
今田美桜が主演を務める連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。同作は、「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかしと妻・暢をモデルにしたオリジナル作品。戦前から戦後と激動の時代を生きた“ハチキンおのぶ”こと朝田のぶと、夫となる柳井嵩があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでの人生を描いた愛と勇気の物語。
「あんぱん」の物語も第5週の放送が始まり、のぶと嵩も将来に向け新たな局面に進んでいく。WEBザテレビジョンでは、本作の脚本を手掛ける中園ミホ氏にインタビューを実施。やなせたかし氏との思い出、本作に込める思いを語ってもらった。
やなせ夫妻をモチーフとした作品ならばとお受けしました
――連続テレビ小説「花子とアン」(2014)以来の“朝ドラ”脚本執筆となりますが、オファーがあった際のお気持ちはいかがでしたか?
“朝ドラ”は大変なことが分かっておりましたので、半分断ろうと思っていました(笑)。ですが、やなせ夫妻をモチーフとした作品となるということで、それならば、私が絶対に書きたい、老体にむちを打ってでも頑張ろうと思い、お引き受けしました。
――“朝ドラ”の大変さとはどのようなものだったのでしょうか。
やはり書く量がとても多いですね。朝起きて、息つく暇もないほどに書いていく感覚で。私はお酒を飲むことが好きなのですが、お酒の場にも行けなくなるほど忙しくなるんです。私はあまり筆が早い方ではないので、たくさん書かなければならない中で息切れしないようにすること、そして体力的なことを含めとても大変でした。
――「あんぱん」の執筆はいかがですか?
今のところ、わりと順調に進んでおります。たまに息抜きで「あんぱん」のスタッフと飲みに行ったりしますが、結局仕事の話になってしまいますね。24時間“朝ドラ”漬けという日々を過ごしています。
“やなせたかしワールド”を皆さんに知っていただきたいなと思っています
――作中のせりふにやなせたかしさんの詩の一部などが登場するのが印象的です。やなせさんとは縁が深いとお伺いしましたが、どのような出会いだったのでしょうか。
私は、小学4年生の時にやなせさんの「愛する歌」という詩集を読み、ファンレターをお送りしました。そしてやなせさんからお返事をいただき、文通が始まりました。その時読んだのは「愛する歌」の第2集だったのですが、先日その本を開いてみたところ、ほぼ内容を覚えていたんです。それほど繰り返し何度も読んでいました。最初からやなせさんの詩を使おうと考えていたわけではなかったのですが、覚えているフレーズがたくさんあるので、それが自然と書いている台本の中に降りてくるという感じです。
幼い頃の嵩(木村優来)と、阿部サダヲさん演じる草吉の二人のシーンでも、私はお二人の顔を思い浮かべながら書くのですが、ふとやなせさんの詩の一節が浮かび、そして「たった一人で生まれてきて、たった一人で死んでいく…人間なんて、おかしいな」というせりふを書きました。私自身、10歳で父親を亡くしましたが、その詩を読んで索漠とした内容ですが逆にすごく救われたという思いがありました。
やなせさんは「アンパンマン」で一気にブレイクされましたが、それ以前にも本当にすてきな作品を書かれていますので、できるだけ“やなせたかしワールド”を皆さんに知っていただきたいなと思っています。
――文通をされていた際の、やなせたかしさんの印象はいかがでしたか?
出会った頃は、やなせさんはまだ代表作がないということを気にしていらして、手紙の中に愚痴のようなものが書かれていることもありました。小学生の私に、「またお金にならないお仕事を引き受けてしまいました」などと、書いているんです(笑)。すごく正直で真っすぐな方でした。その後、やなせさんが開かれていた音楽会に何度か招いてくださったのですが、お目にかかるといつも「おなかはすいていませんか」「元気ですか」とすごく優しく声を掛けてくださったのがとても印象に残っています。

































