
18世紀後半のフランスで、時代に翻弄(ほんろう)されながらもそれぞれの運命を美しく生きる4人の男女を描いた「ベルサイユのばら」(以下、「ベルばら」)。原作は1972年から「週刊マーガレット」(現「マーガレット」/集英社刊)にて連載され、日本中の少女たちの心を震わせた少女漫画の金字塔。宝塚歌劇団による舞台化やTVアニメ化など、一大ムーブメントを巻き起こした「ベルばら」が、完全新作による劇場アニメとして1月31日(金)に公開。隣国オーストリアから嫁いできた気高く優美な王妃マリー・アントワネットを演じ、自らも「ベルばら」の大ファンだという平野綾に、本作への思いを語ってもらった。
オスカル一択だった子供時代、大人になった今は断然アントワネット派に
――平野さんは「ベルばら」の大ファンなんですよね。
平野:そうなんです。母から少女漫画の英才教育を受けていまして(笑)、「ベルばら」もその流れで読みました。当時の私は病気がちで、さらには自分のことを男の子だと思っていたので、強くて格好良い男装の麗人であるオスカル(・フランソワ・ド・ジャルジェ)にとても憧れました。その後、TVアニメがあることを知り、頑張って再放送がやっていないか探したり、レンタルショップへ行ったりしてTVアニメも見ることができました。宝塚歌劇団の舞台にも憧れて、「オスカルになりたい!」と思って宝塚音楽学校に入りたいと思ったんですが、身長が低くて男役はできないと知り、泣く泣く断念したほどです。
――今回、アントワネットを演じることになった時はどんな気持ちでしたか?
平野:アントワネットの言葉で「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」っていう有名なフレーズがあるじゃないですか。子供のころはそのイメージが強かったんですけど、大人になってから、この言葉は実際にアントワネットが言ったわけではないということを知って。それとともにアントワネットの魅力に気付いてきて、今は断然アントワネット派なんですよ。なので、すごくうれしかったです。
――アントワネットのどんなところに魅力を感じますか?
平野:プライベートでベルサイユ宮殿に行ったことがあるんですけど、アントワネットが宮殿内に小さな村を作って、農作業などを体験していたことが印象的だったんです。それが良いか悪いかはともかく、彼女なりに庶民を理解しようという感覚はあったんだなと感じました。「ベルばら」でのアントワネットも、最後まで自分の信じた道を進もうとする彼女の心情が分かりやすく描かれていて、王族としても、一人の女性としても素晴らしい人だなと感じました。

演じるうえで意識した“時間経過”と“少女性”のバランス
――アントワネットを演じるうえではどんなことを意識されましたか?
平野:壮大なストーリーを一本の映画としてまとめているので、シーンとシーンの間に数年間が経過していることもあるんです。私はオスカル役の沢城みゆきさんと一緒に収録させていただいたんですけど、このシーンのアントワネットは何歳ころで、この時オスカルとはどういう関係性かということを丁寧に確認しながら演じていきました。年齢や経験を経て、最初と最後のアントワネットでは声質もお芝居もかなり違うものになっていると思います。とはいえ、アントワネットという同じ人間ではあるので、言葉に貫禄が増したとしても、ふとした瞬間のリアクションやしぐさに少女性が感じられたりするようなバランスはすごく意識しました。
――オスカルとの掛け合いで、特に印象的なシーンはどこですか?
平野:オスカルが(ハンス・アクセル・フォン・)フェルゼンとの関係についてアントワネットに忠告するシーンですね。このときアントワネットはオスカルに向かって「同じ女性であるあなたにも、分かってはもらえないのですね」と言うんですけど、この時のオスカルは、おそらくこれまでの人生で一番衝撃を受けたんです。このシーンがあったからこそ、その後二人がそれぞれの道を進んでいくシーンはなんとも切なくて。アントワネットは王妃として、オスカルは国民のために道を違えるんですが、この二つのシーンは結構テイクを重ねましたし、強く印象に残っています。
――本作では数多くの挿入歌が流れるのも特徴的です。まるで音楽劇を鑑賞している気分にもなりますね。
平野:そうですね。劇中で大きな展開やトピックスがあった際にスポット的に流れるので、その瞬間の人物の心情を表した歌として楽しんでいただけると思いますし、尺の関係上でワンコーラス程度しか流れない曲もたくさんあるので、ぜひ今後発売されるCDでフルバージョンの楽曲を聴いてほしいなと思います。
――平野さんもアントワネットとして、ソロやデュエット、カルテットと多くの楽曲に参加されています。
平野:収録には吉村愛監督も立ち会ってくださり、レコーディングがアフレコよりかなり前に始まっていたこともあり、楽曲が流れる箇所の絵コンテまで持ってきてくださったので、とても助かりました。どんな絵が流れるのかが分かると、歌唱シーンなのか、それともポップスや歌謡曲っぽく歌えばいいのか判断がしやすくて、音楽チームとのすり合わせもスムーズに進みました。
――フェルゼン役の加藤和樹さんとのデュエットもすてきでした。
平野:ありがとうございます。加藤さんとは以前にもミュージカル「レディ・ベス」でガッツリと共演させていただいたので、きっとこんな感じで来るだろうなっていうのが想像しやすくて、とてもやりやすかったです。



































