「アナと雪の女王」日本公開から10年 現代的プリンセス像に大人も子どもも夢中…音楽でも世界が広がる愛の物語

2024/11/29 07:10 配信

映画 レビュー

ディズニー史上初のダブルヒロインで描かれた「アナと雪の女王」(C)2024 Disney

世界中で大ヒットし、旋風を巻き起こしたディズニー長編アニメーション「アナと雪の女王」(2013年)。日本では2014年に劇場公開され、早10年。日本テレビ系の「金曜ロードショー」枠では、11月29日(金)から“3週連続冬のディズニー映画特集”の先陣を切って本作がオンエアとなる。そこで“アナ雪”と親しまれ、衰えない人気を誇る物語をあらためてレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

アンデルセン童話を大胆に脚色


「アナと雪の女王」とは――。いまさら?と思われるかもしれないが、ひとまず基本的な情報をまとめておきたい。

原作は、デンマークを代表する童話作家・詩人のハンス・クリスチャン・アンデルセンによる「雪の女王」。とはいえ、童話は雪の女王に連れ去られた仲良しの少年を探すため少女が旅に出るというストーリーで、王家の姉妹が主人公でオリジナルキャラクターもいっぱいのアナ雪はインスピレーションを受けたというほうがいいだろう。

劇場公開時、全米の興行収入でディズニーアニメーション映画史上歴代トップに。「第86回アカデミー賞」長編アニメーション賞と主題歌賞(歌曲賞)の受賞という追い風もあり、日本では公開5日目で観客動員100万人突破し、さらにはロングラン上映に至った。

一緒に口ずさみたくなる音楽にのせて進む物語


触れた物を凍らせる不思議な力を持つアレンデール王国家の長女・エルサは、8歳の時に妹のアナを危険な目に遭わせて以来、力をコントロールできるようになるまで、と部屋に閉じこもって生きることに。危ない目に遭った記憶を消されたアナは、仲良しの姉が心を閉ざしてしまった理由が分からなかった。

月日がたち、成人したエルサが王位を継ぐことに。だが、戴冠式の日、アナとのやりとりの中でエルサの力を封印する手袋が外れてしまい、集まっていた人々の前で物を凍らせてしまう。その場を逃げ出したエルサは、ノースマウンテンという場所にたどり着き、魔法の力で氷の宮殿を作って暮らすことにする。そのころ王国は、エルサの暴発してしまった力により夏の季節から雪と氷に閉ざされた真冬に一変。アナは姉と王国を取り戻すため、エルサを探しに出る――。

ディズニーアニメーションといえば、歌、音楽が切っても切り離せない。幼いアナがエルサを遊びに誘う「雪だるまつくろう」、戴冠式の日のアナとエルサの声が重なる「生まれてはじめて」、運命の人に出会ったとアナがハンス王子と歌い上げる「とびら開けて」と、そのシーンごとの心情に沿ったメロディーは一度聴けば耳に残り、口ずさみたくなる。それによって物語を思い返すこともできる。

そんな中でやはり群を抜いているのが主題歌でもある「レット・イット・ゴー~ありのままで~」(Let It Go)。これを劇中で歌うのはエルサ。王国を逃げ出してたどり着いた山で、自分を解き放ち、もう何も気にせずに自分の“ありのままで”、自由に生きようという決意がつづられている。その時の歩みを進めるエルサの一歩一歩がなんと力強いことか。そしてその決意の象徴となる氷の宮殿が出来上がるときのゾクゾク感。楽曲のみの力もあるのだが、あらためて映像との一体感で物語の力を押し上げているのだと実感する。