今ツアーの舞台セット最大の特徴として、プロジェクションマッピングに対応した斜傾ステージが上げられる。ザ・ウィークエンドを思わせるセットに、ニヤリとした音楽ファンもいたのではないだろうか。ライブはストリートなサウンドがなり始めると、ステージ上をマウンテンバイクが駆け巡るエキサイティングなパフォーマンスで、歓声があがる。その勢いのまま、80年代風味のギラギラしたファンクナンバー「Boom Word Up」で会場は大盛り上がり。続く「Players」「Drop Drop」もサウンドと世界観に合ったダンスで楽曲に色をつけていく。
この斜傾ステージ、ダンスしづらいのでは?と思った人もいると思うが、実はダンスのために作られたセットのように思える。斜めになっていることで、どこから見ても9人のダンスパフォーマンスを全体でみることができるのだ。ダンサー全員を見せたいのであれば、段を組んだセットにすればいいと思うかもしれないが、それではダンス中の移動ができないので、ダンスの構成で見せるということが出来なくなる。もちろん、プロジェクションマッピングを見せるためという理由もあるかもしれないが、ダンス的にはそういう利点があり、これは新しい舞台の見せ方だと感動すら覚えたほどである。
そして、ついにこの日リリースとなった新曲「Time Has Gone」へ。この曲のみ、手持ちのスマートフォンで動画の撮影可能という企画が実践され、こういった演出も海外を意識しているなとアンテナの広さを感じさせる。前作の「We Don't Need To Talk Anymore」をブラッシュアップした曲ということもあって、ダンスパフォーマンスもよりエッジーになっていた。時間を意識した音の取り方や、HIPHOP系の振付でありながら、歌詞の表現も拾っているダンスは、センスの塊である。サビを全員で踊る姿も圧巻で、特に後半の畳み掛けは息を飲むパフォーマンスだった。
ライブも終盤戦に突入。アルバム『INVISIBLE』初回盤に付いてくる“Reflection Remix by DMD”に収録された、w-inds.珠玉のダンスナンバーが、日本武道館を揺らす。「Let's get it on」では、千葉涼平が得意のブレイキンでパワームーブを見せ会場に歓声を生み出し、「Superstar」は、プロダンサーのショーケースとなんら変わらないダンスムーブを見せ、「SAY YES」では、斜めのステージでフロアムーブをやるという荒技も見せた。
本編ラストを飾ったのは「New World」。2010年の曲だが、ダンサーのkooouyaが、リミックスバージョン用に新しく振付したもので、橘慶太が「ずっと求めていた振付」とまで言わせた新バージョンでパフォーマンスを披露。ザ・チェインスモーカーズを意識した振付は、移動さえも音ハメしてしまうカッコよさで、音楽とダンスがここまで一つになるんだと感じさせる。一体となったライブは、ファンが生み出すクラップと歓声に包まれ幕を閉じた。
鳴り止まないアンコールを受けて、再登場したw-inds.。「In Love With The Music」では、ステップ多めの振付で、ドルフィンを全員でキメるなど、体力の限界を超えても、ダンスと歌を届ける。アンコールラストは2ndシングルの「Feel The Fate」を披露。ファンと掛け合いがあるこの曲は、この日最大のシンガロングを生み出し、日本武道館を一つにした。
ライブ全体を通して、やはりw-inds.は日本のアーティストの最先端を進んでいるグループだと確信。海外のトレンドをいち早く取り入れる音楽性、個々のパフォーマンス力の高さ、自ら音楽を作るクリエイティブさ、この全てを兼ね備えているダンスグループはw-inds.だけだろう。
ダンスとアーティストを職業という観点で見ると、w-inds.はダンサーにとって、夢の職場になりうる存在だと推薦したい。洋楽でダンスをすることが主流のダンスシーンで、w-inds.の音楽は好みにあったものであるし、ライブを見ていればわかるが、ダンサーへの理解や愛も深い。そして、本人達もダンススキルが高いし、アーティストでしか経験できないような表現力もあるので、ダンサーから見ても学べるものが多いのも特徴だ。
バックダンサーという仕事は、アーティストありきの仕事だ。日本のダンサーレベルが上がり、ダンサーが増えている現状で、高い音楽性とステージングを用意できるアーティストは日本にどれくらいいるだろうか。加えてダンサーにリスペクトを持ってくれるアーティストになるとさらに数は減るだろう。そう考えると、w-inds.は今後、ダンサーが夢の舞台として憧れる存在になるのではないかと期待せざるを得ない。
「Feel The Fate」で、当時の振付を踊るというファンサービスがあったが、新機軸を打ち出すツアーで、最後にファンを喜ばせるパフォーマンスをするあたり、w-inds.の優しさと配慮を感じた。MCで橘慶太が「みんなの力を借りてステップアップしていきたい。スキル上げていきます。15周年のときも言ったけど、安心して付いて来てください」とファンに言葉を投げかけた通り、w-inds.は状況を見ながら今後も進化し、音楽シーンをひっくり返す可能性を持った希少なアーティストである。彼らが変える日本の音楽シーンは明るいものだと期待させてくれるライブであった。
1. Come Back to Bed
2. Backstage
3. Complicated
4. No matter where you are
5. TABOO
6. CAMOUFLAGE
7. wind wind blow
8. We Don't Need To Talk Anymore
9. Separate Way
10. In your warmth
11. A trip in my hard days
12. ORIGINAL LOVE
13. Boom Word Up
14. Players
15. Drop Drop
16. Time Has Gone
17. Let's get it on(Reflection Remix by DMD)
18. Superstar(Reflection Remix by DMD)
19. SAY YES(Reflection Remix by DMD)
20. New World(Reflection Remix by DMD)
EN1. FANTASY
EN2. In Love With The Music
WEN. Feel The Fate
・39th Single「Time Has Gone」2017.9.27 on sale
・DVD / Blu-ray「w-inds. LIVE TOUR 2017“INVISIBLE”」2017.11.29 release
NOZATATSU
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