ーー主演を務める佐野さんのキャスティングの決め手はどういったところだったのでしょうか?
きっかけの一つが、佐野さんが所属するAぇ! groupが、一流舞台演出家&脚本家とコラボし“本気の舞台”に取り組む「THE GREATEST SHOW-NEN」というバラエティー番組に私がスタッフとして関わっていたことです。そこで佐野さんの演技を見て、泣き芝居や感情の揺れなど、とてもすてきな演技をされる方だなと思い、当時から「いつか一緒にドラマをやりたい」という気持ちがありました。
私が今回ドラマ班へ異動しプロデューサーデビューをするにあたり、佐野さんを主演にお迎えしたいと思い、ご縁が重なってご一緒できることになりました。
ーー比屋根Pから見て、佐野さんと伊織で重なる部分などはありましたか?
みんなが大事にしていたキーワードが“子犬感”で、キュンとするせりふをかわいく言ってくれたらいいよねという思いがありました。
佐野さんは誰に対しても目を見てお話してくださる方なので、真っ直ぐでピュアな目で言葉を伝えるという面では、伊織と似ているのかなと思います。
ーードラマを見ていると、原作では描かれない部分を佐野さんが演技で補完している印象があります。
正直なところ、原作を読んでいるだけでは、伊織のバックグラウンドが分からない部分もあって…。
伊織が父親と会社で話すシーンがクランクインだったのですが、そこで佐野さんが伊織を想像してきて見せたお芝居で「伊織ってこういう人間なんだな」というのが見えてきたんですよね。佐野さんが演じていくことで、監督やスタッフの中での伊織像がどんどん構築されていったんじゃないかなと感じています。
目線や行動の動線、その一つひとつを佐野さんが考えてきてくださっていて「そうそう、これ伊織っぽい!」と現場で盛り上がりながら作っていきました。
ーー座長としての佐野さんの魅力はどんなところでしょうか?
佐野さんがすごいなと思ったのは、座長感を出しているわけではなく、毎日元気に笑顔でいるだけでその場が優しい空気になること。
「みんなで楽しく現場を作っていこうね」という気持ちがその場に居るだけであふれていて、そこにみんながついていっている雰囲気でした。
スタッフの名前も覚えていらしたし、些細な日常会話を皆さんとしてくださっていて、そのおかげで距離が縮まって楽しい現場になっていたのだと思います。
あとは、最初の佐野さんからの差し入れが印象に残っています。弊社の現場では“エコ”に取り組んでいて「水筒を持ってきてね」と伝えていたのですが、そもそも水筒を持っていない人も多くて…。すると、佐野さんが美味しい飲み物が入ったタンブラーを差し入れしてくださったんです。思い出にもなるし、エコになるし、すてきなアイデアだな、佐野さんすごいなと思いました。
それが撮影3日目くらいで、まだみんな探り探りな雰囲気だったのですが、そこを一気にまとめてくださった感じがしました。
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