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「こんなに長いチームは日本ではありえない」結成35周年! BE BOP CREWが見てきた景色

2017/11/13 17:00

日本のダンサーなら誰しもが知っているチーム、BE BOP CREW。今年で結成35年を迎え、11月26日(日)にイベント『BE BOP CREW 35周年アニバーサリー』を開催することが決定しました。

今回、BE BOP CREWを代表してSETOさん、YOSHIEさんにダンス人生の始まりからBE BOP CREWのことまで語ってもらいます。

YOSHIE
YOSHIE


ダンスも習ったことがないのに見よう見真似でチャレンジした(YOSHIE)


――ダンスを始めたきっかけを教えてください。

SETO(以下S):1990年くらいに、バラバラになっていたBE BOP CREWが再結成したときに福岡で30分くらいのライブをやったんですけ、それを観て本気でダンスをやろうと思いました。

――「本気で」ということは、それまでもダンスはしていたんですか?

S:クラブで働きながら遊びで踊ってはいたんです。当時のダンサーって昼間に踊って、夜に働いていたんですよ。僕が働いていたクラブはビルの2階にあってインペリアルJB’sのメンバーが働いていました。福岡にはインペリアルJB’sとBE BOP CREWの二大巨塔があったんです。同じビルの3階にはBE BOP CREWの人が働いているクラブがあったので、BE BOP CREWのメンバーになる前からSOさん(BE BOP CREW)とは知り合いでした。SOさんに「BE BOP CREWの練習生になりたい」と言って、練習に行かせてもらうようになって働いていたクラブは辞めて、3階のクラブで働かせてもらうようになったんです。当時はイケイケで、今考えれば怖いもの知らずでしたね(笑)。

――当時らしいエピソードですね! では、YOSHIEさんのダンスを始めたきっかけは何ですか?

YOSHIE(以下Y):高校生のときに友達が持っているMadonna『Blond Ambition Tour』のライブビデオを見せてもらって雷に打たれたような衝撃を受けたんです。そのビデオを擦り切れるまで観て、真似をしていましたね

――具体的にどんなところに衝撃を受けたんですか?

Y:歌やダンスだけでなく、魂というか人間の内から出る何かに衝撃を受けましたね。Madonnaの自伝も読むくらい虜になりました。ちょうどその頃に『ダンス甲子園』が始まって、ダンスも習ったことがないのに見よう見真似でチャレンジしたんです。当たり前のように予選落ちをして、それを繰り返していましたね(笑)。

――そこから本格的に踊るようになったきっかけは何ですか?

Y:当時、ダンスレッスンをやっている人がほぼいなかったんですけど、インペリアルJB’sのリーダー長谷川先生がレッスンをやっているらしい、と聞いて見学に行ったんです。そうしたら、Madonnaを観たときと同じくらいの衝撃を受けて…。当時、今みたいに90分もやっていなかったんですけど、3本連続でレッスンをやっていて、思わず見入ってしまったんです。高校生で制服を着たままの姿でずっと見学していたから、『何やお前、変なヤツやな』って言われて(笑)。こんなに見学している子は初めてだし、インペリアルJB’sの追っかけだと思われてすごく煙たがられてたんですよ。私は先生に魅了されただけだったので否定したら、『来週からJAZZスニーカーを持ってこい』って言われました。

――ドラマや漫画の1シーンみたいですね!

Y:本当にそんな感じ! 迷わず『はい!』と即答して、それからレッスンに通うようになりました。

――それからBE BOP CREWに出会ったのはいつ頃なんですか?

Y:BE BOP CREWに出会うのはそのあとなんです。当時、BE BOP CREWが普通のダンスショーとは違うストーリー性のある30くらいのショーを観て、自然と涙が出るほど感動したんです。それからBE BOP CREWのメンバーのレッスンに通うようになりました。

SETO
SETO


昔は自発的に動かないとやっていけなかった(SETO)


――では、BE BOP CREWに入ったきっかけは何だったんですか?

S:それが、“いつ”というきっかけとかはないんですよ。俺はずっと練習生としてやらせてもらっていて、練習生で作ったチームGANGとしてコンテストとかにたくさん出たりしていたんですけど、そのチームがなくなって最終的に残ったのが俺だけ。それからもBE BOP CREWのライブとかには出させてもらっていて、いつの間にか一緒に活動するようになりましたね。それでも、BE BOP CREWだとは自分で言えないんです。

――今と違って、昔はそういう流れが多かったんですね。

S:そうですね。認める、認めないというのがあったし、人数も多かったですから。一緒に踊るようになって2年くらいして名乗れるようになったと思います。

――YOSHIEさんは?

Y:私はRICKYさん、YOSHIBOWさん、SUSUMUさん、坂見誠二さんのレッスンに通ったり、クラブへ行ったりして、メンバーの皆さんとは接していたんです。まだOLをしているときにYOSHIBOWさんからバブルガムブラザーズのバックの仕事があると言われて、BE BOP CREWになる前に仕事をもらっていました。それからBE BOP CREWが踊るときにも入れてもらうこともありましたね。

――そうだったんですね。YOSHIEさんもそこからSETOさんと同じような流れでメンバーになったんですか?

Y:ちょっと違いますね。YOSHIBOWさんと一緒に仕事をしているときに、私が緊張しすぎて振付を間違えてしまったことがあって、「お前、それでプロって言えるの?」って言われたんですよ。「え? プロ?」って思いましたね。それで、みんなと一緒に昼間に練習したい、本格的にやりたいと思うようになってOLを辞めました。練習しながら、変わらずレッスンに通っていたらYOSHIBOWさんに「お前はどうするとや?」と言われたんです。それは、「BE BOP CREWに入れてください」という私の言葉を待っていたみたいで、「い、入れてください・・・!」って言いましたね。

――なんだか九州男児っぽいですね(笑)。

Y:「BE BOP CREWに入れてください」なんて言えないですよ!

S:俺は「練習生にさせてください」って言ったなぁ。昔は自発的に動かないとやっていけなかったんですよ。

YOSHIE
YOSHIE


全てはYOSHIBOWさんの死が変えたと思う(YOSHIE)


――BE BOP CREWのメンバーになって変わったことはありますか?

S:普通、ダンサーって「ダンスが上手くなりたい」と思うけど、YOSHIBOWさんたちは「黒人になりたい」って言っていたんですよ。だから、ダンスはもちろん、黒人の仕草とかダンスじゃない部分もいっぱい教えてもらったんです。それが日本のダンスシーンに根付いているだろうし、それありきで日本のダンスが絶対にあるな、と思いました。そこがブレていたら自分はダンスをやれていなかったと思います。

Y:一緒にいるようになってわかったのは、ダンス以外の“遊ぶ”こと。同じ釜の飯を食うじゃないけど、一緒に笑って、一緒に練習して、一緒に遊んで・・・。

――そういうのってやっぱり大事ですよね。

Y:YOSHIBOWさんには音楽の聴き方も教えてもらっていました。いつも「ダンスは心で踊れ」と言っていましたね。

S:ダンスだけじゃないんですよね。

Y:そう。音楽のことは本当によく言っていました。

S:黒人のカッコ良さや歩き方、色気とか。

Y:YOSHIBOWさんは「コンテストやバトルに勝てるダンサーは育てられんけど、カッコ良いダンサーは育てられる」って言っていたんです。そういうもの全てにものすごく共感できたし、今も同じように教えたり、伝えています。教えてもらったことが私に染み付いているんです。

――ダンスだけでなく、そういう教えもしっかりと受け継がれているんですね。

S:ダンス以外のそういう大切さを今のダンサーは全くわかっていなくて、BE BOP CREWしか持っていない部分なのかな、と思います。だから、そこは伝えていかないといけないと思って、またGANGを作って若い子たちを入れたんです。これは、「若い世代、次世代に繋げていって欲しい」というYOSHIBOWさんの遺言でもあります。GANGの子たちと一緒に踊っていて楽しいよね。

Y:楽しい! こういうこと全てはYOSHIBOWさんの死が変えたと思います。YOSHIBOWさんってチームのアイコン的な存在でBE BOP CREWにいて当たり前だったんですよ。だから、亡くなったときにみんなでいっぱい考えましたね。

S:東京、福岡、広島、大阪とメンバーが離れている状態のときだったので「ひとつになろう!」と。

Y:もう一回り大きく、みんなでYOSHIBOWさんのためにも動くきっかけになりましたね。それから全てが変わっていきました。

S:たぶん、あのままだったらなぁなぁになっていたよね。

Y:そうだね。GANGのオーディションはやってなかったかもね!

S:絶対にやらなかった(笑)。活動もバラバラのままだったでしょうね。

『好き』という感情が大事(SETO)


――実際にGANGのオーディションをやってみていかがでしたか?

Y:全国で80人くらい受けてくれたんですけど、本当に大変だったんです。

S:良い子が多いしね。

Y:だから、もっと合格にしても良いんじゃないか、全員合格でも良いんじゃないか、といろいろな意見がありましたね。

S:狭き門にした方が良いという意見もありました。

Y:最終的に、メンバーが10人なのでGANGも10人にすることにしたんです。気持ちのある子も多かったので10人に絞るのは悩みました。

――あのBE BOP CREWを受け継いでいくものですからね。

S:「好き」という感情が大事。愛です(笑)。

Y:あとは、歴史が長いからオールドスクールのイメージが強いんですけど、私たちが見ていたBE BOP CREWはBREAKIN、JAZZ、BE BOPとそれぞれのジャンルを踊る人がいて、中にはめちゃくちゃカッコ良いNEWJACK SWINGを踊る人もいるんですよ。

S:そういう感覚があるので、今回のGANGのメンバーはHOUSEやHIPHOPに力を入れている子もいます。

Y:オーディションをやると決めたときからいろいろなジャンルのダンサーが受けてくれることをみんなが望んでいました。

新たなBE BOP CREWにしようとしてくれている(YOSHIE)


――イベントのリハーサルは順調ですか?

S:人数も多いし、それぞれ拠点がバラバラなので大変ですね。YOSHIEとPEETさんがまとめてくれているんですよ。

Y:年齢も違うし、ダンスをやってきた土地が違うから進め方のペースが違うので、難しいこともありますね。

S:感覚も違うもんね。

Y:こうやって先輩たちと一緒にやる中で意見をすることに毎回緊張しています。

S:仕切ったりするなんてありえないよね(笑)。

Y:でも、先輩方が私たちの意見も取り入れて、新たなBE BOP CREWにしようとしてくれています。そうやってみんなで一緒に協力して進めているんです。

――35周年という記念すべきイベントのためのショーなのでプレッシャーもありますよね。どんな内容になりそうですか?

Y:クオリティの高いショーにしたいし、私が昔見たBE BOP CREWの1人1人がカッコ良い部分も見せたいな、と考えています。

S:先輩たちが持つ色気や良い意味での緩さは大切だよね。あとは、初代BE BOP CREWがあって解散して、再結成した第二次があって、YOSHIBOさんが亡くなり、新体制になって今回が第三次なんです。そのお披露目という形でもありますね。

SETO
SETO


こんなに長いチームは日本ではありえない(SETO)


――今後、BE BOP CREWはどういう活動をしていく予定ですか?

Y:35周年は福岡でやりますけど、GANGのメンバーが広島、東京、大阪にいるので各地で活動していけるように、と考えています。東京BE BOP CREW、大阪BE BOP CREWのように、各地でGANGと一緒に活動して良いショーを見せていくことで「BE BOP CREWは、いつどこでショーをやってるの?」じゃなくて、「広島でも大阪でも東京でも福岡でも見られる!」となるようにしていこう、と話しています。中国、韓国とかまで広げられたら良いですけど、まずは急がず、地道にやっていこうと思っています。

S:そうだね。ゆっくりやっていこう。

――今までやってこなかった動きをやっているんですもんね。

Y:まさにそうなんです! 今までなかった動きがありますね。

S:BE BOP CREWは世界でも2番目に古いチームなんです。1番古いチームはROCK STEDY CREWで40周年。こんなに長いチームは日本ではありえないですよ!

――こんなに長く続くダンスチームはすごいですし、日本のダンスシーンを語る上で欠かせない存在だと思います。

Y:それを絶やさないようにしないといけないですね。そのためのイベントでもあるので、ぜひ観に来てほしいです!

(撮影●関純一 取材・文●msk-onelove-)

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

■Be Bop Crew 35周年 Anniversary
11/26(日) OPEN 17:00 / CLOSE 21:00 スカラエスパシオ福岡
詳細はBE BOP CREW オフィシャルをCHECK!
http://www.bebopcrew.com/

■SETO Instagram
https://www.yooying.com/setobbc

■YOSHIE Instagram
https://www.instagram.com/yoshie_bbc_ebony/

RIP YOSHIBOW 1957〜2016 - Be Bop Crew -

BE BOP CREW Sound Cream Steppers 20th Anniversary

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