白崎が「喝を入れてください」と羽山に言うと…
舞台の稽古中、白崎はスランプに陥り、さらに、共演者の黒木に主役の座を奪われてしまうのではないかという恐怖に苛まれていた。そんなある日、演出家の青山からも調子の悪さを指摘され、ついに稽古を外されてしまう。
羽山が自分の演じる室賀役を以前から猛烈に演じたがっていたことを改めて知った白崎は、帰宅した羽山に「喝を入れてください」と言い、羽山は「稽古でなんかあった?」と尋ねる。
「俺には話せない?」と羽山が聞くと、「だって…」と白崎。「確かにずっとやりたいって思ってたよ、室賀役。でも、今は同じくらいの強さで思ってる。白崎くんの演じる室賀を見てみたいって」と羽山は話す。
白崎は「全力でやってるけどうまくいかなくて。発声とかお客さん意識して演じるとか、役の解釈とかずっとずっと考えてるけど全然ダメで。今日だって最後せりふ言わせてもらえなかった」と泣きべそをかきながら話し、羽山は黙って白崎を見つめる。
白崎は「黒木さんって共演者の人がいるんだけど、このままじゃもしかしたらその人に役取られちゃうかも」と目線を落として落ち込む。
羽山は白崎の隣に座って手を握り、「覚えてる?大学のとき、犯人役を演じたことがあったでしょ?」と聞き、白崎は意図がよくわからないまま「え、うん」とうなずく。
「あのとき初めて白崎くんの芝居を見たんだ。ずっと目が離せなかった。初めて見たときから、俺、白崎くんの芝居が好きだよ」と白崎に語りかける羽山。白崎は泣きそうな顔をして羽山の目を見つめ、羽山の胸に顔をうずめる。
羽山が白崎の頭をなでると白崎は「麻水さん…ありがとうございます。喝入れてくれて」と言い、羽山は「今ので?」と目を丸くして驚く。
「入ったの?」と羽山が聞くと、白崎は頭を起こして「がっつり入りました」と羽山の目を見て告げる。至近距離のまま羽山が「がっつり?」と質問すると「がっつり」と白崎は答えて、2人でほほ笑み合うのだった。
羽山の何気ない一言で、白崎の気持ちが浮上する様子に見ているほうも前向きな気持ちになれた。X(旧Twitter)でも、「胸が熱くなった」「麻水さんに言って貰えるの 愛」「涙腺崩壊した…これは羽山さんしかできない喝の入れ方なんだな」「最大の喝で最大の愛」「麻水さんの喝が的確で優しくてほっこり」などのコメントが寄せられ、トレンド入りを果たした。
◆構成・文=牧島史佳







































