちは許せなかった。非道なる王とその臣下たちによって、彼は非業の死を研げることになる。
しかし死んだはずのキム・シンは、ある声を聴いて目を覚ます。声は民の思いによって死んだキム・シンに再び命が与えられたこと、そして数多の命を奪った罰として「独り不滅の命を生き、愛する者たちの死を見届けよ」という恐ろしい言葉が響く。だがその声の主は、キム・シンの胸を貫く彼の愛剣を指して「トッケビの花嫁だけがその剣を抜くことができる」と“命の終わらせ方”も宣告する。その後、復讐を果たしたキム・シンは長い旅に出るのだった。
長いときを経て、舞台は現代に移る。雪の降るある街で、1人の女性が轢き逃げに遭って倒れていた。「神様がいるならどうか私を助けて。誰か…お願いだから誰か助けて」と強く願う女性の前に、トッケビであるキム・シンが現れる。1度は拒むキム・シンだったが、「君は運が良い。私は情にもろいのだ、今夜は誰の死も見たくない」と告げて女性の命を助けた。するとその後、命を助けられた女性は1人の子どもを出産する。
そんなできごとから、さらに8年後。キム・シンが助けた女性が産んだ子どもはチ・ウンタク(キム・ゴウン)と名付けられて健やかに成長したのだが、彼の目には幽霊が見えるという力を持っていた。家を出たチ・ウンタクの前に、死神(イ・ドンウク)が姿を現す。彼によれば母とチ・ウンタクの命は9年前に失われているはずだという。
突然現れた老婆のおかげでなんとか死神から逃れることができたチ・ウンタクだったが、それから10年後の彼女はひどい扱いを受けていた。叔母一家による虐待じみたイジメを受けていた彼女は、誕生日のある日用意していたバースデーケーキに刺したろうそくにマッチで火をつけて願いを胸に抱く。
「願い事はしないと9歳の時に誓ったけど、今日だけは大目に見て。叔母一家を何とかしてください、どうかわたしを幸せにして、10ウォン分だけでも…バカみたい。神様がいるわけないのに」肩を落とし、ろうそくの火を吹き消すチ・ウンタク。すると突如、トッケビであるキム・シンが現れた。何故呼ばれたのかと困惑しつつも、キム・シンはチ・ウンタクの願いを叶えて「叔母一家に別れの挨拶をしろ、鶏肉店のバイトをがんばれ」と告げる。
ひょんなことから、チ・ウンタクはキム・シンの呼び出し方を見つける。それはろうそくの火を吹き消すというもので、キム・シンは度々彼女に呼ばれて振り回されることに。ある時、チ・ウンタクはキム・シンが何者なのかを考えたと話し始める。
強引なチ・ウンタクに振り回されていたキム・シンは、誤って彼女をカナダへの転移に巻き込んでしまう。彼女をホテルに預けてから、用があると言ってキム・シンが訪れたのは墓地だった。たくさんの墓標の前で、永遠の命が罰である事を痛感したと独白するキム・シン。「どの誰の死も――忘れられなかった」と語りながら、過去の記憶を振り返る。多くの者の死を経て苦しんだとしても、トッケビを貫く剣を抜くことはできない。かつての声が告げた通り、彼は独りで生き続けているのだった。
運命を動かすひと言「見えるわ。剣が」
韓国へ戻り、帰宅したキム・シン。しかし彼の家は、同居人が勝手に死神へ貸し出されていた。そのためトッケビと死神の奇妙な同居が始まる。
それから間もなく、チ・ウンタクは小さなころにも出会った死神と相対することに。「見えてるのはわかってる。無駄な抵抗はよせ」と追い詰める死神の前に、トッケビ…キム・シンが立ちはだかる。「人の生死に関与を」と答えるキム・シンに掟破りだと指摘する死神だったが、「たとえ死神でも――トッケビに嫁ぐ者に手は出せない」と掟で対抗するキム・シン。もちろんウソだ。トッケビの花嫁となる者には、彼の胸に刺さった剣が見えなければならない。しかしそれを聞いた死神は、急用があると言って立ち去ってしまう。
キム・シンが伝説のトッケビであったことへの混乱と、死神が生きるなと言って来る自分は何者なのかという謎に苛まれるチ・ウンタク。しかしキム・シンが「もう呼び出すな」と冷徹に別れを伝えると、チ・ウンタクも「おじさんの花嫁になんかなりたくないもの」と売り言葉に買い言葉を言ってその場を後にする。
その後、家に帰っていないチ・ウンタクは幽霊たちと話をしていた。幽霊のおばあさんが言うには、チ・ウンタクの母が轢き逃げに遭った瞬間を見ていたという。いまにも死のうとしているところを救ったのがトッケビだったため、幽霊のおばあさんはチ・ウンタクがトッケビの花嫁なのでは…と考えていたそうだ。
翌日、チ・ウンタクは見知らぬ男たちに誘拐されてしまう。男たちはチ・ウンタクの叔母がした借金の取り立て屋たちで、目的はチ・ウンタクの母親が遺した多額の保険金だという。ワケもわからぬ凶行におびえるチ・ウンタクだったが、助手席の男が付けたライターの火を見て必死で吹き消す。怒った男に脅されるチ・ウンタク。しかしそのとき、行く手から現れたのはキム・シンと死神がチ・ウンタクを救い出すのだった。
店まで戻ってきたチ・ウンタクとキム・シン。母親もろとも助けられた話を聞いたチ・ウンタクは、もうキム・シンを恨まないこと、呼び出さないこと、願いごとをしないことを告げる。そこで別れた2人だったが、しばらくの間は互いに互いのことを思い返す日々が続く。
ある日、ひとり海を訪れていたチ・ウンタクのもとにキム・シンが現れる。顔を合わせるたびに小競り合いをする2人だったが、今日は少しようすが違う。「プレゼント」と言ってチ・ウンタクがキム・シンに差し出したのは、ラミネートされたカエデの葉。それを受け取ったキム・シンは頭を撫で、明日国外へ発つことを告げる。
帰宅したキム・シンが死神と小競り合いをしていると、来客を知らせるインターホンが。訪れてきたのはチ・ウンタクで、幽霊に聞いてキム・シンの居場所を知ったという。彼女はキム・シンがずっとチ・ウンタクには見えないと言っていたものが見えていると食い下がる。カナダへ旅立とうとする彼を引き留めるウソだと思ったキム・シンだったが、チ・ウンタクは言う。「本当だってば、見えるわ。剣が」彼女がまっすぐ指さす先には、間違いなくトッケビの命を縛る霊剣が突き刺さっていた。
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