町野修斗選手、佐藤孝大選手らが活躍 58番目のチーム“ホルシュタイン・キール”の歴史に迫る<ブンデスリーガ熱狂塾 第4回>
堂安律選手ら日本人出場カードを中心とした「サンデーサッカー ドイツ・ブンデスリーガ24/25」が、BS松竹東急(全番組無料放送・BS260ch)にて毎週日曜夜7時より放送中。本記事では、ドイツ在住歴もあるスポーツライター兼コメンテーターのミムラユウスケが、ホルシュタイン・キールというチームの歴史について語っていく。
カタールW杯の日本代表・町野修斗選手が所属するホルシュタイン・キール
昨シーズンの2部ブンデスリーガで2位に入り、ドイツのサッカーリーグの最高峰であるブンデスリーガの1部に昇格したのがホルシュタイン・キールだ。彼らはブンデスリーガでプレーする機会を得た58番目のチームとなった。ホルシュタイン・キールは2022年のカタールW杯の日本代表の町野修斗選手が所属していることでも知られている。
そんなチームの創設は1900年とかなり古い。にもかかわらず、創設125周年となる節目のシーズンに初めて1部に昇格したため、日本の視聴者だけではなく、ドイツのサッカーファンにとっても馴染みの薄いチームだ。ちなみに、カクテルで有名なキール・ロワイヤルはこの街とは関係なく、隣国オーストリアの発祥である。
ドイツは連邦制を採用しており、16の州から構成されているのだが、ホルシュタイン・キールはシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のチームとして初めてブンデスリーガに昇格したチームとなった。ドイツにはドルトムントなどを筆頭に多くのチームの本拠地が置かれているノートライン・ヴェストファーレン州や、バイエルン筆頭に歴史あるチームがひしめくバイエルン州など、サッカーの盛んな地域がある。一方で、ホルシュタイン・キールのあるシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州は長らく、サッカー不毛の地とされていた。
その理由は諸説あるが、地理的な位置も無関係ではないだろう。ドイツの国土の大半は内陸に面しており、16州のうちで海に面している州は3つだけ。そのうちの一つがシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州だ。しかも、3州のうちで最北端にあり、北欧のデンマークと接している。冬の寒さは厳しく、日照時間も短い。もちろん、雪も降る。屋外スポーツをやるのには不向きな条件がそろっている。逆に、そのために屋内競技が盛んになった面もあるかもしれない。ドイツで2番目に人気があるスポーツと言われるハンドボールのリーグには、キールを本拠地として、ドイツ屈指の強豪と知られているTHWキールというチームがある。
そんなホルシュタイン・キールというチームだが、歴史的にはドイツ海軍の拠点となったりもした港町のチームらしい特徴がある。それらが彼らのユニフォームだ。チームがホームゲーム時に着用するユニフォームは、シャツが青、パンツが白で、ソックスが赤となっているのだが、これは港町に訪れるコウノトリの身体をモチーフにしていると言われている。青が海を、白がコウノトリの身体の色を、赤がコウノトリの足の色を想起させる。ドイツは自然豊な国なこともあり、緑色をホームカラーとするチームが多いのだが、そうした傾向とは一線を画す。
ホルシュタイン・キールで活躍する日本人選手は?
ホルシュタイン・キール初の昇格に貢献した日本人は、実は町野選手だけではない。日本代表や、その下の年代の日本の代表チームのビデオ分析官として長年活躍してきた佐藤孝大選手も、昨シーズンの途中に加入して、チームの躍進をサポートした。現代のサッカーではさまざまな戦術が発達しているため、対戦相手の分析が勝利をつかむうえで大きな意味を持っている。だからこそ、佐藤選手の仕事ぶりは選手たちから高く評価されている。
BS松竹東急で12月15日(日)に無料放送されるのが、そんなホルシュタイン・キールがボルシアMGの本拠地に乗り込んで戦う一戦だ。ホルシュタイン・キールには紹介したとおり2人の日本人がいるのだが、ボルシアMGにも板倉滉選手と福田師王選手という2人の日本人選手が所属している。日本人にとって注目の一戦を前に、ホルシュタイン・キールというブンデスリーガの新興チームの成り立ちを頭に入れてから観戦してみても面白いかもしれない。
文=ミムラユウスケ
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