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【テレビの開拓者たち / 李 闘士男】ジャニーズWEST主演「炎の転校生REBORN」は“アホ”が詰まった学園ドラマ!?

2017/11/14 06:00

人の不幸を売り物にすることは絶対にやらない。テレビって夢の箱だと思うんですよ


「これからもアホなものを作りたい。『炎の転校生REBORN』を作りながら、改めてそう思いました」と語る李闘士男監督
「これからもアホなものを作りたい。『炎の転校生REBORN』を作りながら、改めてそう思いました」と語る李闘士男監督


──李監督はもともと、バラエティーのお仕事がメインだったんですよね。

「最初はドキュメンタリーですね、学生時代でしたけど。僕が今までやったことのないジャンルって、スポーツ中継くらいですよ。ニュース番組もやったことありますから。ドキュメンタリーから始めてだんだん分かってきたのは、われわれの仕事は、“HOW”よりも“WHAT”が大事だということ。まず何を撮りたいのかがあって、その上で、それをどう撮るのか。でも最近は、HOWを先に考えちゃう作り手が多い気がするんですよ」

──その当時からドラマや映画を撮りたいというお気持ちはあったんですか。

「いえいえ、全くなかったです。ただ、あるときに『ドラマの演出家は“監督”って呼ばれるのに、どうしてバラエティーの演出家だと“李ちゃーん!”になっちゃうんだよ』ってスタッフに言ったことがあって(笑)。『じゃあ、ドラマ撮ってみます?』って言われて初めてやったドラマが『美少女H』(1998年フジ)だったんです」

──オムニバス第6話の「屋上の聖戦」ですね。第5話までは青春ものや恋愛ものが中心だったところへ全く新しい作風が持ち込まれたきっかけでした。

「他の人の作品は全く知らずに撮ったんですけどね。周りにバラエティー畑のブレーンしかいなくて、『さて何をやろうか…女子高生がヤクザと対決するのとか、どう?』なんて話してるうちに、雑居ビルの屋上で卓球対決をする、という設定になって。本当は、その1作だけでドラマは終わりのつもりだったんですけど、『美少女H』が放送されてしばらく経ったころに、当時(フジテレビ)広報局長で、かつては『北の国から』(1981年ほかフジ系)のディレクターも務められていた山田良明さんから呼び出されたんですよ。何か問題でも起こしたかなと思ったら、『この間のドラマ、良かったよ。今までどんなドラマを撮ってたの?』って聞かれて。それで正直に『あれが初めてです』って答えたら、『あれで初めてなの? もっと撮りなよ。俺からも言っとくから』なんて言っていただいて。そこから、その後もドラマも撮るようになった感じですね。『世にも奇妙な物語』(1990年~フジ系)だったり」

──話は戻って、バラエティーについてお聞きしますが、李監督は、さまざまなスターの方々と一緒に、さまざまな番組を作られてきていますね。

「いわゆるバラエティーでメインを張ってらっしゃる方で、僕がご一緒したことないのは明石家さんまさんと島田紳助さんくらいなんですよ。とんねるずともダウンタウンとも番組をやったことある人って、そうはいないんじゃないですかね。SMAPと嵐の両方とも、とか。そうやって、いろんな方といろんな番組をやらせていただけたのは、他の人にはなかなかできない経験でしょうね」

──そんな経験が可能だった理由は何だと思いますか。

「もちろん僕はご一緒する方には敬意をもっているんですが、タレントさんって基本的にはマゾだと思っていて(笑)。僕は割と、『もっとこうしましょうよ』とか他の人は言わないようなこともどんどん口にするので、そういう性格がいい方に転がったんじゃないですかね。臆せずにモノを提案するところをかわいがっていただけたのかなと。

あとは僕の場合、演出だけじゃなく企画から自分で立ち上げることが多いんですよ。こんな番組を作りたいとテレビ局に提案して、そこから、さて誰に出ていただきましょうか、というパターンが多い。『(タモリの)ジャポニカロゴス』も、まず企画を出してから、この番組ならタモリさんが適任なんじゃないか、じゃあお願いしてみよう、という順番で。そういう感じだから、結果的にいろんな方とご一緒できてるんじゃないかと思います」

──バラエティーもドラマも含めて、李監督が番組を作る上で最もこだわっていることは何ですか。

「人の不幸を売り物にすることは絶対にやらない、ということですね。テレビって夢の箱だと思うんですよ。かっこいい刑事ドラマにしても、バカバカしいコントにしても、ちょっとエッチな番組にしても(笑)。僕はやっぱり、おもろかったなー、元気になったなーって思ってもらえる番組を作りたい。映画にしてもそうで、僕はアンハッピーな終わり方をするものは絶対に作りたくない。そういう映画が高い評価を得るっていうのも分かるんですけど、それは他の人がやればいいんじゃないかなと思いますね」

──では今後、どんな作品を作ってみたいですか。

「バラエティーにしろ、ドラマにしろ、アホなものを作っていきたいなと思います。今回の『炎の転校生REBORN』で改めてそう思いました」

──ところで、今回のインタビューは「テレビの開拓者たち」というタイトルなんですが、ご自分がテレビ界に貢献できているなと感じることはありますか。

「僕が一緒にやってたスタッフには、今、第一線でバリバリで活躍しているやつが多い、ってことですかね。自分が育てたとは言わないですけど、僕は“スタッフ再生工場”って言われてますんで(笑)。このダメなディレクターを何とかしてやってくれなんて頼まれたりね。バラエティーは特にそうですけど、正解って1つじゃないし、その人に合った答えがあるはずなんですよ。これが答えだって押し付けちゃうのは絶対によくない。とりあえずチャンスを与えて、やらせてみてから教えた方が早いと思うんです。要は、テレビの世界ってアホなやつのほうが向いてるんです。僕なんか、他の業界に行ったら絶対に何の役にも立たないですから(笑)。この世界があってよかったなと思いますね。…って、こんなんで答えになってます?(笑)」

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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「炎の転校生REBORN」
11月10日(金)よりNetflixにて全世界190カ国に同時配信
 
撮影=源賀津己/取材・文=青木孝司
 
「ひょうきん族」「電波少年」など伝説の番組の“裏話”が満載!

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  • りー・としお=1964年5月13日生まれ、大阪府出身
  • 7人の転校生・翔(カケル)が全国の学校に極秘潜入し、問題を解決する痛快学園ドラマ「炎の転校生REBORN」。ヒロインを川島海荷が演じている
  • 「これからもアホなものを作りたい。『炎の転校生REBORN』を作りながら、改めてそう思いました」と語る李闘士男監督

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炎の転校生 REBORN

出演者:重岡大毅 濱田崇裕 神山智洋 小瀧望 桐山照史 藤井流星 中間淳太 川島海荷 鹿賀丈史 

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