渋谷龍太は、麻薬密売の元締めをオーラたっぷりに怪演
本作が俳優デビューとなる渋谷は、「緊張しました」と語っていたのが嘘のように悠然たる佇まいで夜の街を仕切る麻薬密売の元締め=サトウを怪演。「じ~っと蛇みたいに(夏希を)見て」という監督の演出通り、不気味な妖しさの中にも抗いがたいオーラのあるサトウを着実に作り上げていく。
違法ドラッグをさばくサトウのアジトでのシーンは、北川、森田、佐久間、渋谷が顔を揃える貴重なシーンでもあったが、意外にも現場の雰囲気は和気あいあい。サトウの部下たちは全員治安悪めのルックだが、「ちょっと礼儀正し過ぎるよ!」と監督がイジリ全員が笑顔になるなど、シーンとは対照的な空気感の中で順調に撮影は進んでいった。
北川景子、実生活と重ねて“母の思い”を吐露
撮影最終⽇は年の瀬も押し迫った12⽉末。夏希たち家族と多摩恵が揃う、本作を象徴するような“疑似家族”の温かいシーンとなった。子供たちからの挨拶に始まり、笑顔に包まれたクランクアップで北川は、「夏希ほどではないですが私も⽇々追い⽴てられるように⽣活しているので、夏希には共感しやすかったです」と、実生活と重ね本作への思いを吐露。
「夏希は、誰か周りに⽀えてくれる⼈、助けてくれる⼈がいれば道を踏み外すことはなかった⼈です。家庭に恵まれず、社会の救いの⼿が⾏き届かないという状況で、必死にもがき、⽣きようとします。⼦どもを守りたいという⺟の強い想い、腐った世界でもなんとか前向きに⽣きようとする泥臭さを、⾒守っていただけたら幸いです」と力強く語った。
「ナイトフラワー」あらすじ
借金取りに追われ、2人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希(北川)は、昼も夜も必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、生きるため、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。
そんな夏希の前に現れたのは、心に深い孤独を抱える格闘家・多摩恵(森田)。ボディーガード役を買って出た多摩恵とタッグを組んだ夏希は、さらに危険な取引に手を伸ばしていく。ところが、ある女子大学生の死をきっかけに、2人の運命は想定外の方向へと動き出す。

































