――大先輩・越路吹雪さんを演じる心境は?
越路吹雪さんは尊敬する、素晴らしい“大上級生”であり、シャンソンを日本に定着させた大スターですので、うれしさと同時に責任も感じています。
私も越路さんと同じく入学するまで宝塚歌劇団の舞台を見たことがありませんでしたし、新人時代は“現代っ子”や“異端児”などさまざま言われたのですが、越路さんもやんちゃな面がおありだったようで…。
大変おこがましいのですが、似ているなと思うエピソードが多々あって、なんだかうれしく思っています。そういう点では、楽しんで演じさせていただきたいなと思っています。越路吹雪さんという大きな存在を通して、河野美保子(越路の本名)さんというひとりの女性を演じていきたいですね。
――岩谷時子さんとのエピソードを教えてください。
私が宝塚を退団して初めての舞台「プリンセス・モリ―」の歌詞を岩谷先生がすべて翻訳してくださって、励ましの言葉をいただいたことを覚えていますね。ふわっとした柔らかい印象の方でしたが、お話の内容には芯があり、かっこいいなと思いました。
思えばその舞台は日生劇場でしたし(※越路吹雪が500回以上、ロングリサイタルを行った劇場)、不思議な“縁”を感じています。市毛良枝さんとは一度ドラマでご一緒させていただいたことがありますが、ほんの一場面でしたので、今回がっつりお芝居させていただくのを楽しみにしております。
――このドラマ撮影で楽しみにしていることは?
まだ“準備の準備”という段階なのですが、せっかく機会を与えていただいたので、やはり越路吹雪さんを演じること自体を楽しみにしています。
実は、私はどちらかというとジャズが好きで、宝塚時代からシャンソンにはあまりご縁がなかったんです。そんなこともあって、シャンソンというのは60歳代位のある程度年齢と経験を積んでから歌うものだと勝手に決めていたのですが、ちょうどその時期がドンピシャで訪れて驚いています!
私にとって新たなチャレンジになるのですが、すごく楽しみですね。“いよいよ、シャンソンを歌えるんだ!”今、そんな心境です。
――岩谷時子さん役を演じる心境は?
実は、私はまさに“ドンピシャ世代”で、越路吹雪さんのリサイタルを劇場で拝見していました。劇場にいらした岩谷時子さんの姿を遠くから垣間見たことがあるのですが、とても優しそうな方でした。
また、とにかく上品で、美しい日本語を使い続けた方、という印象がありますね。実際のお話しぶりを聞いてもすごくきれいな日本語を口にしていらしたし、歌詞に使われた言葉も、とても美しくて…。なかなか及ばないとは思いますが、そういったところを大切に演じられたらと思っています。
――越路吹雪さんにまつわる思い出を教えてください。
越路さんは大スターで、今、思い出してもドキドキワクワクして胸がいっぱいになってしまうぐらいすてきでした。大地さんも一時代を築いた大スターでいらっしゃるので、ピッタリだなと思います。
――越路さんと岩谷さん、2人の絆について感じることは?
それはもう、周りがうかがい知れないほど、強い絆だったのではないかと思います。どちらがメインというのではなく、どちらも形の違う“華”を咲かせた2人だったのではないでしょうか。
越路さんはあでやかな華でしたし、岩谷さんは確かに一歩控えて陰にいるように見えますが、彼女らしい美しいすてきな華を咲かせた方だったと思います。そんな方を演じるチャンスをいただいて、この上なく光栄なことと感じています。
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