
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、雑誌「花とゆめ」にて連載しており、コミックス1~3巻が発売中の漫画『人の余命で青春するな』(白泉社刊)の1話を紹介する。本作の担当編集者・花とゆめ きんさんが、6月22日に「余命3年、芸能クラスで青春する」と添えてX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、6000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、作者の福山リョウコさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
余命を知り、諦観を持つ少女と夢に一途な少年が出会う

諦観を持ちながら芸能クラスに通う之依は、大好きな鴫沢監督の最新作オーディションの書類選考を通過し2次審査へと進んだ。しかし2次審査には同じクラスの音士も参加。彼は之依とは違い、オーディションに対して全身全霊。やる気のない之依に苛立つ音士は「こっちは死ぬ気でやってんだよ」と言い放つ。
そんな中、オーディション中に鴫沢監督からある指摘を受けた之依と音士。その言葉をきっかけに、2人の青春は大きく動き始めるのだった。そして、諦観を抱く之依が持つある秘密とは…?
この青春を描いた漫画を読んだ人たちからは、「どちらの気持ちもわかりすぎる」「そのまっすぐさを貫いてほしい」「全力で生きるってこういうことか」「夢に一直線なのが好きすぎ」など、多くのコメントが寄せられている。
“終活”を体験したことをきっかけに紡がれた物語

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
前の「花とゆめ」連載作『恋に無駄口』終了後の人間ドックで腫瘍が見つかり、細かく様々な検査を重ねてたくさん結果を待ち続ける間に終活を考えたのがきっかけです。かなり珍しい病気ではあったのですが腫瘍は良性で現在経過観察をしながら生活しています。でもその腫瘍、なんといつ何がどう起こるか未だ解明されておらずこの先何も起こらないよう祈るのみなんです(医学の発展も祈る...!)。その流れが自分にとってあまりに濃く大きく、家族や人生のことを深く見つめるきっかけや気づきとなりました。その視点を描きたいと思い、いろんな角度から詰めていったのが第1話です。
――本作では、之依の諦観を持ちながら挑戦するようすが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
とにかく「悲壮感漂う作品にしないこと」を心がけています。作品を描くに至った背景もタイトルの「余命」も重いですが、あくまでメインで描きたいのは「心を走らせる少年少女」。タイムリミットがある中で、仕事に走り、恋に走り、友情に走る心をどこまでも力強く繊細に描いていきたいです。これから之依が描き始める夢がどんな形になっていくのか、音士の夢や南雲との確執、恋愛方面でいうと音士之依は勿論三澤や目黒やセナ、南雲にも注目していただきたいです。4巻はその辺にグッと踏み込んでいくので早く読んでいただきたい!(笑)。(4巻は12月発売予定です!)。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
DAY1終盤のモノローグ「私 悔しさで泣けるんだ 悔しさで 走れるんだ」。このセリフがこの漫画の核な気がしているからです。(→画像)
DAY7クライマックスの、音士が自分の夢を吐露してから思わず之依の手を握ってしまうまでのシーン。決意や意志を言葉にするのって、タイミングや周りの空気、自分の感情など全てうまく噛み合ってないと違和感があったり後悔があったりすると思っていて、多分この時の音士は言ったことに違和感も後悔もなくて、それを記念撮影のカウントダウンと併せて綺麗に着地させられたなあと思えたからです。(→画像)
DAY10多摩川での音士のダンスシーン。私はダンスを本格的にやったことはないのですが漫画を描いていると(主にネームの時)すっごく気持ちよくなってもっともっと!となることがあります。その感覚を音士の感情とダンスにうまくリンクさせられたのではと思っています。(→画像)
DAY11音士が之依に嫉妬心をこぼしてしまうシーン。私は主人公ふたりが恋愛とは別軸で(その感情も切り離せはしないのですが)切磋琢磨していく関係性がすごく好きなので、描いててひたすら楽しかったシーンです。之依と音士は全く楽しくなかっただろうけど(笑)。(→画像)
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
これは最初の連載の時から変わらないのですが、山場に向かっていくにつれて読者の方の何かしらの感情が昂っていく構成にしたいと毎回心がけています。それはドキドキだったり悲しみだったり怒りだったりさまざまで、山場のピークで心を震わせてもらいたいと思いながらネームを切ってます。連載作なので引き(しっかり話を収めず次に繋がる終わり方)があったとしてもここは必ず踏まえて作っています。
――福山リョウコさんの作品は、透明感のある美しさを感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
めちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます!!透明感のある美しさって初めて言っていただけた気がします。嬉しい...。私は絵が上手いタイプではないので(うまくなりたいと精進しているところです)、その分とにかく丁寧に繊細に描こうと意識しています。なのでそう言っていただけていやー嬉しいです何度でも言っちゃいます(笑)。
――今後の展望や目標をお教えください。
現在本誌で4巻収録分が連載中なのですが、音士之依の立ち位置が定まった今脇キャラたちが本格的に絡み始めてめちゃくちゃ楽しいです。グッと群像劇みが増すのでさらに楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです!目標は色々ありますが秘密です。ふふふ。それからここまでだいぶお休み多めで連載させていただいてたのですが、この次のクール(11月)から連載ペースが以前と同じになります!お楽しみにです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも読んでくださってありがとうございます。これはもう何度言っても足りないやつなのですが、読んでくださるあなたがいるから描けています。私に描く場所を与えてくださって本当にありがとう。これからもクソ真面目に邁進していくので、引き続きよろしくお願いいたします。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
『人の余命で青春するな』を読む
投稿者X(旧Twitter):花とゆめ きん
作者X(旧Twitter):福山リョウコ
▼「花とゆめ」で連載中の漫画『人の余命で青春するな』はこちら▼
https://www.hakusensha-e.net/hakusensha_otameshi?jdcn=59222511hitnoyo00111&viewer=bs&rurl=http%3A%2F%2Fwww.hakusensha.co.jp%2F%3Fp%3D73159




























