
政演の本が現代も使われる言葉の語源に
「傾城買四十八手」が売り出された正月。地本問屋仲間の鶴屋(風間俊介)がやって来る。
新年のあいさつもそこそこに、「これ知っていますか?」と鶴屋が差し出したのは、政演が山東京伝の名で他の本屋から出した本「心学早染草」。
政演は専属というわけではなく、他と仕事をすることは問題ない。だが、その内容が、蔦重が抗おうとしている定信が進める倹約・正直・勤勉を見事にエンタメ化していたことで、蔦重が激怒する展開となった。こちらの本も蔦重が認める面白さ。それゆえ、定信のことを担ぎ上げてしまうと危惧したのだ。
その展開とともに、視聴者から反響があったのが、「心学早染草」で描かれたことだった。
よい魂(善魂)と悪い魂(悪魂)が一人の男の体を巡って戦う物語。最終的には善魂が勝利して、男は善人として生きていくというシンプルなもの。ただ、この善魂と悪魂が、現代でも使われる“善玉”“悪玉”という言葉のルーツになっていて、長く読み継がれていったという証でもあった。
SNSには「そうだったんだ」「善玉、悪玉の語源とは知らなかった~」「びっくりした」「すごい功績」などの声が上がった。
面白いのに怒られたことで政演は蔦重のところではもう書かないと宣言した。「面白いことこそ、黄表紙には大事」と政演は指摘したが、かつての蔦重はそうだったはず。図らずも、蔦重の中で善魂と悪魂が揺れているのだろうか。吉原が大好きな軽妙な一面もありつつ、絵師・戯作者としては努力の人である政演と早く仲直りしてほしいと願うばかりだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

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