――その後、さまざまな作品に出演するなかで感じた俳優業のやりがいについて教えてください。
2024年は、2月に特殊ミステリー歌劇「心霊探偵八雲」-呪いの解法-、9月にはミュージカル「七色いんこ」と“テニミュ”からお世話になっている三浦香さんが演出を務める舞台に出演させていただきました。以前から三浦さんには「お芝居の基本を学ぶといいよ」とアドバイスをいただいていたのですが、当時はどういうことかちゃんと理解できていなかったんだと思います。「心霊探偵八雲」のときに、せりふをせりふとしてとらえずに、自分の感じた言葉と気持ちでお芝居をするということに挑戦して、そこで初めてお芝居の本質に触れたような気がしました。
――お芝居の本質を知ることにより、ご自身の成長も感じられたんですね。
「七色いんこ」のときは、舞台上で役として生きていないとすべてのシーンが成り立たないということを実感することがあって。そしてそれは僕だけが頑張ればいいわけではないし、キャストやスタッフさん全員で作り上げていくものなんだなと。そういうお芝居の基本的な部分をこれまでよりも深く知ることができたと思いました。
お芝居は突き詰めるほど難しくて正解がないものだと思いますので、正直、そのうち嫌になるかもしれないと最初は思っていたんです。でも今は、僕が誰かを演じることによって、お客様が面白い、楽しいと感じてくださることがすごくうれしいですし、僕自身も自分が何者にもなれるんだという可能性を感じられるようになったので、それがやりがいです。
――12月に開幕する演劇【推しの子】2.5次元舞台編には、鳴嶋メルト役でご出演されます。【推しの子】は一大ブームを起こした話題作が原作ですが、出演が決まった際の印象は?
まず、「【推しの子】に出られるの?」と驚きました。原作、アニメ、主題歌も含め、とても人気がある作品ですし、2.5次元舞台編と聞いたときは「本当に舞台にしちゃうんだ!」と興奮しました。
――本作は劇中劇の舞台化ということで、役作りがむずかしそうな印象です。
そうですね。ただ、2024年は劇中劇をやる役が結構多かったので、その経験を生かしていきたいです。でも、メルトくんはあまりお芝居が上手ではないという役柄なので、それをどう表現していこうかというのが今の悩みですね(笑)。
――今後のビジョンとしては、どう考えていますか?
今は2.5次元作品を中心に活動させていただいていますが、ストレート作品やミュージカル、そして舞台だけではなく、映像のお芝居にも挑戦していきたいと思っています。デビューしてから今日にいたるまでで、俳優としての基盤が少しずつ築けてきたと感じているので、ここから視野を広げていろいろなことに挑戦していきたいです。
芸能界に入るまで、舞台もそうですし、ミュージカルもあまり見に行く機会がなかったので、たくさんの作品を見て勉強していきたいです。今の自分には何が足りないのかを考えて、しっかり学び、目指すものへアプローチをかけていけたらいいなと思っています。
――ちなみに、芸能界は留学前にやり残したことがないようにと飛び込んだ世界ということでしたが、留学もいつかは…と考えているのでしょうか?
1つのことにしか集中できない性格なので、今は俳優業にしっかりと向き合っていきたいと思っています。でも、語学の勉強もしたいので、両立できる方法についても模索していきたいですね。
◆撮影=渡会春加
取材・文=榎本麻紀恵
スタイリング=齋藤良介
ヘア&メーク=田中宏昌
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