
ディズニー最新作映画となる実写版「リロ&スティッチ」が6月6日に日本公開され、初週の週末観客動員ランキング初登場1位を記録した。同作はハワイを舞台に、両親を亡くした主人公の少女・リロと姉のナニ、そして愛を知らない暴れん坊のエイリアン・スティッチらの出会いと“オハナ(=家族)”の大切な絆を描くハートフルファンタジー。実写化により、劇中の登場人物たちの心情をよりリアルに捉えた作品になったが、中でも存在感を発揮しているのがリロの姉・ナニだ。劇中のナニに関する見どころや、彼女をより魅力的に見せてくれる日本版声優・MOMONA(ME:I)の演技に着目してみたい。(以下、ネタバレを含みます)
公開20年超…ディズニー有数の人気キャラクターに
2003年にアニメーション版「リロ&スティッチ」(ディズニープラスで配信中)が日本公開されてから20年あまり。実写になってよりハートフルなファンタジーとして再び映画になった。ハワイ・カウアイ島で暮らす、リロとナニの姉妹と、宇宙からやってきた“試作品626号”ことスティッチの間で巻き起こる騒動、人とエイリアンの心の交流を描いているのはアニメ版と変わらない。
アニメ版公開後、ディズニー有数の人気キャラクターになったスティッチは、実は銀河連邦の“悪の天才科学者”ジャンバ博士が作りだしたエイリアンで、圧倒的な身体能力と知能を持っている。だが本能の赴くままにモノを破壊しようとする性格ゆえ、銀河連邦から追放されて地球に不時着。そこでリロと出会うことになる。
実写版スティッチは、まさしくぬいぐるみさながらのモフモフな質感。宇宙で生まれた時は6本の手足と触覚があるところもアニメ版と同じだ。地球にやってきて「犬」になりすまそうと4本足に大きな耳と目がチャーミングなおなじみのビジュアルになるが、それでも犬と言い張るには無理がある。けれども、リロも周りの人々もスティッチのことをちょっと変わった犬だと思って疑わない。ここに、実写映画なのにファンタジーという絶妙なバランスが成り立っている。
MOMONAの声が聡明で責任感の強いナニにマッチ
もちろん本作の魅力はスティッチのかわいさだけにあらず。実写になった分、ハワイに生きる人々の心の揺れ動きと大自然の美しさがより際立つようになった。リロの姉・ナニのリロへの責任感や将来への思いも正面から描いている。
ナニは両親を事故で亡くしたため、リロの親代わりをしているがまだ18歳。ただでさえ想像力豊かで自由奔放なリロに振り回されていて失敗ばかり。そのため社会福祉局の職員ケコアから、リロを里親のもとに出すことを勧められている。頭も良くて海洋生物学を学びたい夢があるのだが、リロとの生活を優先して気持ちに蓋をし、アルバイトと家事に忙しい。
日本版でナニの声を演じるのは、これが声優初挑戦となる11人組ガールズグループ・ME:IのリーダーでもあるMOMONAだ。ナニの聡明で責任感の強い性格に、彼女の低く澄んだ声色がマッチしている。だがリロが奔放なので、彼女と一緒にいるシーンでは喜怒さまざまな感情をあらわにする。その自然体なところは、声優初挑戦とは思えないほど。
中盤までのナニは、とにかく苦労人だ。リロに加えて暴れん坊のスティッチまで家にやってくるし、アルバイト先に連れていけばスティッチが大騒動を起こしてクビになってしまう。苦労続きに、ケコアから別居を勧められると、現実的な将来とリロと離れたくない気持ちの間で悩む。リロといる時は等身大の10代の女性で、大人たちと真剣な話をする時はリロの保護者でいようと背伸びしている。この細かな心の変化をMOMONAの吹き替えは丁寧に演じ分けていた。
リロとスティッチに手を焼いている時でも彼女の声には優しさがにじんでいるし、シリアルな場面でナニが口を開くとより凛とした空気になるような印象もある。MOMONAならではの芝居と(リアルな人間が演じる)実写映画だからこそ、ナニが抱える葛藤が誰の人生にも起こり得るイシューとして、共感を呼ぶのだろう。
そんなナニも得意のサーフィンで、インストラクターの仕事を見つける。ナニに好意を寄せる青年デイヴィッドもいて、ちょっとずつ笑顔が増えていく。リロ、ナニ、スティッチそれぞれの成長物語でもある上に、ハワイの映像美のおかげで、美しい自然が彼らを見守っているように思えてくる。2人と1匹で波に乗っているシーンの波の躍動感や、水中から撮った幻想的な海の風景も実写ならではだ。




































