
声優、そして歌手として第一線を走り続ける水瀬いのりが、アーティストデビュー10周年という大きな節目を迎える。これを記念し、2025年9月にはベストアルバム『Travel Record』と、2ndハーフアルバム『Turquoise』を同時リリース。ファンと共に歩んだ「旅の記録」であるベスト盤と、未来への新たな船出を象徴する新譜。この2枚に込められた思い、そして赤裸々に語られる10年間の葛藤と成長の軌跡を、ロングインタビューでお届けする。
ファンと共に歩んだ“旅の記録”――ベストアルバム『Travel Record』に込めた思い

――10周年を記念したベストアルバム『Travel Record』と、ハーフアルバム『Turquoise』の同時リリース、おめでとうございます。まずはベストアルバムからお伺いしたいのですが、2枚組全23曲というすごいボリュームですね。
水瀬いのり(以下、水瀬):そうですね。もうこれでも本当に泣く泣く、入れられなかった曲があるくらいで(笑)。自分にとっては全部の曲がベストだと思っているのですが、全部入れようとすると大変なことになってしまいますから。その中でも、デビューからのシングルの表題曲やアルバムのリード曲・タイトル曲といった楽曲たちにスポットライトを当てて選曲していきました。
――選曲は基本的にリリース順に、10年の歴史をたどるような構成になっていますね。
水瀬:はい、制作チームのみなさんと相談しながら、基本はリリースのタイミングに沿って構成しています。ただ、面白いのが、昨年行った9周年のライブツアー(Inori Minase LIVE TOUR 2023 Heart Bookmark)との関係性なんです。あのツアーは、私自身がセットリストを組んで、あえてカップリング曲に重点を置いた内容にしたんです。それは、おそらく10周年のツアーでは、ベスト盤の収録曲が中心になって、なかなか披露できないであろう楽曲たちを先に供養するじゃないですけど(笑)、そういう意図もあって。なので、9周年のツアーで外されてしまっていた表題曲たちが、今度はこのベストアルバムと10周年ツアーで一気に主役として帰ってくる、という流れになっています。
「失敗したらクビになると思っていた」――がむしゃらだったデビュー初期と、4年間の葛藤

――10年の歴史を少しずつ振り返っていきたいと思います。デビュー曲「夢のつぼみ」を聴くと、やはりすごいフレッシュな印象を受けます。水瀬さんご自身でも現在の歌声とは違う印象を感じますか?
水瀬:その感覚は正しいと思います(笑)。今聴くと、とにかく一生懸命で、がむしゃら。私は歌も声のお芝居も、全くの独学でこの世界に入ったんです。好きなことの延長線上にあるんだな、なんて思いながら始めたら、やっぱりプロの世界はプロだったという壁に打ちのめされていました。デビュー当時は、まだ怖いものがない状態でレコーディングしていたので「プロの洗礼」を受けました。上手に歌えない、高い音が出ない…何度も何度もレコーディングを繰り返して、日付が変わるまで歌い続けて。「ただ好きな気持ちをぶつけるだけではダメなんだ」と、このレコーディングで痛感しました。
――デビュー時はかなりストイックにご自身と向き合っていたんですね。
水瀬:ただ、その曲が世に出て、聴いてくださる方がいると、今度は「この一生懸命さがいい」という形で評価していただけるようになって。それを感じた時、「これはやばい」って思ったんです。「ずっとこの歌い方でいないと、好きでいてもらえないのかな?」って。でも、確実に喉は消耗していく歌い方で、プロのアーティストの方は、こんなに魂を燃やしながら歌っているのか…と、いろいろなことを考えた時期でした。「夢のつぼみ」を歌っていた時は、本当に全部の言葉を、全部同じ音量で、100%の力で歌っていました。だから今聴いていても、すごく息が浅くなるような感覚を自分でも覚えます。
――「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のヘスティア役、「Re:ゼロから始める異世界生活」のレム役など、今や“世界的ヒロイン”といえる役との出会いもあり、声優としても非常にご多忙な時期と重なります。初めてアニメのタイアップ曲となった「Starry Wish」には特別な思い入れがあるそうですね。

水瀬:はい。初めてのアニソンタイアップで、自分の名前がキャストとしても、アーティストとしてもクレジットに2回載るというのを初めて経験して、「うおー!」って思いました。毎週自分の実写のCMが流れるのも、「なんだこれ、すごい恥ずかしいな」って照れる気持ちと、「これ、本当のことなのかな」っていう現実味のなさと…。
――反響を直に感じられたんですね。
水瀬:本当にすごかったです。たくさんの方から反響をいただきました。純粋に「歌が歌いたい」という気持ちで始まった活動でしたが、タイアップになることのパワーをものすごく感じた楽曲ですね。「どうやらたくさんの人に届いているらしい」という実感を得て、そこからファーストアルバムへと繋がっていった感覚です。
――順調に見える一方で、ライブ活動では大きな葛藤があったとか。
水瀬:ファーストライブで、2時間半、20曲以上を歌い続けるということを初めて体験して、「これ、いけるのかな?」って。ずっと「1曲入魂」でやってきたので、「20曲入魂したら魂がなくなっちゃう!」って(笑)。ライブってこんなに難しいんだ、と。正直、自分が思い描いていたパフォーマンスができなくて、ライブ中はなんとか最後まで歌い切るんだ、負けちゃいけない。と奮い立たせながらステージに立っていました。またライブ後はワンマンライブってこんなにも難しいものなんだととても落ち込みました。

――その悩みはすぐに打ち明けられたのですか?
水瀬:いえ、スタッフさんに「実は…」と打ち明けるまでに、4年ぐらいかかりました。それまでは、これは自分だけが感じている違和感なのかな、「考えすぎだよ」って思われるんじゃないか、とずっと言えなくて。ありがたいことにライブ会場の規模もどんどん大きくなっていたので、弱音を吐けるような空気でもなかったですし。でも、もう隠しきれないくらい、心も体もいっぱいっぱいになってきたタイミングで、ようやくSOSを出すことができました。
――プレッシャーも相当なものだったんですね。
水瀬:昔は本当に「失敗したらクビになる」って本気で思ってましたから(笑)。自分に自信がないから不安になるし、「完璧でなければいけない」「プロとはそうあるべきだ」と、誰からも言われていないのに自分で自分を縛り付けて、すごく苦しめていましたね。
https://www.inoriminase.com/discography/?id=73
■水瀬いのり 2nd HALF ALBUM 『Turquoise』
https://www.inoriminase.com/discography/?id=72
■水瀬いのり オフィシャルサイト
https://www.inoriminase.com/
■水瀬いのり オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@inori_minase
■水瀬いのり オフィシャルX
https://x.com/inoriminase
■水瀬いのり オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/inoriminase_info/
■水瀬いのり オフィシャルTikTok
https://www.tiktok.com/@inoriminase_official
![Turquoise[初回限定盤] -水瀬いのり](https://m.media-amazon.com/images/I/61tluYitJyL._SL500_.jpg)
![Travel Record[初回限定盤] - 水瀬いのり](https://m.media-amazon.com/images/I/51VKOxp57vL._SL500_.jpg)





















