
壮絶な過去に隠された愛と罪を追うサスペンスミステリードラマ「殺した夫が帰ってきました」が7月11日(金)からWOWOWにて放送・配信開始(毎週金曜夜11時~)。DV夫を殺してその事実を隠しながら生きる主人公・鈴倉茉菜を山下美月、茉菜が殺した夫である鈴倉和希を萩原利久が演じる。今回共演3回目となる2人に、作品の魅力や現場での思い出などを語ってもらった。
考察をしながら見るのが王道な見方
――かなり衝撃的なタイトルですが、桜井美奈さんの原作を読んだ感想を教えてください。
山下:二転三転する展開に静かに感情を揺さぶられつつ、これを希望と呼ぶのか絶望と呼ぶのか考え続けていました。
萩原:原作は寝る前に読み始めて、面白くてやめられず、そのまま朝になっていました。その段階でかなり難しい役だと想像できましたが、挑戦したいと強く思いました。
――台本を読んでどのように感じましたか?
萩原:まずはどのように終わっていくのか、考察をしながら見ていただくのが王道な見方かなと感じました。僕らも可能な限り、「マジかよ…」と思わせるような、観る人を裏切る展開を見せたいと思っています。ただ、原作だとスッと入ってくるものも、実際に演じるとなると成立するのかな?という部分もあって、頭を使いながら臨まないといけないなと感じました。
山下:私が演じる茉菜は主人公でありながらも、周辺の人物のアクションによって色んな人生を歩んでいくという人物で。なので、ご一緒させていただく皆さんに委ねる部分がすごく多かったです。ただ、彼女の心情の変化は丁寧にすくわなければいけないとも感じました。
登場人物への共感は「視聴者の方々も9割9分難しいと思う」
――演じる茉菜、和希をどのような人物だと思われましたか?
山下:SOSを出せない人間だと思っています。自分がこの世にいていい存在とは全く思っていなくて。なぜここにいるのか、なぜ生きているのか、分からずに大人になってしまった部分がすごく大きいです。監督からも感情をあまり出さずに演じて欲しいというオーダーもあり、そのあたりはすごく難しかったです。
萩原:和希にはDV夫という気性の荒い一面がありますが、僕が主に演じるのは記憶をなくしてからの和希。だから茉菜と再会したときから和希という人物が少しずつできていくイメージでフラットに演じました。演じる上で、サスペンスとしての見せ方と和希のリアルな見え方とのギャップのちょうどいい塩梅を探るのが難しかったです。
――どちらの役もなかなか共感できない役ですよね。
山下:難しいですよね。境遇的な共感は、私はもちろん多分視聴者の方々も9割9分難しいと思うんです。でも今の社会において、助けを求められない人は本当にたくさんいらっしゃると思うので、そのような部分では茉菜と重なる部分はたくさんあるのではないかなと思います。
そして茉菜の難しいところは、自傷行為ではないですが、心を自分自身で傷つけることによって生きる意味を見つけている部分もあって。そのような茉菜の心を抱えながら演じていました。
萩原:和希に関しては、共感はあまり考えなかったです。そもそも見ている人によっては、和希は生きている人間なのかも分からない存在でもあるので。今回はどう演じるというより、作品の中での役割的なものに対する比重の方が僕の中で大事にしてきました。タイトルにあるように存在自体が違和感で物語を作っていくと思うので。

ソニー・ミュージックレーベルズ
発売日: 2024/10/02
































